特 集 平成25年度 農業メインバンク CS調査結果 農林中央金庫 青森支店 調査結果 㻟㻜 㻞㻡 㻝㻜 㻡 㻜 はじめに ᅜ 㻝㻡 㻟㻡 一 回答者について 今 回、 回 答 し た 農 業 者 お よ び 農 業 法 人 の 代 表 者 の 年 齢 は、 ﹁六十 ∼ 六 十 九 歳 ﹂ が 三 十 六・七 % と 最 も 高 く、﹁ 五 十 ∼ 五 十 九 歳 ﹂ が 三 十 二・二% の 順 と な っ て お り、 全 国合計と比較し回答者の年齢は若い 状況。︵図1︶ 㻶㻭 㻞㻜 調査の目的 㻠㻜 J A と 農 林 中 央 金 庫 青 森 支 店 は、 農業資金借入や訪問活動等に対する CS調査を実施しました。 当年度は、二J Aにおいて調査を実 施しましたので、今回はその調査結 果の一部を紹介します。 ※ C S と は、 顧 客 満 足 度 の こ と の略︶ ︵ Customer Satisfaction 調査の実施 㻠㻡 絆 2014 . 1 2 䠓䠌ṓ ௨ୖ 䠒䠌䡚 䠒䠕ṓ 䠑䠌䡚 䠑䠕ṓ 䠐䠌䡚 䠐䠕ṓ 䠏䠌䡚 䠏䠕ṓ 䠍䠔䡚 䠎䠕ṓ J Aバンクが提供する相談機能や 訪問活動等に対する組合員等からの 評 価 の 計 測、 農 業 資 金 の 借 入 ニ ー ズ、J Aバンクへの期待事項等を把 握し、その調査結果を農業金融の効 果の検証や次期施設への検討材料と して活用することにより、農業金融 サービスの充実へ結びつけることを 目的としています。 調 査 は 八 月 ∼ 九 月 に 県 内 二J A が 選 定 し た 地 域 の 中 核 的 な 農 業 者 や農業の担い手九百五十先に対し ア ン ケ ー ト を 配 布、 う ち 六 百 三 十 先 か ら 回 答 が あ り ま し た。︵ 回 収 率 六十六・三%︶ 図1 代表者の年齢 農畜産物販売額の多い品目は、﹁稲 作﹂が四十五・四%と最も多く、 ﹁露 地 野 菜 ﹂ の 二 十 四・七%、﹁ 果 樹 類 ﹂ の十二・五の順になっています。 ま た、 二 十 四 年 の 農 畜 産 物 販 売 額 は、 図 2 の と お り﹁ 五 百 万 ∼ 壱 千 万 円 未 満 ﹂ が 二 十 八・〇 % と 最 (%) 㻟㻜 㻶㻭 ᅜ 㻝㻡 㻝㻜 㻡 㻜 㻞㻡 㻞㻜 (%) ゼၥ㢖ᗘ ‶㊊ᗘ ‶㊊ᗘ 図6 現在の農業経営に関する課題(複数回答) 㻢㻜 㻡㻜 㻠㻜 㻟㻜 䠦䠝 ᅜ 㻝㻜 㻜 四 訪問担当者に求められる知識 J A が 農 業 者 を 訪 問 す る 際 に は、 農業者が抱えている課題に対し的確 なアドバイスをすること、および農 業者が知りたい情報を提供すること が、満足度を高めることにつながり ます。 農 業 経 営 に 関 す る 課 題 は、﹁ 営 農 技 術 向 上 ﹂ と ﹁ 労 働 力 の 確保﹂が 四十五・〇%と最も高く、 続いて﹁設 備・ 機 械 投 資 ﹂ が 三 十 七・三% の 順 となっています。 ︵図6︶ 㻞㻜 一 方、 ﹁全く来ない﹂と回答す る 割 合 は、 営 農 経 済 事 業 職 員 で 三 十 四・〇 %、 信 用 事 業 職 員 で 六 十 四・七% と 高 く な っ て お り、 訪 問していない先への訪問活動を強化 する必要があります。 ゼၥ㢖ᗘ 宣伝・PRのわかりやすさ﹂や﹁借 入条件﹂等の商品性にかかるポイン トが低く、広報誌やパンフレット等 に よ るP R 活 動 の 強 化 が 必 要 で す。 ︵図3︶ 㻝㻜㻜 㻤㻜 㻢㻜 㻠㻜 㻞㻜 㻜 三 農業者に対する訪問頻度と満足度 訪問頻度別にみた農業者の満足度 は、営農経済事業、信用事業ともに 訪問頻度が高いほど満足度ポイント が高くなり、農業者を訪問しニーズ を把握したうえで、そのニーズに適 切・迅速に対応することが、農業者 の満足度を高める重要なポイントで す。