第49回かんぞう教室(放射線技師)<PDF形式

肝臓の検査
~CTとMRIの違いについて~
2014年9月25日
診療放射線科
違いはどこだろう?
CT
MRI
•どちらも輪切りで白黒画像、造影剤をよく使う、、、
•CTは被ばくがあってMRIは被ばくが無いど、、、
CTはX線の透過率の違いを白黒の濃淡で表示
空気(-1000)
水のCT値( 0 )
金属 3000前後
[単位:HU]
脂肪( -100) 血液 30~50
単純 CT 肝臓
血管
肺
脾臓
肺
脊椎
骨 500~1000
腎臓 30~40
膵臓 50~60
肝臓 60~70
(肝腫瘍は正常肝よりやや黒く
見えることが多い)
脾臓 60~70
肋骨
・X線が透過しにくいほど白く見える
透過率に差をつけたい!
CT値[単位:HU]
空気(-1000)
金属 3000前後
水=0
脂肪肝
?
肝臓
肝臓の腫瘍部分
透過率に差が無いと腫瘍が見えにくい、
もしくは見えない・・・
? ? 腫瘍の存在を分かりやすくするには?
!
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腫瘍の部分が正常な部分より
白くなるか黒くなれば発見しやすい!
肝腫瘍の特徴
悪性腫瘍・・・例)肝細胞癌
通常肝組織は門脈血と動脈血の2系統の血流が
栄養しているが、肝細胞癌は動脈血のみから栄養
される。
→血液が豊富に流れているので、すぐに造影剤が
入って行き、すぐ出て行く。
良性腫瘍・・・例)血管腫
腫瘍内血流速度が極めて遅い
→すぐに造影剤が入るのは一緒でも、造影剤が
しばらく出て行かない
1本:100ml
造影剤の濃度変化
(腹部)
【動脈血が豊富な腫瘍あり】
【異常なしか血流の変化なし】
何回もスキャンするのはなぜ?
• 血流状態の変化をみることでどんな腫瘍なのか
判断 →がんなのか、がんじゃないのか?
•
造影剤注入開始から、35秒(肝動脈相)70秒(門脈相)、
180~200秒前後(平衡相)を目安に撮影
CTの長所
•
1度に撮影できる範囲が広いため、肝臓の検査で使用する
造影剤の量(100ml前後)で充分、胸部や下腹部も撮影できる
単純
例)肝細胞癌
動脈相
平衡相
CTの苦手なところ
• 血流が増えていない肝細胞癌の発見が難しい。
→腫瘍マーカーが異常値を示すのに超音波
検査や造影CTでは病変は描出されない。
MRIを利用
• 肝細胞癌のなかには、血流動態 が著明な変化
を示さない段階でも,肝細胞機能は変化している
場合がある。
→ 正常な肝細胞には取り込まれるが、肝細胞の
機能が失われた部分(腫瘍)には取り込まれない
造影剤(肝細胞特異性造影剤「プリモビスト」)が
使えるMRI撮影を行う。
このプリモビストを使えるこが
MRI最大の長所です
肝細胞特異性造影剤(プリモビスト)とは?
MRIで使用する造影剤のひとつ
正常な肝細胞に取り込まれる構造にした造影剤
2008年発売
正常機能肝細胞の存在する部分は高信号(白)、
そうでない部分は低信号(黒)となる
1本:10ml
造影剤が白く表示される撮影方法を使うと・・・
~3分
15分~
プリモビストMRIでしか病変がわからなかった例
CT
平衡相
(約3分後)
MRI
肝細胞造影相
(約15分後)
MRIの難点
①装置が強力な磁場を発生しているため、
ペースメーカーや磁性体金属が体内にある方は
入室できない。
②磁場と電波を使って信号を収集するため
CTより撮影時間が長く、撮影範囲も限られる。
N
S
MRI検査室内に持ち込めない物
外来駐車場の駐車券(紙)も磁気データが記録されて
いますので持ち込まないよう、ご注意ください
CT
MRI
死角が無い(肝臓全体が見える)
肝臓以外の臓器の診断も一度に可能
肝臓の細胞レベルでの質的診断が可能
短時間 (10分程度)
検査時間が長い(50分程度)
MRIより多少安価
息止めの時間がCTより長い(15秒程度)
ヨード造影剤アレルギーのある方は注意
が必要もしくは禁忌
ガドリウム造影剤にアレルギーのある方
は注意が必要もしくは禁忌
X線を使う
ペースメーカーや体内金属のある方は入
室できない
よくある質問
• CT検査などの放射線検査を何度もして
大丈夫だろうか?
放射線を使った検査の線量比較
検査の種類
腹部CT検査
胸部撮影
胃透視
PET検査
被ばく線量[実効線量]
20~30mSv前後
0.06mSv前後
3mSv前後
10mSv前後
• 100mSv以下は「低線量」のレベル
• 低線量の場合、通常、検査の間隔を1日あければ、
照射により生成されたダメージは修復される。