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バージニア大学の
大学での研究にみる
課題論文(EE)の利点
Karen Kurotsuchi Inkelas博士 ディレクター
Center for Advanced Study of Teaching & Learning in Higher Education
バージニア大学
2014年3月25日
発表の概要
•  発表者の略歴
•  発表内容についての背景
•  「課題論文」(EE)の説明
•  調査研究の目的
•  研究の方法
•  結果
•  結論
•  質疑
2 発表者の略歴
Karen Kurotsuchi Inkelas博士
•  CASTL‐HEの准教授兼ディレクター
•  バージニア大学
•  大学における「指導」のさまざまな側面が学生の「学び」に
どのように影響するかについて研究している
本研究に関わったその他の著者
•  Amy Swan博士
•  Joshua Pretlow博士
•  Jill Jones修士
3 背景情報
•  一般的に、米国の学生は以下分野の経験が乏しいまま
高校を卒業している
–  研究の実施
–  研究論文の執筆
–  大学の課題で一般的な、学術論文として正式な書式を使用した
長い論文の作成
•  一方、米国の大学では学生が大学で成功し、最終的に卒業
するために役立つ活動を割り出し、それを推進してきた
–  これらの活動は「ハイ・インパクト・プラクティス」と呼ばれる
–  ハイ・インパクト・プラクティスの1つが、教授の指導下での研究の実施
4 背景情報
大学で研究を実施している学生の傾向:
• 
• 
• 
• 
学業を成し遂げて卒業する
大学で好成績の収める
卒業後、進学する(修士、博士、専門学位の課程)
アカデミックな自信をより明確にもつ
疑問:高校での研究の実施が生徒にとって
大学でのさらなるメリットにつながるか
5 IBと「課題論文」(EE)
•  「課題論文」(EE)は
高校生に対して
IBの6教科のうちの
1教科に関連する
トピックについて
独立した詳細な研究
プロジェクトに携わる
よう求めるもの
6 「課題論文」(EE)の目的
•  研究スキルとコミュニケーションスキルを身につける
•  創造的かつ批判的な思考スキルを身につける
•  テーマに適した体系的な研究プロセスに従事する
•  知的発見の喜びを味わう
7 調査の目的
1.  「課題論文」(EE)に関して文書化されたカリキュラムの
ねらいがどの程度達成されており、大学生となった際に
大学での研究の中でどの程度継続されるか
2.  大学生は「課題論文」(EE)が大学に向けた準備として
どの程度、およびどのように役立つと考えているか
3.  「課題論文」(EE)の成績と、平均成績、継続率、大学卒業
後の進路という観点での大学での成功との相関関係があ
るとすれば、どのようなものか
8 調査方法
データ収集ツール
学生の記録 • SATスコア
• 高校でのGPA • 高校のランク
• IBおよび APテストのスコア
• 大学でのGPA 調査アンケート • 学生の背景情報
• 高校での研究経験 (EEを含む)
• 大学での研究経験
• 研究プロジェクトに関連する
執筆、メンターシップ、資料
の活用 学生との面談/ フォーカスグループ • 研究プロジェクトの詳細な説明
(EEと大学の両方)
• 大学での研究に向けた準備
• 身につけたスキルと研究
• 自信のあり方について
• 将来の計画 9 調査方法
サンプル:バージニア大学(UVa)
•  米国の優良大学ランキング第25位、
公立大学では第2位
•  1819年にトーマス・ジェファーソンが設立
•  11のスクールおよびカレッジ
•  在籍学生数:2万1106人(学部生1万4591人)
•  6年間での卒業率:94%
•  日本からの留学生46人
10 調査方法
サンプル:学生の記録
•  バージニア大学に在籍する
IBの経験者
•  (2008-2011年)
――1,045人
•  比較対象のサンプルとして、
バージニア大学に在籍する
アドバンス・プレースメント
(AP)経験者
――1,046人
2,091人 11 調査方法
サンプル:調査アンケート回答者
•  IB経験者およびAP経験者
1008人が調査アンケートに
回答
1,008人 2,091人 •  回答率46%
12 調査方法
サンプル:学生の面談
•  IB経験者の学生19人を4つの
フォーカスグループに割り当て
•  2人の学生は個人面談を実施
21人 1,008人 2,091人 13 結果
回答者のプロフィール
•  66%が女性
•  41%がマイノリティー
あるいは人種不明
•  75%以上が両親の
学歴が大学卒以上
•  SATの平均スコアの
パーセンタイル値が90-95
•  50%以上が年収10万ドル
•  高校での成績の平均評点を
以上の家庭出身
平均した値は4.22
(最高値4.0、優秀者加点を含む)
14 結果
回答者のプロフィール
•  大学での人気専攻科目:
– 
– 
– 
– 
– 
工学
社会科学
ビジネス
生物科学
未定
•  人気の希望進路:
– 
– 
– 
– 
– 
医学
ビジネス
未定
工学
政府機関/公務員
•  ほぼ80%が少なくとも修士、専門課
程あるいは博士課程の修了を希望
15 結果
質問1:「課題論文」(EE)のカリキュラムのねらいがどの程度達成されており、
学生が大学での研究へ移行する中でどの程度継続されるか
IB経験者およびAP経験者の学生のうち、大学でさまざまな種類の研究プロジェクトを 実施した者の割合 56.3
Classクラス課題 assignment
累積的プロジェクト (学位論文など) Cumulative project (e.g., thesis)
11.6
12.1
Job or internship
12.0
12.8
仕事およびインターンシップ Professor's
research project
教授の研究プロジェクト 8.6
8.7
Independent project
個人研究プロジェクト 9.4
8.2
Other
その他
65.0
AP
IB
2.0
2.4
0.0
10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 70.0
パーセンテージ 16 結果
質問1:「課題論文」(EE)のカリキュラムのねらいがどの程度達成されており、
学生が大学での研究へ移行する中でどの程度継続されるか
IB経験者およびAP経験者の学生の研究実施に対する楽しさの認識と関与の比較(平