︵図4・5︶ 図3 JAからの農業資金借入の項目別満足度ポイント も 多 く、 ﹁壱千万∼二千万円未満﹂ が 十 九・九 %、﹁ 三 百 万 円 未 満 ﹂ が 十四・六%の順になっています。︵図 2︶ 㻟㻡 二 農業者のJAに対する満足度 J Aから農業資金を借入れた農業 者 が 満 足 度 を 五 段 階 で 評 価 し ま し た。 全体の五十五 六 ・ % が総合的に満 足︵﹁満足﹂と﹁やや満足﹂の合計︶ と回答し、四十二・〇%が不満︵﹁不 満﹂と﹁やや不満﹂の合計︶と回答 しました。 項目別の満足度は、融資担当者の ﹁ 接 し 方 ﹂ や﹁ 質 問 の 回 答 ﹂ の 項 目 は ポ イ ン ト が 高 い も の の、﹁ 資 金 の 図4 営農,経済事業の訪問頻度と満足度 図5 信用事業の訪問頻度と満足度 ㎰ᴗ㈨㔠ࡢၟရᛶࠋ㹎㹐ࡢ㡯┠ ⼥㈨ࣉࣟࢭࢫࡢ㡯┠ ⼥㈨ᢸᙜ⪅ࡿ㡯┠ 㸱൨ ௨ୖ 㸯㹼 㸱൨ ᮍ‶ 㹼 㸯൨ ᮍ‶ 㹼 ᮍ‶ 㹼 ᮍ‶ 㹼 ᮍ‶ 㹼 ᮍ‶ 㹼 ᮍ‶ 㹼 ᮍ‶ ᮍ‶ 3 絆 2014.1 図2 24年の農畜産物販売額 (%) 䠦䠝 ᅜ (%) 㻢㻜 㻡㻜 㻠㻜 䠦䠝 ᅜ 㻝㻜 㻜 㻟㻜 㻞㻜 ⌧≧⥔ᣢ 㻢㻝㻚㻝䠂 また、今後三年間で見込まれる農 業経営にともなう資金借入ニーズは 四 十 四・一% と 規 模 拡 大 す る 意 向 の 有無にかかわらず、資金ニーズがあ ります。︵図 ︶ 䛭䛾 㻜㻚㻞䠂 絆 2014 . 1 4 七 今後の農業経営と資金借入ニーズ 今 後 三 年 間 の 農 業経営の規模の 意 向 に つ い て は、 ﹁現状維持﹂が 六十一・一%と最も高く、﹁規模拡大﹂ は 三 十・〇 % と 続 い て い ま す。︵ 図 ︶ つᶍ⦰ᑠ 㻤㻚㻣䠂 11 六 農業資金のPR J Aは農業者に対し農業資金の情 報等を提供するために、PR活動が 必要です。 農 業 資 金 に つ い て、 J A の 情 報 と し て、﹁ J A の 広 報 誌 ﹂ が 五 十 五・四 % と 最 も 高 く、﹁J A 作 成 の チ ラ シ、 パ ン フ レ ッ ト ﹂ が 三 十 八・三% と 続 い て お り、 有 効 な 情報提供の手段です。 一方、 ﹁特にない﹂が二十六・〇% もあることから、広報誌掲載の回数 を増やすなどの対策が必要です。︵図 9︶ 図9 農業資金に関して,JAからの情報を 見かけるもの(複数回答) ています。 農業資金の借入の情報を得てい るJ A の 部 署 お よ び 方 法 に つ い て は、﹁ 信 用 事 業 職 員 に 問 合 せ る ﹂ が 四十二・一%と最も高く、 続いて﹁営 農・ 経 済 事 業 職 員 に 問 い 合 わ せ る ﹂ が 四 十・八 % と ほ ぼ 同 じ 割 合 で す。 ︵図8︶ 営農・経済事業職員は借入情報を 要求されることも多いため、農業資 金の基本的な知識が必要となりま す。 ま た、 信 用 事 業 が 農 業 者 の 借 入 ニーズを把握するためには、営農・ 経済事業職員との情報共有が重要で す。 図8 現在、農業資金の借入の情報を得ている JAの部署及び方法(複数回答) 10 図10 今後3年間の農業経営の 規模についての意向 図11 今後3年間で見込まれる 農業経営に伴う資金借入 ニーズ 䠦䠝 ᅜ ま た、 農 業 者 が 農 業 経 営 お よ び 農 業 融 資 に 関 し て 得 た い 情 報 は、﹁ 農 業 補 助 金、 補 助 事 業 ﹂ が 五十七・五%と最も高く、続いて﹁農 業 制 度 資 金 ﹂ の 四 十 四・三% の 順 と なっています。︵図7︶ J Aは訪問した際に、農業補助金、 補助事業や農業制度資金にかかる情 報を提供し、PRを行いましょう。 (%) 五 農業資金情報の提供について 現在、農業資金の借入に関する情 報 や ア ド バ イ ス を 得 て い る 機 関 は、 ﹁J A ﹂ が 六 十 八・〇% と 最 も 高 く、 続いて﹁市町村﹂が十八・一%となっ つᶍᣑ 㻟㻜㻚㻜䠂 䛒䜛 㻠㻠㻚㻝䠂 䛺䛔 㻡㻡㻚㻥䠂 図7 農業経営および農業融資に関して得たい情報(複数回答) 資金ニーズのある農業者における 農産物販売額別では、五千万∼一億 円 未 満 が 八 十 三・三 % と 最 も 高 く、 一 億 円 以 上 が 六 十 六・七%︵ 販 売 額 1億円以上は三先とサンプル数が少 ない︶。 ま た、 組 織 形 態 別 で は、 法 人 が 九 十・九 % と な っ て い る こ と か ら、 大規模農業者および農業法人ほど資 金 ニ ー ズ は 高 い こ と が わ か り ま す。 ︵図 ︶ 図12 農業者の属性別資金ニーズ 㻝㻜㻜 㻤㻜 㻢㻜 㻠㻜 㻞㻜 㻜 ⤌⧊ᙧែู 農業経営に伴う借入が見込まれる ㎰⏘≀㈍㢠ู 資金使途は、﹁農業機械取得・修理﹂ が 七 十 二・七 % と 最 も 高 く、 続 い て﹁農地取得・改良﹂三十三・三%、 ﹁農業生産のための施設取得・修理﹂ 二 十 四・一 % の 順 と な っ て い ま す。 ︵図 ︶ 農業者や農業機械販売業者を訪問 することにより、農業機械取得ニー ズを収集するとともに農業資金紹介 やチラシを設置するなど、PRを強 化してください。 䠦䠝 ᅜ 13 図13 農業経営に伴う資金借入が見込まれる資金使途 (%) (複数回答) こ れ ら か ら、﹁ 農 業 資 金 ニ ー ズ は 農業者の半数弱が見込まれる﹂ 、 ﹁農 業機械取得にかかる資金需要が突出 している﹂ことがわかります。 資金需要は今後三年間見込まれる ことから、農業者等を積極的に訪問 し、農業機械取得等にかかる計画的 な ニ ー ズ を で き る だ け 早 く 入 手 し、 近代化資金等の借入希望者にとって 有利な農業資金を積極的に提案しま しょう。 八 まとめ 一︶ 訪問活動について ︵ a 訪問回数の重要性と訪問先の 選 定 農業者への訪問活動は、訪問 回数が多いほど、満足度はアッ プしますので、できるだけ数多 く訪問してください。 また、大規模農業者・農業法 人は、資金ニーズが高い傾向に あるので、重点的に訪問するこ とが農業融資拡大につながりま す。 b 訪問担当者の知識向上 農業者は、営農・経済事業職 員に対しても農業資金借入を相 談することから、他事業職員も 基本的な農業資金の知識を習得 することにより、農業者との会 話から、ニーズを漏らさず把握 してください。 二 ( )事業間連携について 回答者の七割弱が、農業資金の 借入にかかる情報やアドバイスを J Aから入手しており、営農・経 済事業職員等の信用事業以外の職 員 か ら 得 る 機 会 が 多 い こ と か ら、 営農・経済事業と信用事業がJ A 内 で 情 報 共 有 し、 相 談 に 対 し 適 切・迅速に対応することが農業資 金ニーズを逃さないことにつなが ります。 そのため、訪問活動によって得 たニーズの記録を作成し、担当部 署に引き継ぐ仕組みを構築しま しょう。 J AによるPR活動 三 ) ( 農業者は、農業資金の情報等を A職員との相談のほか﹁J Aの J 広 報 誌 ﹂ や﹁J A 作 成 の チ ラ シ、 パンフレット﹂から入手している も の の、 三 十% 弱 が﹁ 特 に な い ﹂ と回答していることから、手元に 残るJ AのPR活動の強化が必要 です。 ︵四︶ CS調査の今後の取組み 平成二十六年度以降も調査対象 J Aを順次増やし、取り組んでい きます。 5 絆 2014.1 12 (%)
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