平成 22 年度 スポーツ・システム研究科 修士論文要旨

平成 22 年度
スポーツ・システム研究科
修士論文要旨
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氏名
平塚和也
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所属
スポーツ・システム研究科
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論文題目
ペダリング運動時の無酸素性パワー発揮特性と下肢筋群の活動様式
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論文の概要
スポーツ・システム専攻
本研究では、異なる負荷が設定された際のペダリング運動において、運動開始からピー
クパワーに到達するまでの無酸素性パワー発揮特性及びクランク発揮特性と下肢筋群の活
動様式を検討することを目的とした。
被検者は男子大学生スポーツ選手 34 名とした。無酸素性パワーの測定は、Power MAX V
Ⅱを用いて実施した。負荷重量の設定は、第 1 試技が体重の 5%負荷重量(LL)、第 2 試技
が体重の 7.5%(ML)、第 3 試技が体重の 10%の負荷重量(HL)とした。クランク力の発
揮特性を明らかにするため、特別に改良した Power MAX VⅡを用いて実施し、同時に無線
型筋電計を用いて下肢筋群の活動様式を記録し、活動量を積分値(iEMG)として算出した。
ピークパワー、体重あたりのピークパワー及び仕事量は、LL と ML 及び HL の間にそれ
ぞれ有意な差が認められた。ペダリング運動時における、時間あたりの下肢筋群の活動量
や各筋群の活動割合は、負荷重量に伴う著しい差は認められなかった。仕事量/iEMG 比は、
大腿直筋、大腿二頭筋、前頸骨筋及び腓腹筋において負荷重量に伴う有意な差が認められ
たものの、外側広筋及び内側広筋では著しい差は認められなかった。ペダリング運動時の
クランク力と仕事量との間には有意な相関関係が認められ、負荷重量の大小に関係なくク
ランク力は無酸素性パワーを反映する因子であることが考えられた。ペダリング運動時の
クランク力と仕事量に相関関係が認められたことから、パワーにはクランク力(回転力)
が重要であることが明らかになった。そこで、クランク力の発揮特性を検討するために、
ピーククランク力と 1 回転毎のクランク力、ピーククランク力発揮角度及び平均角速度を
比較した。ピーククランク力、ピーククランク力発揮角度及び平均角速度は、ペダリング
回数に伴い変化するものの、その度合いは負荷重量の大小により異なることが明らかにな
った。また、1 回転毎のクランク力は、負荷重量の重さに関係なく運動開始の値が高いこと
から、ペダリング運動開始直後のクランク力が高いパワー発揮には重要であることが明ら
かになった。クランク力/iEMG 比は、大腿直筋及び大腿二頭筋において LL と HL 間に有
意な差が認められ、他の部位には負荷重量に伴う著しい変化は認められなかった。3 試技の
第 1 回転目における 30 度毎の下肢筋群の筋活動量(%iEMG)の比較では、LL、ML、HL
における各筋の%iEMG に変化がみられなかった。
以上のことから、下肢ペダリング運動において負荷重量によってピークパワーに至るま
での過程が異なること、また、股関節屈曲と膝の伸展に作用する大腿直筋及び股関節の伸
展に作用する大腿二頭筋の活動が無酸素性パワーを高めるためのクランク運動に貢献する
ことが明らかになった。