2014年7月24日
化学システム演習Ⅰ
-移動現象論Ⅰ(熱移動論)-
今日の演習範囲
・演習問題3(授業で配布)・・・【1】~【4】
演習問題2
[1]十分に長い円管(内半径r1、外半径r2、熱伝導率k一定)の温度が、内壁面で
T1、外壁面でT2に保たれている。この時、半径方向の温度分布および伝熱量を
与える式を導出せよ。
一次元定常熱伝導方程式は、円柱の場合、
dT
d
dr kr dr
T1
=0 ・・・①
熱伝導率kが一定ならば、①式は
d
dT
r
dr
dr
=0
T2
r1
r2
・・・②
②をrで積分すると、
dT
r
=C1
dr
dT
C1
dr = r
T=C1ln r +C2 ・・・③
C1、C2:積分定数
ここで、r=r1の時、T=T1、 r=r2の時、T=T2、より、
T1=C1ln r1 +C2
T2=C1ln r2 +C2
C2=T1-C1ln r1より、
T2=C1ln r2 + T1-C1ln r1
T2- T1
C1=
ln r2-ln r1
C1、C2を T=C1ln r +C2
に代入すると、③式は
ln(r/r1)
T=(T2-T1)
+T1
ln(r2/r1)
(温度分布を与える式)
また、半径r、長さLの円筒面を単位時間内に通過するr方向
の熱量Qrは、
伝熱量Qr=q×伝熱面積
q=-k
dT
dr
より、
dT
C1
Qr= -k dr (2πrL) = -k・
・2πrL
r
1
T2- T1
= -k・
・
・2πrL
r
ln (r2/ r1)
=
2πkL
(T1-T2) (伝熱量)
ln (r2/r1)
[2]円管(内半径r1、外半径r2、熱伝導率k一定)の管内外が温度Tf1、Tf2の流体に
さらされていて、管内外壁面における熱伝達係数をh1、h2とするとき、管長L当た
り単位時間に通過する熱量Qを与える式を導出せよ。
[1]より、管内壁熱伝導による伝熱量は、
Q=
2πkL
ln (r2/r1)
(T1-T2)
T1
・・・①
r1
Tf1
管内流体から管内壁への熱伝達より、
Q=h1(Tf1-T1)・2πr1L ・・・②
管外壁から管外流体への熱伝達より、
Q=h2(T2-Tf2)・2πr2L ・・・③
定常状態のとき、①=②=③である。
Tf2
r2
T2
熱移動抵抗は、内側から順に、 R=ΔT/Qより
1
R1=
2πr1Lh1
T1
ln (r2/r1)
R2=
2πkL
1
R3=
2πr2Lh2
r1
Tf1
r2
Tf2
全熱移動抵抗Rは、
1
R=R1+R2+R3=
2πL
1
+
r 1 h1
1
r2
1
ln
+
r2h2
r1
k
よって、伝熱量Qは、
Tf1-Tf2
ΔT
Q=
=
=
R
R
( Tf1-Tf2 )(2πL)
r2
1
1
1
+
ln
+
r
r2h2
r 1 h1
k
1
T2
鋼
[3]右図のように、厚さ50mmの2枚の板の
中間に薄いヒーターが挟まっている。板の
一方は鋼で、k1=53W/(m・K)、他方はア
ルミニウムでk2=204W/(m・K)、鋼の外表
面温度は100℃、アルミニウムの外表面温
度は40℃である。また、ヒーターの発熱量
は40kW/m2であった。鋼板内を通る熱量q1
とヒーター部の温度T0を求めよ。ただし、接
触熱抵抗はないものとする。
アルミニウム
T0=?℃
T1=
100℃
q1
q2
L=50mm L=50mm
また、どちらかの板の温度分布が一様とな
り、熱が流れない状態が作り出せるかどう
か調べよ。
ヒーター
(発熱量q=40kW/m2 )
図の温度分布を考えると、q1、q2はそれぞれ、
T0-T1
q1 =k1
L
T2 =
40℃
、q2 = k2
T0-T2
L
ヒーターの発熱量は、q=q1+q2= k1 T0-T1 + k2 T0-T2
L
L
T0-T1
T0-T2
q=q1+q2= k1
+ k2
L
L
鋼
アルミニウム
T0=?℃
qL= k1 ( T0-T1)+ k2( T0-T2 )
T1=
100℃
q1
qL
T0=
+ k1 T1+ k2T2
k1 + k2
k1 + k2
q2
T2=
40℃
L=50mm L=50mm
q= 40kW/m2 、L=50mm=50×10-3m、
T1=100℃、 T2=40℃、 k1=53W/(m・K)、
k2=204W/(m・K)より、
T0=60.2℃
q1 = k1 T0-T1 =-42.2kW/m2
L
ヒーター
(発熱量q=40kW/m2 )
計算結果より、実際の温度分布は右図の通り。
ここで、T1=T0=100℃になれば、鋼板
内の温度分布が一様となり、鋼板内に
熱が流れない状態が作り出せる。
この時、q1=0、
q2 = k2
鋼
アルミニウム
T0=100℃
T1=
100℃
T0=
60.2℃
q1
T0-T2
100-40
=(204)・
L
50×10-3
=224.8×103W/m2
T2=
40℃
q2
ヒーター
(発熱量Q )
=224.8kW/m2
すなわち、ヒーターの発熱量Qを224.8kW/m2にすれば、
T1=T0=100℃とすることができ、熱が流れない状態を
作り出すことができる。
[4]厚さ2Lの平板状のヒーター(熱伝導率
k)内で、一様に単位時間・単位面積当りH
の一定の発熱がある。ヒーターの表面は
温度Tfの流体にさらされており、熱伝達係
数はhである。定常状態におけるヒーター
内の最高温度T0およびヒーター表面温度
TLを与える式を導出せよ。なお、座標系は
右図のように取ること。
T
T
0
TL
h
T
Tf
-L
0
温度分布の対称性を考慮して、0≦x≦Lの範囲を考える。
内部発熱を伴う一次元定常熱伝導方程式は、
H
d2T
+
=0 ・・・①
2
k
dx
境界条件は、
dT
x=0の時、
dx
x=0
dT
x=Lの時、 -k dx
h
=0 ・・・②
x=L
=h(T-Tf) ・・・③
L
f
x
H
d2T
+
k
dx2
H
d2T
=-
2
k
dx
=0 ・・・①
dT
H
=-
x+C1
dx
k
さらに積分すると、
を積分すると、
・・・④
T=-
H 2
x +C1x+C2 ・・・⑤
2k
②、④より、C1=0
③、④、⑤より、 -k - HL
k
HL2
=h -
+C2-Tf
2k
HL
HL2
C2=
+
+Tf
h
2k
よって温度分布は
H 2
HL2
T=-
x +C1x+C2 =
2k
2k
x 2
HL
1-
+
+Tf
h
L
HL2
T =
2k
x
1-
L
2
HL
+ h +Tf
より、
T
T
0
最高温度T0は、x=0の時なので、
2
HL
HL
T0 =
+
+Tf
h
2k
T1
h
T
Tf
-L
0
ヒーター
ヒーター表面温度TLは、x=Lの時なので、
HL
TL =
+Tf
h
h
L
f
x