演習問題解答

演習問題解答
第8章
出題:2014 年 1 月 24 日,配布:web
8.1
(a)
制御対象 GP (s) のボード線図の概略形は Fig.1 のようになる.図より,ゲイン線図
が 0[dB] を通過する周波数 ωG はおよそ ωG ≃ 0.1,位相線図が −180 [deg] を通過する
周波数 ωP はおよそ ωP ≃ 3 である.なお,より正確に求めたい場合は,GP (jω) を計
算して |GP (jωG )| = 1,̸ GP (jωP ) = −π (Im[GP (jωP )]= 0) を ωG ,ωP について解く.
ω = ωG において位相はおよそ −90 [deg] であるから,−180 [deg] までの位相余裕
は ϕM = 90[deg] である.また,ω = ωP においてゲインはおよそ −40[dB] であるから,
0[dB] までのゲイン余裕は GM = 40[dB] である.
定常速度および位置偏差定数は
1
1
1
× =
= 0, Kp = lim GP (s) = ∞
s→0
1 + GP (s) s
1 + Kp
1
1
1
1
= lim s
× 2 =
= 10, Kv = lim sGP (s) =
s→0 1 + GP (s)
s→0
s
Kv
10
esp = lim s
s→0
esv
となる.GP (s) は積分器
1
s
を持つため,定常位置偏差定数 esp は常にゼロである.
1
s
制御対象
1
0.1s + 1
20
0
]B -20
[d -40
ンイ
ゲ -60
1
10
GM
-80
1
s +1
-100
-120 -2
10
-1
10
0.2
10
0
10
2
1
2
50
5
0
10
-45
]g -90
ed
[ -135
相
位-180
φM
-225
-270 -2
10
-1
ωG 10
0
10
角周波数 [rad/s]
ωP
Fig. 1 8.1 (a)
10
1
10
2
8.1
(b)
ゲインが K = 1 のとき,開ループ伝達関数 L(s) = KGP (s) は Fig.1 と一致する.ゲ
イン K を増加すると,ゲイン線図が上方向に平行移動するため,ωG は ωG = 1 から増
加していく.一方,位相線図は変化しないため,位相余裕 ϕM は 90[deg] から減少して
いく.
以上のことを踏まえると,ゲイン K を増加して ωG = 1 となったとき,位相余裕は
ϕM = 45[deg] となることがわかる.そのためには,ゲイン線図 +20[dB] 増加するゲイン
K として,K = 10 とすれば良い.このときの L(s) のボード線図が Fig.2 の実線であり,
ωP ≃ 3 であることが見て取れる.したがって,ゲイン余裕は図よりおよそ GM ≃ 20[dB]
となる.
なお,定常速度偏差定数は
esv lim s
s→0
1
1
× 2 =1
1 + 10GP (s) s
である.
制御対象+ゲイン調整法
20
0
-20
-40
-60
-80
-100
-120 -2
10
]B
d[
ンイ
ゲ
GM
-1
0
10
10
1
10
2
1
10
2
10
0
-45
]g -90
ed
[ -135
相
位-180
φM
-225
-270 -2
10
-1
10
ωG
0
10
角周波数 [rad/s]
Fig. 2 8.1 (b)
ωP
10
8.1
(c)
CC (s) および L(s) = GC (s)GP (s) のボード線図の概形は Fig.3 のようになる (黒の実
線が GC (s),青の実線が L(s)).概形図より,およそ ωG ≃ 0.4,ωP ≃ 5 である.した
がって,図より,ω = ωG のときの位相線図の値から,位相余裕はおよそ ϕM ≃ 70[deg],
ω = ωP のときのゲイン線図の値から,ゲイン余裕はおよそ GM ≃ 25[dB] であることが
分かる.
なお,定常速度偏差定数は
esv = lim s
s→0
1
1
1
= 2.5
× 2 =
1 + GC (s)GP (s) s
4Kv
である.
制御対象+位相進み補償器
60
40
20
0
-20
-40
-60
-80
-100
-120 -2
10
4
]B
d[
ンイ
ゲ
90
45
0
-45
-90
-135
-180
-225
-270 -2
10
]g
ed
[
相
位
0.5s + 1
0.2s + 1
GM
-1
0
10
10
0.4
2
1
2
5 10
1
10
10
2
10
2
25
φM
-1
10
ωG
0
10
角周波数 [rad/s]
Fig. 3 8.1 (c)
1
ω P 10
8.1
(d)
CC (s) および L(s) のボード線図の概形は Fig.4 のようになる (黒の実線が GC (s),青
の実線が L(s)).図より,ωG ≃ 0.1,ωP ≃ 3 である.したがって,図より,ω = ωG の
ときの位相線図の値から,位相余裕はおよそ ϕM ≃ 45[deg],ω = ωP のときのゲイン線
図の値から,ゲイン余裕はおよそ GM ≃ 40[dB] であることが分かる.
なお,定常速度偏差定数は
esv = lim s
s→0
1
1
1
=1
× 2 =
1 + GC (s)GP (s) s
10Kv
である.
Fig. 4 8.1 (d)
8.2
8.3
P 制御としてゲイン KC を用いたときの 閉ループ系の特性多項式は ϕ(s) = s3 +
3s2 + 3s + 1 + KC であり,安定限界の KC は ϕ(jωC ) = 0 で与えられる.これよ
√
り ωC = 3,TC = 2π/ωC ≃ 3.63,KC = 8.したがって,P 制御:KP = 4,PI
制御:KP = 3.6, TI = 3.01,PID 制御:KP = 4.8, TI ≃ 1.82, TD = 9.454.
′
′
(G−1
P GP + GP GCB )GD
(a) Gyr (s) =
1 + G′P GCB
上式において GP (s) = G′P (s) とすれば Gyr (s) = GD (s) である.