均スコア) I am satisfied
with my research
私は自分の研究経験に experience
満足している AP
IB
I am 私は自分の研究プロジェクトでの proud of the work I produced for my
research
project
作業に満足している p<.006 ボンフェローニ
補正済み My research自分の研究経験の結果 experience interested me
興味をもてた 1.00
2.00
3.00
4.00
5.00
平均 17 結果
質問2:大学生は「課題論文」(EE)が大学に向けた準備として
どの程度、およびどのように役立つと考えているか
大学での研究に向けて、どの程度準備ができたかに関する IB経験者およびAP経験者の認識の比較 Very prepared*
大いに準備ができた*
AP
IB
Prepared*
準備ができた*
*は大きな
差を示す Moderately prepared
まあまあ準備ができた*
Unprepared*
準備できなかった*
まったく準備が Very unprepared
できなかった 0
5
10
15
20
25
30
35
パーセンテージ 18 結果
質問2:大学生は「課題論文」(EE)が大学に向けた準備として
どの程度、およびどのように役立つと考えているか
課題論文(EE)を経験したことが研究プロセスのさまざまな側面について 大学のレベルに備える準備となったというIB経験者の学生の認識 Identifying研究の問題点の特定
the research problem
Formulating a詳細な研究設問の立て方
precise research question
Gathering and interpreting
material 資料の収集と解釈
Structuring
a reasoned argument
裏づけのある議論の構築
Analyzing and synthesizing
knowledge
知識の分析と合成
Making研究計画の立案とモニタリング
and monitoring a research plan
Gathering and selecting
information
情報の収集と選択
Assessing the value and utility of data
データの価値と有用性の評価
Analyzing the data
データの分析
Drawing conclusions
結論の導き方
Creating a reference list
参考文献目録の作成
Citing other literature using a standard style
標準的な書式の文献対照注の作成
7.0
8.2 8.2 8.5 8.5 8.3 7.8 8.3 8.3 8.4 8.6 8.9 9.2 7.5
8.0
8.5
9.0
9.5
平均で1-­‐10 19 結果
質問2:大学生は「課題論文」(EE)が大学に向けた準備として
どの程度、およびどのように役立つと考えているか
•  IB経験者の学生は、「課題論文」(EE)を経験したことで
大学レベルの記述課題に関する不安が和らいだと感じている
「社会学のクラスで1年目に初めての研究論文を書いた時のことを覚
えています。10∼12ページ程度だったと思いますが、教授はいかに
もその課題が難しいように感じさせていたように思います。多くの学
生が不安を感じていたようですが、私は、よし、と思いました。自分は
できる、と。それまでに似たようなものを仕上げたことがありました。
思い返してみると、『課題論文』(EE)である程度の準備ができてい
たと感じます」
「実際には研究論文を書いたのは2クラスだけでしたが、その両方と
も、メンバーは同じ学校または違う学校のIBプログラムの経験者で
した。全員、『課題論文』(EE)より難しいことはないだろうと軽く考え
ることができたのです」
20 結果
質問3:課題論文(EE)の成績と大学での成功に相関関係がある
とすればどのようなものか
「課題論文」(EE)の成績と大学での平均点
•  「課題論文」(EE)の成績と累積の成績平均点(GPA)の
相関関係は、低∼中程度(r = .20-.40)
•  性別、人種、所得、高校での成績、標準テストのスコア
を調整すると、「課題論文」(EE)のスコアは、統計的に、
1学期のGPAおよび累積の最終学期のGPAと相関す
るが、それほど有意な予測因子ではない
• 
21 結果
質問3:課題論文(EE)の成績と大学での成功に相関関係がある
とすればどのようなものか
「課題論文」(EE)の成績と予定年数での卒業率
100
予定年数での卒業率
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
EE 2
EE 3
EE 4
EE 5
EE 6
課題論文(EE)の成績 22 結果
質問3:課題論文(EE)の成績と大学での成功に相関関係がある
とすればどのようなものか
「課題論文」(EE)の成績と
進路希望および教育に関する期待
•  「課題論文」(EE)の成績は以下の項目には
関係しない:
–  進路希望
–  教育に関する期待
23 結果のまとめ
•  「課題論文」(EE)の経験は、バージニア大学のIB経験者の
学生に対し、次のような影響を与えている:
  大学レベルの研究プロジェクトに参加する傾向にある
  大学で研究する準備ができているという意識がある
  各自の研究に対して満足感と誇りをもつ
  大学レベルの記述課題に対してそれほど不安を感じない
  「課題論文」(EE)の成績と大学の成績との関係は比較的弱い
  「課題論文」(EE)の成績と予定年数での卒業率、教育に関する期待、
および希望する進路にはほとんど、あるいはまったく関係性がない
24 本調査から言えること
•  IB経験者の学生は、研究計画の立案やモニタリングについ
ては、準備ができていると感じていない。IBは研究プロセス
のこの側面について、さらに明示的に取り組む余地がある。
•  高校で研究プロジェクトを実施した経験をもつIB経験者の学
生は、大学入学時に、より洗練された「実際の」研究を手が
けることを望んでいる。大学は、この点を考慮しておくこと。
•  上記2点にかかわらず、IB経験者の学生は、研究スキルの
習得とアカデミックな自信の構築の両面から、「課題論文」
(EE)に取り組んだことによる明確な利益を享受している。
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