2014年4・5月号 編集:フランス語 TA (東志保、古賀健太郎) Le voyage Le film du mois フランスの地方都市に行きませんか? (11)リヨン Lyon ムード・インディゴ〜うたかたの日々(2013) 毎回フランスのさまざまな街を紹介してます。今回はフランス第 2 の都市リヨンです! 今回紹介するのは、ボリス・ヴィアンの小説 『日々の泡 L’écume des jours』(1947)を映画化 した『ムード・インディゴ〜うたかたの日々』です。 物語は、主人公コランが、クロエという女性と恋に 落ちるものの、クロエは肺に睡蓮が咲くという奇 病にかかってしまうという内容で、映画も原作通 ◀ 教会のある丘の上から パリのリヨン駅(Gare de Lyon : ちょっ りの筋書きとなっています。とはいえ、原作に忠 実なのはストーリーラインだけではありません。 と紛らわしいですね 笑)から TGV で約 小説で表わされた奇妙で浮遊感のある世界観が 2 時間でリヨンに到着です。ローヌ河(Le 映像で見事に再現されているのです。この映画 Rhône)とソーヌ河(La Saône)が交わる場 の美点は近未来的かつノスタルジックな雰囲気 所にある街の歴史は古く、古代ローマ時 ですが、それは映像に CG など様々な技巧を凝 代の劇場も残っているくらいです。2 つの らしながらも映画という媒体の持つメカニックでアナログな触感を残すことのできる、ミシェ 河に挟まれた La Presqu’île(「半島」の意 ソーヌ河越しに見た旧市街と教会の丘 ル・ゴンドリー監督の真骨頂といえます。また、デューク・エリントンのジャズを中心とした音 味)地区が街の中心で、いろいろなお店やレストランがあるほか、広大なベルクール広場 楽の使い方も効果的で、アメリカ文化の大ファンで自分自身もジャズ演奏家だったヴィアン (Place Bellecour)などがあります。近くには星の王子さまの像も(作者サン・テグジュペリは へのオマージュが見られます。この映画のもう一つの見所は、ロマン・デュリス、オドレイ・ト リヨン出身)。ソーヌ河を渡って西側は旧市街で、川沿いの細い路地に古い建物が残って トゥ、オマール・シーなど現代フランス映画を代表する豪華な俳優陣。とはいえ、それが嫌み いて楽しい場所です。その先はいきなり急な坂。これを上るとリヨンのシンボル、ノートルダ にならず役柄にきちんと合っています。一般的に難しいと言われる有名な小説の映像化で ム・ドゥ・フルヴィエール教会(la basilique Notre-Dame de Fourvière)があります。ここからは すが、この映画は成功例の一つといえるでしょう。この映画をきっかけに原作をフランス語で リヨンの街並みが一望でき、わざわざ上ってきた甲斐があった!と思える場所です。時間 読んでみるのもいいかもしれません。(東) があれば街の北側、Croix-Rousse の坂の方にも行ってみると、違った雰囲気が味わえて よいでしょう。リヨンは食の都として有名。Paul Bocuse や Eugénie Brazier など、名だたるシ ェフを輩出してきたところなんです。はんぺんに似た quenelles や独特のにおいのある➔ ➔ソーセージ andouillette、冬限定のクリーミーなチーズ Mont d’Or のほか、ワインも充 実。ボジョレ・ヌーボーで有名な Beaujolais 地方も近いんですよ。アルプス方面や地中海 へ抜けるにも何かと便利なリヨン。南東部旅行の際にはぜひ行ってみて下さい!(古賀) Lettre de Paris Envoyés spéciaux ! Exchange で留学中の友野さんと田畑さんから留学レポートをいただきました!現地での « pique-niquer » Bonjour ! 今年のフランスは春の訪れも早 生活もあと数か月、どんなかんじなんでしょうか?まずはベルギーに留学中の友野さんで く、天気もよく気持ちの良い日々を送っていま す: す。晴れて暖かい週末に特に何もすることが * ないと、友人からピクニックに誘われることも ① 友野さん@ブリュッセル 少しずつ増えてきました。どこでピクニックを 月日が経つのは本当に早く、留 するかというと、候補は沢山あります。仲の 学期間も終盤に差し掛かりまし 良いイタリア人の友達カップルとは、彼らがサ た。 ンルイ島(île Saint-Louis、パリの中心に位置 ベルギーには公用語が 3 つあ するセーヌ川の中州のこと)に住んでいること り、(フランス語、オランダ語、ドイ もあって、セーヌ川の岸でピクニックをするこ * * * * * * ツ語)とても興味深い国です。そ とが多いです(ノートルダム寺院の背中が見 エッフェル塔のお膝元、シャンドマルス公園でもピクニ のため、政治体制も複雑であり、 える絶景あり)。