x − x

Quiz1
[1]
(
∆x
1
1
−
4π |x − x0 |
)
= δ (3) (x − x0 )
を示せ。ここで3次元デルタ関数 δ (3) (x − x0 ) とは任意の実関数 f (x) に対し
∫
dV 0 δ(x − x0 )f (x0 ) = f (x)
を満たすもの。
一般に
∆x G(x|x0 ) = δ 3 (x − x0 )
を満たし、x ↔ x0 での不変性及びある境界条件(この場合 |x| → ∞ で G → 0)を
満たすもの G を演算子 ∆x の Green 関数と呼ぶ。
[2]
巨視的な Maxwell 方程式の時間依存性がない場合、静磁場 B(x) に対する BiotSavart の法則
∫
j(x0 ) × (x − x0 )
µ
dV 0
B(x) =
4π D
|x − x0 |3
を導け。
[3]
∇ × (v × ∇f (r)) = v∆f (r) − (v · ∇)∇f (r)
を示せ。但し v は定ベクトルとする。
[1] の解答例
Φ(x|x0 ) = −
1
1
4π |x − x0 |
とおく。この Φ は R3 における x 6= x0 の領域で定義される関数である。また
∆x Φ(x|x0 ) = 0
1
(1)
は R3 の x 6= x0 の領域で定義される。
方程式 (1) で 左辺 = 右辺 が成り立っていることは直接計算によって確かめること
ができる。実際
{ 3
}− 12
3
∑
∑
−4π∆x Φ(x|x0 ) =
∂i2
(xj − x0j )2
i=1
{
j=1
}
∑
1
1
∂i −
=
2(xj − x0j )δij
0 |3
2
|x
−
x
i
j
(
)
i
0i
∑
x −x
∂i
= −
|x − x0 |3
i
{
}
∑
3
1
1
i
0i
i
0i
= −
+ (x − x )(− )
2(x − x )
0 |3
0 |5
|x
−
x
2
|x
−
x
i
∑
= −
3
3
+
0
3
|x − x |
|x − x0 |3
= 0
となる。
x = x0 の部分まで定義域に含めようとすると Φ(x|x0 ) の満たすべき方程式は
∆x Φ(x|x0 ) = δ (3) (x − x0 )
(2)
となる。右辺のデルタ関数によって x = x0 でも方程式が定義されるのである。
以下で方程式 (2) が成り立つことを示す。
今、
{
1
1
− 4π
, (x 6= x0 )
0
|x−x0 |
Φ(x|x ) =
∞, (x = x0 )
である。便利のために E = ∇x Φ(x|x0 ) とおく。
方程式 (2) は
∇x · E = δ (3) (x − x0 )
に他ならない。さらにこれは、この両辺を R3 のある領域 V で体積分した
∫
d 3 ∇x · E = 1
V
(3)
∫
と同値である( V d3 xδ (3) (x − x0 ) = 1 を使った)。
従って (3) が成り立つことを示せばよい。
V の中で x0 を中心とする十分小さな半径 ² を持つ球 V 0 をとる。V 0 の表面(2次
元球面)を S 0 とする。また V の表面は S とする。
領域 V − V 0 では x0 は含まれないから (1) が成り立つので
∫
∫
3
d x∇x · E = −
d3 x∇x · E
V0
V
2
が成り立つ。さらに V 0 の内向き法線単位ベクトルを n0 、V の外向き法線単位ベク
トルを n としてガウスの法則を用いると
∫
∫
dSE · n = −
dS 0 E · n0 (以下ではxは S 0 上の点を指す座標とする)
0
S
S
(
)
∫
0
x − x0
1
0 x−x
= −
dS
· −
4π S 0
|x − x0 |3
|x − x0 |
∫
1
1
dS 0
=
4π S 0
|x − x0 |2
∫
1
1
=
dS 0 2
4π S 0
²
∫
1
=
dS 0
4π²2 S 0
= 1
∫
∫
となるので (3) を得る(ガウスの法則より V d3 x∇x · E = S dSE · n である)。こ
