期末試験問題及び解答

H26 年度前期
材料力学 II 期末試験
2014 年 7 月 28 日
実施
〔1〕線形弾性物体の全補ひずみエネルギーを U * (値としてはひずみエネルギーU と等しい)とし,コ
ンプリメンタリー外力ポテンシャル関数を VE* = ! " Ti ui dS と表すものとする.ここに, Ti は単位面積当
S
たりの表面力(外力), ui は変位, S は物体表面である.ただし,単位体積あたりの補ひずみエネルギ
ーを W * (つまり,U * =
!
V
W *dV , V は物体体積)とするとき,ひずみが ! ij = "W * / "# ij (ここに,! ij は
応力)で与えられる場合を考える.以下の問いに答えよ.物体力は無視して良い.
(1)コンプリメンタリーエネルギーを ! * = U * + VE* と定義するとき,最小コンプリメンタリーエネル
ギーの原理と補仮想仕事の原理が等価であることを示せ.
【10 点】
(2)構造物が集中荷重系 QI ( I = 1, 2, …, n )(n は集中荷重の個数)を受けるとする.ここで,qI を,
QI の作用点における QI の作用方向の変位とするとき, VE* を QI と qI を用いて表せ.【5 点】
(3)最小コンプリメンタリーエネルギーの原理からカスティリアノの第2定理を導出せよ.補ひず
みエネルギー U * は集中荷重 QI の関数として表現できていることを前提としてよい.【10 点】
〔2〕右の図に示すように,長さ,ヤング率,断面積が, l , E , A である棒
2本の先端をピン結合し,他端を剛で水平な天井にピン結合した.2つの棒
は左右対称に設置され,2つの棒のなす角を 2 ! とする.今,この構造の下端
部(図中の節点 C)に水平右向き荷重 Q を加えた.以下の問いに答えよ.
(1)棒に作用する内力(軸力)を求めよ*1.
【5 点】
(2)節点 C の水平変位を求めよ.
【5 点】
1
*:
ヒント→節点 C における釣り合いから簡単に求められる.
〔3〕右の図に示すような,端点 C にモーメント荷重 M 1 を受ける逆 L 型
はり構造において,端点 C の垂直変位 ! CV と回転角 ! C を求めよ.ただし,
曲げ変形のみを考慮するものとし,曲げ剛性 EI はすべての部分で一定と
する.
【10
2=20 点】
〔4〕右の図のように,線形分布荷重を受ける不静定はりがある.
曲げ剛性 EI はすべての部分で一定とする.以下の問いに答えよ.
(1)はりに作用する反力,反モーメントを図示せよ.
【5 点】
(2)支点 A からはりが受ける反力 RA を不静定力に選び,こ
れを用いてひずみエネルギーU を表現せよ.積分は実行
せず ! 記号は残したままの表現で良い.【5 点】
(3)カスティリアノの第2定理を用いて反力 RA を求めよ.【5 点】
(4)残りのすべての反力および反モーメントを求めよ.【5 点】
(5)曲げモーメント図(BMD)とせん断力図(SFD)を描け.【2
〔5〕 x1
5 点】
! x2 平面内にある板が,平面応力状態にあるものとする.以下の問いに答えよ.
(1)平面応力とはどのような状態をいうか説明せよ.
【10 点】
(2)次のケースについて最大主応力 ! 1 と最小主応力 ! 2 を求めよ.【5 点】
! 11 = 100 MPa, ! 22 = "50 MPa, ! 12 = 30 MPa
H26 年度前期材料力学 II 期末試験解答
〔1〕
(1)
題意より,
! * = " W *dV # " Ti ui dS
V
S
応力(力)に関して変分をとり,停留条件 !" * = 0 を考えると,
!" * =
#W *
%V #$ ij !$ ij dV & %S ! Ti ui dS = 0,
ひずみが ! ij = "W * / "# ij により与えられる物体を前提にしているので,
!" * = % !# ij $ ij dV & % ! Ti ui dS = 0 .
V
S
上式は補仮想仕事の原理そのものである.
(2)
n
VE* = ! " Ti ui dS # ! $ QI qI
S
I =1
(3)
n
! * = U * (QI ) " # QI qI
I =1
& %U
)
$! * = # (
" qI +$ QI = 0
I =1 ' %QI
*
*
%U
,
= qI
%QI
n
*
〔2〕
(1) 棒の軸力(引張を正)を T1(左側の棒)
,T2(右側の棒)とすると,節点 C における力の
釣り合いより,
T1 =
Q
Q
, T2 = "
2 sin !
2 sin !
(2)全ひずみエネルギーは,
T12l
T2 2l
Q 2l
U=
+
=
.
2AE 2AE 4AE sin 2 !
カステリアノの第2定理より,
! CH =
"U
Ql
=
"Q 2AE sin 2 #
1
〔3〕
カステリアノの第2定理を適用するために,点 C に鉛直下向きの荷重 Q1 を加えておく.
水平部材 CB の曲げモーメントは,点 C から右向きに x を取り,下側引張りのときを正と
定義すると, M = !Q1 x ! M 1 . 垂直部材 BA の曲げモーメントは,点 B から下向きに x を
取り,内側引張りのときを正とすると, M = !Q1 L ! M 1 .
全ひずみエネルギーは,
U=
!
L
0
2
L (Q L + M )
(Q1 x + M 1 )2
1
1
dx + !
dx
0
2EI
2EI
%
#U
3M 1 L2
=
' " CV =
#Q1 Q = 0
2EI
'
1
!&
2M 1 L
' $ = #U
=
' C #M
EI
1 Q1 = 0
(
〔4〕
(1)右図のとおり.
(2)点 A から右向きに x をとり,下側引張りを正とす
る場合の曲げモーメントの式は, M = !
w0 3
x + RA x .
6L
2
" w0 3
%
x + RA x '
$!
L#
&
6L
よってひずみエネルギーは,U = (
dx .
0
2EI
(3)
# w0 3
&
"
x + RA x (
%
L$
'
!U
6L
0=
=)
x dx
0
!RA
EI
* RA =
w0 L
10
2w0 L
w0 L2
, MB =
(4) RB =
.
5
15
(5)上の図のとおり.
〔6〕
(1)板厚方向の垂直応力を零( ! 33 = 0 ),さらに, ! 23 = ! 31 = 0 と見なすことが妥当と判断され
るような薄い平板の面内に生ずる応力状態のこと.
(2) ! 1 = 106 MPa, ! 2 = "55.8 MPa,
2