日本人の友人、特に国際学 ックできます また日常においても面白いところ 生都市(Cité universitaire、通称「シテ」)に住む友人たちとは、やはりシテの芝生、もしくは近 がたくさんあります。スーパーで くにあるモンスーリ公園(Parc Montsouris)で。ビュット=ショーモン公園(Parc des Buttes- 売ってるものには大抵 3 言語で Chaumont)でブラジル人の友人の誕生日会が開かれたこともありました。郊外にあるカイユ 説明書きがあり、電車のアナウ ボット公園(Parc Cailllebotte、画家カイユボットの所有地、絵にも描かれたイェール河沿いに ンスはフランス語とオランダ語のアナウンスが両方流れていて、その順番は一駅ごとに変 あります)でのピクニックもなかなか良かったです。また、サマータイムともなると日没までの わります。最初の駅がフランス語でアナウンスを始めたら次の駅ではオランダ語でアナウ 時間が長い夏には、夕飯時にピクニックをすることも多いです。貧乏な学生はバーに行く代 ンスが始まるわけです。このように、いろいろ探せば複雑なところがたくさんあるベルギー わりに、スーパーマーケットでビールやワイン、おつまみを買い、そのままセーヌ河の岸でア なのですが、同時にとても面白い国でもあります。ベルギー人と話していても、人によって ペリティフを楽しむこともあります。ICU の皆さんは、昼食、午後の友人との語らいと、バカ 話せる言語も様々であり、また習慣も異なります。ベルギーにいるとベルギーのことだけ 山で毎日ピクニックしているようなものですので、既に日本ではピクニックの達人なのではな でなく、たくさんの人に出会うことができ、ヨーロッパについてよく知ることができると思いま いかと思います。夏休みにパリにいらっしゃる際には、お気に入りのピクニックポイントを探 す。EU の本部があることも関係してますし、他の国からのアクセスの良さも関係している してみてください(公園は夜の閉園時間が早いのでご注意を!)。(近藤) のでしょう。また、ベルギーで知り合う日本人の方もプロの音楽家の方や建築を研究して 日本大使公邸にて、留学生を囲む会 いる人、政治に没頭している人など様々で、とても刺激的です。ベルギーのアイデンティテ 【執筆者紹介】 近藤野里(Nori KONDO) (2012年度春学期までフランス語TAを担当) 現在は東京外国語大学大学院博士後期課程に在籍。ICU 時代には交換留学で Toulouse に留学しました。 ィを語るのはとても難しく一言では言い表せませんが、地理的にも政治的にもヨーロッパ の中心であり、とにかく面白い国であると言えるでしょう。 2012 年 10 月からパリ第 8 大学の博士課程に留学中です。専門は言語学で、特にフランス語の発音について 研究しています。 【次ページ右面に続く】 Enchanté ! Envoyés spéciaux ! (つづき) カナダのケベック州出身で、17 セプテンの Seiji さん、この 4 月からはフランス語でおしゃ ② 田畑さん@パリ べりをする会 Déjeuner Amical(次ページを参照)にも来てくれています。そんな Seiji さんか ら今回は自己紹介に代えて、ICU に入ったきっかけなどについて語っていただきました! 数あるメジャーの中から柔軟に自分のやりたいものを選べるという点が決め手だったとい Bonjour! お久しぶりです。パリ第 七大学に留学中の田畑です。 4 月の後半は Vacances de う Seiji さん。生物学に興味がありながらも、一般の生物学科の入試に必要な理系科目を高 printemps(春休み)でした。暖かくな 校(フランスの教育システムに準拠している学校)で十分に取っていなかったことがカベに。 ったのでちょっと足をのばしてみるこ 写真はルーブル美術館オフィシャルサイトより。 そんな中、ゼロからでも理系メジャーをスタートできる ICU のシステムによって、大学で生物 とに。そこで訪ねたのが北部の都市 http://www.louvre.fr/jp/mediaimages/louvre-lens-vue-1 学を学ぶことができるに至ったんだそうです。そして、さまざまな分野の事柄に触れながら自 Lens。皆さん、ルーブル美術館に分館があるのをご存知ですか?それが存在するのがこ 分自身のこれからについて発見できるのが ICU の魅力であると言います。 の街。そしてその設計を手がけたのは何と日本人なんです!パリから一時間強。Lens は たくさん書いてくださったので、皆さんも読解の練習に、頑張って読んでみて下さいね! Des bénéfices de l'éducation libérale à ICU (ICU のリベラル教育の利点) まだ都市開発途中の綺麗な町です。Louvre Lens は広い敷地に浮かぶように建っている ガラス張りの建物で、館内にも光が差して非日常の空間を味わえます。