研究テーマ ●麹の高機能食品素材化 農学部附属焼酎・発酵学教育研究センター 焼酎製造学部門 特任助教 奥津 果優 研究の背景および目的 焼酎や清酒,味噌,醤油などには,抗酸化活性,血圧降下作用など様々な健康機能性があることが知 られています.これら日本の伝統的な発酵食品の製造に必要不可欠なものが「麹」です.よって発酵 食品の機能性には,共通点である麹が深く寄与していると考えられますが,麹そのものの機能性につ いて着目している研究はありません.本研究では麹を機能性食品の素材として捉え,その機能性を増 強する加工法の開発や,機能性に寄与する成分を明らかにすることを目的としています. ■おもな研究内容 【抗酸化活性を増強した麹の加熱加工法の開発】 麹を中高温領域で加熱することにより,その抗酸化 活性が上昇することを見出しました.そして効率よ く抗酸化活性を増強する加工法として55℃で2日間, 75℃で5日間加熱するステップワイズ加熱法を開発 し,その麹を高温液化麹と名付けました. 【高温液化麹に含まれる抗酸化物質の同定】 ステップワイズ加熱 麹と 2倍量の水 55℃ 2日間 75℃ 5日間 高温液化麹 高温液化麹に含まれる抗酸化物質の単離・精製を 行い,5-(Hydroxymethyl)-2-furfural (HMF) と5-(α-D-Glucopyranosyloxymethyl)-2-furfural (GMF) を同定しました.これらは麹そのものに を同定しました これらは麹そのものに は含まれておらず,加熱により生成する成分であ ることが分かりました. HO O CHO HO HO O OH HO HMF O O CHO GMF 高温液化麹の抗酸化活性 期待される効果・応用分野 本研究では,抗酸化活性を高めた高温液化麹を開発しました.抗酸化物質として単離されたHMFと GMFは,抗酸化活性のみならず肝保護作用や抗炎症作用など様々な機能性を有しています.よって 高温液化麹についても様々な機能性を有する可能性があり,新たな機能性食品として応用できると考 えています.さらにHMFはバイオ燃料としても注目されている化合物です.麹から大量にHMFを生 成できるステップワイズ加熱法は,HMF合成の新たなヒントになる可能性があります. ■共同研究・特許などアピールポイント ●高温液化麹の製造には,特別な装置を必要とし ないため,容易に導入が可能です. ●高温液化麹は液状を呈しているため,他の食品 と混合可能です.よって高温液化麹をさらなる 食品の加工に応用することで,様々な食品への 食品の加工に応用することで,様々な食品 の 機能性付与が可能になると考えています. 研究分野 発酵化学,食品機能,食品化学 キーワード 麹,抗酸化活性,加熱
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