陰関数定理と乗数効果

陰関数定理と
GDP
木本大喜 金城雅也
目次
・さまざまな乗数モデルの比較静学
・一次式での線形近似
・陰関数定理の例
・国際収支統計
比較静学とは・・・
簡単に言うと、
外生変数が変化したとき内生変数
がどう変わるかを考えること。
乗数
連立方程式の一つの方程式の変数が変化したらもう一つ
の方程式に影響し、それがまた一つ目の方程式に影響
し・・・・・・というように繰り返していく。
繰り返して最終的に連立方程式の解に落ち着く。その解
が示す外生変数が変化したときに内生変数がどれだけ変
化するかの割合。
これが乗数!
(例)
C=C(Y)
Y=C+I+G
1
Y=
(1-b)
(a+I+G)
乗数の問題
問1
C=a+bY ・・・①
a=基礎消費
Y=C+I+G ・・・②
b=限界消費性向
①を②に代入して、Yについて解く。
答え
Y=a+bY+I+G
(1-b)Y=a+I+G
・
・ ・
Y=
1
(1-b)
x (a+I+G)
先ほどの1/(1-b)が乗数である。
Y=C+I+G
C=a+bY
この連立方程式においてGを1兆円増やす
と、
Yは1/(1-b)兆円増える!
乗数の例
消費関数の乗数モデル
C=C(Y)
Y=C+I+G
C 消費
Y 所得
I
投資
G 財政支出
内生変数 C,Y
外生変数 I,G
0<C’<1
輸入乗数モデル
C=C(Y)
Y=C+I+X-M+G
M=M(Y)
X 輸出
M 輸入
0<M‘<1
均衡予算乗数モデル
C=C(Y-T)
Y=C+I+G
G=T
T=租税(税収)
Y=C(Y)+I+G
Y=C(Y)+I+G+X-M(Y)
Y=C(Y-G)+I+G
線形近似
dY=C’(Y)dY+dG
dY=C’(Y)dY+dG-M’(Y)dY
dY=C’(Y-G)dY-C’(Y-G)dG+dG
Y₀=C(Y₀)+I₀+G₀
Y=C(Y)+I+G
を(C₀,Y₀,I₀,G₀)で
一次式で近似する。
Cの変化前の値
C’(Y)dY
C(Y)≒C₀+C’(Y₀)(Y-Y₀)
Y=C₀+C‘(Y₀)(Y-Y₀)+I+G ₀ +G-G₀
Y=C₀+I₀+G₀+C‘(Y₀)(Y-Y₀)+G-G₀
Y₀
₀
Y-Y₀=C‘(Y₀)(Y-Y₀)+ΔG
dY
dY
G
Y₁=C(Y₁)+I₁+G₁
ー Y₀=C(Y₀)+I₀+G₀
Y₁-Y₀=C(Y₁)-C(Y₀)+G₁-G₀
Y₁-Y₀≒C₀+C’(Y₀)(Y₁-Y₀)-C₀+G₁-G₀
dY=C‘(Y₀)dY+dG
C(Y ₀)
dY=C‘(Y₀)dY+dG
〔1-C’(Y)〕dY=dG
dY=dG/1ーC’(Y)
dY/dG=1/1-C‘(Y)
C’(Y)=0.8のとき、
Gが1兆円増えると、Yが
5兆円増える。
y
Δy
1/√2
)
x
1/√2
Δx
(y₀+Δy)²+(x₀+Δx)²-1=0
Y²₀+2y₀Δy+x²₀+2Δ₀x²-1=0
Y²₀+x²₀-1=0
2y₀Δy+2x₀Δx=0
Δy / Δx=-2x₀ / 2y₀=ー x₀ / y₀
国際収支統計とは
一定期間における国と国との間で
行われる経済取引を体系的に表し
たもの。
つまり、国単位で複式簿記を使う
ようなもの。