長いギャラリーに ICU se démarque de manière remarquable des autres universités japonaises par sa ルーブル本館の地下に眠っていた作品が時代ごとに展示されていて、私達は今までの様 philosophie qui l'anime depuis sa fondation en 1948, valorisant l'esprit critique, la liberté de にカテゴリーごとでなく、時系列に沿って世界中の作品を同時に見る事ができてとても面 pensée, l'ouverture à l'international, et la flexibilité de son cursus, très inspiré des collèges 白い。素晴らしい所だったので皆さんも機会があればぜひ行ってみて下さいね! d'Arts libéraux américains. Ainsi, la spécialisation ➔ vers un domaine d'étude précis ne s'effectue qu'en fin les matières scientifiques ou en prendre comme majeure. n'exigeait pas d'avoir suivi des cours en sciences pour pouvoir prendre des cours dans En effet, contrairement au système éducatif français d’où j'ai gradué, ICU ne forçait pas de deuxième année de premier cycle (bachelor), avec 32 majeures possibles, allant des Mathématiques aux à choisir le plus rapidement possible une spécialisation, laissant ainsi une grande marge de Études de la paix (Peace studies). Il est également manœuvre pour ceux qui désirent encore explorer les nombreuses possibilités qui s'offrent à possible de choisir de prendre 2 majeures à la fois ou eux avant de choisir leur majeure. de prendre une majeure et une mineure. ICU est une université qui s'adresse avant tout à ceux qui sont encore hésitants sur leur C'est cette remarquable flexibilité, difficilement trouvable dans les autres universités spécialisation future et n'ont pas encore leur profession en tête. Il est ainsi possible d'explorer japonaises qui m'a décidé à choisir ICU parmi les nombreuses universités où j'avais postulé, toutes les possibilités qui s'offrent et de découvrir les points forts et les points faibles qui alors que j'étais en dernière année de lycée. En effet, comptant faire une majeure en Biologie apparaissent au fil de cette exploration. En ce sens, la flexibilité du cursus d'ICU est mais étant grandement pénalisé par le fait que je n'avais suivi au lycée les prérequis en comparable à la recherche de sa propre voie vers son avenir et la découverte de soi-même et sciences demandés par les autres universités