FE-NET ニュース

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海運市況の分析テクニックを磨こう
●FE-NET 上に新メニューとして、ボリンジャー・バンド分析手法を活用したテクニカル
分析が可能となった。略して「ボリバン実践ルーム」である。
●海運マーケット予測においては、
「海運の金融化現象」の進展により、現状分析や短期動
向を見通す際の新たな市況指針が求められているが、その一つとして FFA トレーダー等の
売買行動を先読みし、さらに市況変動リスクやボラティリティ変化を察知可能なツールの
一つとし、ボリンジャー・バンド分析の活用方法を紹介する。
図表―1
FE-NET 版「不定期船市況のボリンジャー・バンド分析」
出所:FE-NET「ボリバン実践ルーム」
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●ボリンジャーバンドとは、移動平均を表す線と、その上下に値動きの幅を示す線を加え
た指標を意味する。ボリンジャーバンドは、常に収束と拡散を繰り返すのが特徴。
「値動き
の大半がこの帯(バンド)の中に収まる」という統計学を応用した代表的なテクニカル指標
である。
図表―2
ケープサイズ用船料のボリンジャーバンドの収束と拡散例
=主要 4 航路=
出所:FE-NET「ボリバン実践ルーム」
●ボリンジャーバンドの中央には移動平均線があり、統計的にはその移動平均線の上下の
線の間で貨物運賃や傭船料が動く確率が各々想定されている(1σ=68.3%、2σ=
95.5%、3σ=99.7%)
。
貨物運賃や用船料はボリンジャーバンドの中で推移するのが原則である。そのバンドか
ら逸脱する運賃は、下がり過ぎ・上げ過ぎのシグナルとなる。しかし、移動平均線が横這い
推移する期間(収束局面)と平均線が上昇トレンド(↑)ないし下降トレンド(↓)となる
期間(拡散局面)では用船のタイミング(T/C
すなわち
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In)
、
(T/C
Out)が逆になる場合が多い。
図―3
用船市況の下降、上昇、保ち合いトレンド
① 逆張り手法(収束局面)
:
±1~±3σを各々下値支持線や上値抵抗線とみなし、
貨物運賃や用船料が-1~-3σを割り込んだ時は買いポイント、+1~+3σを突
き破った時は売りポイントとみる。
② 順張り手法(拡散局面)
:
±1~±3σを越えて推移した時は、従来のトレンド
が方向転換した可能性があるので、-1~-3σを割り込んだ時は売り、+1~+3
σを突き破った時は買いポイントとみる。
図―4
用船市況の上昇トレンド例
●ボリンジャー・バンドは拡散・収束のパターンを繰り返しているが、上下バンドの収束状
態は市場心理の気迷い状態を示す。
●すなわち、強気、弱気心理が錯綜する場合はボックス圏、対照的に明確な強弱心理が支配
的な場合にはトレンド圏を形成することが多い。仮にボックス圏において上下いずれかの
バンド方向に進む場合は逆張り売買が有効となる。逆にトレンド圏においては、その放た
れた方向に市場心理も引き摺られるか、煽られることが多いことから、右肩上がりのトレ
ンドでは更に買い増し、右肩下がりであれば追加売りするべきシグナルと解釈できる。
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●FE-NET 版「ボリバン実践ルーム」ではユーザ自身が任意設定した上で売買判断指針を
得るような工夫がされているが、新機能の概要は以下の通り。
FE-NET 版
「ボリバン実践ルーム」の使い方
●「ボリバン実践ルーム」においては、ユーザー自身の判断で様々な条件選択ができる。主
な項目として、①船型、②航路、③移動平均日、④標準偏差、⑤表示期間・・・各々を設定
し直すことが可能。
ボリンジャーバンド分析の発展系⇒
「%b」分析
「%b」
: ボリンジャーバンド分析において、用船マーケットの微弱な方向変化、そして
トレンド転換を探る際に有効なのが「%b」分析である。貨物運賃・用船料水準などは気迷
い局面では上下バンド幅が縮小(スクイズ)する一方、上下いずれかの方向に動き出すとバ
ンド幅も拡大(ボージ)するのが特徴的である。
図―6
用船市況の反発・反落判断
出所:FE-NET[ボリバン実践ルーム]
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●「%b」の計算式は“
(現在値―下部バンド)/(上部バンドー下部バンド)x100”で求
められる上下バンド乖離率。図-6の折れ線グラフが示す通り、用船レートが 100%を突破
した時、逆にゼロ%を割り込んだか接近した時点で反転(↑ないし↓)する可能性が出てく
る。
BandWidth: ボリンジャーバンドのバンド幅の収束、拡散の動きをより正確に知るための
指標である。これにより上昇トレンド、ないし下降トレンドの転換点を迅速に捉えること
が可能となる。
図―7
用船市況のトレンド転換点指標
注:標準偏差とは、膨大なデータがあるとき、そのデータが平均からどれ位ばらついているかを表すもの。バラつきが
集まる確率を「σ」で表示している。また「σ」の基本的な考え方は、貨物運賃が急騰、急落したときでも、±2σであ
れば移動平均線の 99.7%の範囲に運賃値が収まるという意味で使用される。
以上
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