No. 81 CQM(超短期経済予測モデル) 熊坂侑三(APIR リサーチリーダー,ITエコノミーCEO) 内容に関するお問い合わせは下記まで e-mail:[email protected] 米国経済(週次)予測(2014 年 4 月 11 日) ポイント Points CQM 予測の動態:実質 GDP の成長率 2014 年 Q1(1-3 月期) (%,前期比年率換算) 4.0 平均(GDP) 需要側 3.0 所得側 2.0 1.08 1.0 0.29 0.0 -0.49 -1.0 4/11 4/4 3/28 3/21 3/14 3/7 3/3 2/21 2/14 2/7 1/31 1/17 1/10 1/3 12/20 12/13 12/6 11/29 11/22 11/15 11/8 ▶景気はまだ底を脱していない (図 表)。 ▶ヘッドラインインフレ率は 2014Q1 (1-3 月期) 、Q2(4-6 月期)とそれ ぞれ 1.5%程度が予測されており、連 銀の 2%インフレの目標がほとんど 達 成さ れてい ると 考えて よい のだ が。 ▶連銀は 3 月の FOMC ミーティング に おい て、こ れま での数 量的 フォ ワードガイダンス(FG)から質的 FG に移行した。連銀はいろいろ品を変 えて FG に依存する金融政策の転換 を考えている。 ▶Evans シカゴ連銀総裁は連銀の目標 を達成する最も確かな方法は一層の アグレッシブな金融緩和策をとるこ とと今もって主張している。 ▶ゼロ金利政策によって、個人所得の 1%に相当する利子所得が毎年得ら れなくなっている。 <あくまでゼロ金利政策にこだわる連銀、しかしその裏では利子所得が大幅に減少> 今週(4 月 11 日)の CQM 予測は 2 月の消費者信用残高、3 月の輸出入価格、連邦政府財政収支、生産者物価指数を更 新した。CQM は 2014Q1(1-3 月期)の実質 GDP 伸び率を支出サイドでは-0.57%から-0.49%へ、所得サイドでも 1.01% から 1.08%へとそれぞれわずかに上方に修正した(図表) 。両サイドからの平均実質 GDP 伸び率は 0.22%から 0.29%へ と上方修正された。ヘッドラインインフレーション(個人消費支出(PCE)価格デフレーター)、コア PCE 価格デフレーター、 GDP 価格デフレーターの伸び率予測(2014Q1)はそれぞれ 1.43%、1.52%、1.60%、2014Q2(4-6 月期)についてはそ れぞれ 1.52%、1.60%、1.37%と予測されている。今期・来期のヘッドラインインフレ率は現実的には連銀の 2%インフ レ目標とほとんど変わりがないと言える。 6.5%失業率の threshold(基準値)が金融政策を転換する指標として役立たないと分かるや、連銀は 3 月の FOMC ミー ティングにおいて数量的フォーワードガイダンス(FG)から質的 FG に移行した。連銀は金融政策の転換をあくまで FG にこだわる。 シカゴ連銀の Charles Evans 総裁は 4 月 9 日のワシントン D.C.におけるあるコンファレンスで”Monetary Goal and Strategy”の講演を行った。この講演において彼は“5 年以上にもわたる異常な超低金利政策にも関わらず、連銀は雇用 とインフレを正常な水準にまでもたらすための努力をすることにこれまであまりにも臆病であった”と言う。更に“雇用と インフレが連銀の目標に近づいた後でも、連銀はフェデラルファンドレートを長期的に正常と考えている水準よりもしば らくの間は低く抑えることが必要”と言う。そして“我々の目標を達成するための最も確かな、かつ迅速な方法はよりアグ レッシブな金融政策であるべき”と結論している。3 月の FOMC 議事録においても、連銀は異常な低金利政策がしばらく は適切と考えている。 ゼロ金利政策によるコストがベネフィットを上回るという批判が高まっている。例えば、ゼロ金利で困っているのは利 子所得を期待している退職者などである。ネット個人利子所得を個人所得比率でみると、リセッション前の 2007Q4 (10-12 月期)の 8.8%から 2013Q4 には 6.9%と 1.9%も低下している。個人利子所得でみると 2007Q4 における 1.38 兆ドルか ら 2013Q4 には$1.24 兆ドルにまで約$1,400 億ドルも減少している。$1,400 億ドルというのは 2013Q4 の個人所得の約 1%にも相当する。連銀が経済効果の不確実性が高まるゼロ金利政策を維持していく裏では個人所得の 1%に相当する利子 所得が毎年確実に失われていく。 ・本レポートは執筆者が情報提供を目的として作成したものであり、当研究所の見解を示すものではありません。 ・当研究所は、本レポートの正確性、完全性を保証するものではありません。また、本レポートの無断転載を禁じます。 ・お問い合わせ先:一般財団法人アジア太平洋研究所 [email protected] 06-6485-7690 1
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