うして (2) が成り立つのである。
[2] の解答例
ベクトルポテンシャル A とスカラーポテンシャル Φ を使って Lorentz ゲージを用
いて書いた Maxwell 方程式は
∆A − ²µ∂t2 = −µj
1
∆Φ + ∇ · ∂t A = − ρ
²
E = −∇Φ − ∂t A
B = ∇×A
²µ∂t Φ + ∇ · A = 0
(4)
(5)
(6)
(7)
(8)
である。但し今は静的な場を考えるので,A,Φ,ρ,j に時間依存性はなく、(4),(5),(6),(7),(8)
はそれぞれ
∆A = −µj
1
∆Φ = −
²
E = −∇Φ
B = ∇×A
∇·A = 0
(9)
(10)
(11)
(12)
(13)
となる。
(9) のある解を (12) に代入すれば静磁場に対する Biot-Savart の法則が得られる。
ここでいう (9) のある解とは
∫
µ
j(x0 )
A(x) =
d 3 x0
(14)
4π
|x − x0 |
3
である。この解は次のようにして導くことができる。
(2) 式は関数をあらわに書くと
(
)
1
1
∆x −
= δ (3) (x − x0 )
4π |x − x0 |
であるが、∆x が x についての Laplace 演算子であることに注意して、この方程式
の両変に −µj(x0 ) をかけて x0 について体積分すると
( ∫
)
0
µ
3 0 j(x )
∆x
= −µj(x)
dx
4π
|x − x0 |
を得る。但し右辺についてはデルタ関数の定義を用いた。今得られた式と (9) 式を
比較すると (14) 式が得られる。(14) が実際に (9) の解であることは (14) を (9) の
左辺に代入して確かめられる(x = x0 の扱いには注意)。
ちなみに (13) 式は静磁場に対する Maxwell 方程式 ∇ × B = µj を (9) に書き換え
る時に使用済み。
∇x は座標 x による微分であることに注意して、(14) を (12) に代入すると
∫
µ
j(x0 )
B(x) =
∇x × d 3 x 0
4π
|x − x0 |
(
)
∫
1
µ
3 0
d x ∇x
=
× j(x0 )
4π
|x − x0 |
(
)
∫
µ
x − x0
3 0
=
dx −
× j(x0 )
0
3
4π
|x − x |
∫
0
0
µ
3 0 j(x ) × (x − x )
=
dx
4π
|x − x0 |3
となる。こうして静磁場に対する Biot-Savart の法則が導かれた。
[3] の解答例
v × ∇f (r) =
∑
v j ej ×
j
=
∑
∑
ek ∂k f (r)
k
ej × ek v j ∂k f (r)
j,k
=
∑∑
i
j,k
=
∑
²ijk ei v j ∂k f (r)
²ijk ei v j ∂k f (r)
i,j,k
ここで ²ijk は3階完全反対称な記号であり、これを用いて ej × ek =
けることを用いた。
4
∑
i ²ijk ei
と書
これより
∇ × (v × ∇f (r)) =
∑
(
el ∂l ×
l
=
∑
)
²ijk ei v j ∂k f (r)
i,j,k
∑
el × ei ∂l (²ijk v j ∂k f (r))
i,j,k,l
=
∑∑
²mli em ∂l (²ijk v j ∂k f (r))
i,j,k,l m
=
∑
²ijk ²mli v j ∂l ∂k f (r)em
i,j,k,l,m
=
∑
(δmj δlk − δmk δlj )v j ∂l ∂k f (r)em
j,k,l,m
=
∑
δmj δlk v j ∂l ∂k f (r)em +
j,k,l,m
=
∑
v j ∂k ∂k f (r)ej +
∑
v j ∂j ∂k f (r)ek
= v∆f (r) + (v · ∇)∇f (r)
となる。
5
δmk δlj v j ∂l ∂k f (r)em
j,k,l,m
j,k
j,k
∑