pour être accepté en faculté de sciences, les portes son potentiel. Une voie qui s'avère longue mais enrichissante et indispensable à la dans les autres universités ne s'ouvraient que dans les facultés ne demandant nul prérequis construction de soi. particulier comme les Sciences humaines. Fort heureusement, je m'aperçus qu'ICU ➔ Seiji Fujimoto, élève en première année. (Merci beaucoup !) Bienvenue chez nous ! この 4 月からフランス語を始めた皆さんへ、私たちの取り組みをちょっとご紹介! 4.@ICUFrench をフォローしてフランス語情報をゲット! 実はツイッターでもフランス語に関する 1.フランス語に関して相談が。どこに行けばいい? 情報発信をしています! « Déjeuner フランス語のオフィスは ILC362。ここに西川先生の部屋と TA デスクがあります。TA オフ Amical »の開催情報やフランス語・フラン ィスアワー(下を参照)には私たち TA もいるので、何か聞きたいことなどあるときは気軽に ス文化に関する諸機関のイベント情報な 寄ってみてくださいね! どが見られるので、ぜひチェック&フォロ ーしてみてください!ちなみに私たち TA 2.フランス語でおしゃべりをする会 « Déjeuner Amical » も定期的に、最近のフランス映画情報か せっかく習ったフランス語を実際に使ってみたい!そんな方のために、毎週火曜のお昼 らどうでもいいフランス語のダジャレま に « Déjeuner amical »というおしゃべりの会をやっています。この春から始めたばかりという で、いろいろとつぶやいてます(笑) 方から、もう French を一通り終えたという方まで、どなたでも大歓迎です!あまり話せませ Twitter をやっていない方も以下の URL んという人も、私たちがサポートするのでご安心を。また、途中参加・退出自由で、お昼ご飯 から見られますので、お気軽にアクセスし 持参も OK です。とにかくゆる~い会なので、一度ふらっと遊びに来てくださいね。 てみてください! « Déjeuner Amical » 毎週火曜 13 : 00-14 : 00 頃 @ILC362 (途中参加・退出自由) www.twitter.com/ICUFrench (授業に関する情報は発信していません) 3.そもそも TA ってどんな人たち? 5. « TAVU? »のバックナンバーが Subsite フランス語では現在、東・古賀の 2 名が TA を担当しています。教室機材設置やこ で入手できます! の « TAVU? »発行などに加え、TA オフィスアワーを設けて皆さんの相談を受け付けていま Subsite に ICU French のページがあり、こ す。2 人ともフランスへの留学経験があるので、留学に関する相談にも乗りますよ。試験前 こで « TAVU? »のバックナンバーが読めま の復習も大歓迎!気軽に訪ねて来てくださいね。 す。フランス語圏文化に関する記事や留学レ ■TA オフィスアワー(2014 年春学期) ※場所は ILC362 です ポート、先生方へのインタビューも!バックナ 月曜 火曜 水曜 木曜 金曜 14h-16h (東) 13h-15h (古賀) 13h30-15h30 (古賀) ―― 13h30-15h30 (東) ンバーもぜひ読んでみて下さい。 http://subsite.icu.ac.jp/people/french/ 東志保(Shiho AZUMA) ICU学部・大学院を経て、パリ第3大学博士課程に3年間留学していました。専門は、映画・映像研究で、フランス のドキュメンタリー映画に特に関心があります。 Infos 【TAよりお知らせ】 古賀健太郎(Kentaro KOGA) 1.フランス語ピクニック、5 月下旬に開催予定! ばか山でピクニックを近日開催予 学部は ICU、現在は東京外国語大学大学院博士後期課程に所属しています。専門はフランス語言語学です。 定!詳しくは後日 Twitter 等でお知らせします。乞うご期待! 2010 年から 2012 年までフランスのボルドー第 3 大学修士課程に留学していました。大の旅好きです。 2.“TAVU ?” 次号は6月初旬に発行予定です。 次号もお楽しみに!
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