地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 北方建築総合研究所 平成24年度 年報 ●研究期間:平成24年度(終了) ●研究区分:共同研究 構造耐力が向上する発泡プラスチック外張断熱壁の構造仕様 構築のための研究 ●研究担当:北方建築総合研究所 環境科学部構法材料グループ ●共同研究機関:発泡プラスチック断熱材連絡会 (協力機関:北海道工業大学) 柱 間柱 構造用合板(t9) 縦通気胴縁(t18) 梁 これまで当所で行ってきた関連研究により、構造 用面材を耐力要素とする外張断熱壁について、構造 耐力が確保されるメカニズムを明らかにすると共 に、壁構成を大きく変えることなく構造耐力を向上 させることが可能であることを示してきました。 本研究では、これまで関連研究で検討されなかっ た外張断熱厚さが 50mmとなる場合の構造仕様を 検討すると共に、外張断熱壁の構造耐力の確保と普 及を図るための技術資料に活用できる構造耐力に係 るデータを作成することを目的としています。 横胴縁(50 角) 研究の背景・目的 横胴縁(50 角) ・ 土台 研究の概要・成果 ※接合具:構造用面材-CN50@150、 横・縦通気胴縁-「パネリード P6-120」または「X-ポイントビス 6.0×130」 使用した断熱材:XPS3 種、EXS 特号、PF1 種 2 号、PUF2 種 2 号 発泡プラスチック外張断熱壁について、更なる構 造性能の向上が見込まれる縦胴縁と横胴縁を併用し た外張断熱壁の耐力実験を行い、その結果に基づき、 縦胴縁と横胴縁を併用した外張断熱厚さ 50mm の 耐力壁の構造仕様を提案しました。また、提案した 外張断熱壁を構成する釘・木ねじ接合部(接合具: 釘8本、木ねじ4本)のせん断実験を実施しました。 提案した外張断熱壁の主な仕様は次のとおりで す。 ・構造用面材の留め付け釘は在来住宅構法におい て一般的な CN50@150 とする。 ・50×50mm の横胴縁を、外張断熱用木ねじで 構造用面材の上から横架材へ留め付ける。木ね じの留め付け間隔は 450mm とする。 ・横胴縁の間に厚さ 50mm の発泡プラスチック 断熱材を設置する。 ・断熱材の上から厚さ 18mm の縦胴縁をあてつ け、外張断熱用木ねじで柱・間柱へ留め付ける。 木ねじの留め付け間隔は 300mm とする。 提案した外張断熱壁による耐力実験(図1)の結 果、壁倍率換算値(低減係数αは未考慮)は 5 を超 えること、断熱材による短期基準せん断耐力の相違 は 18.7~22.2kN となることが確認できました(図 2)。また、接合部の最大せん断荷重は断熱材によっ て 3kN 程度ばらつくことなどが分かりました(図 3)。 図1 25 25 50mm 外張断熱壁の構造仕様と構造実験 本研究(横胴縁併用)によ る構造性能の更なる向上 20 20 荷重(kN/m) 荷重(kN/m) 15 15 既往の提案(縦通気胴縁) による構造性能の向上 10 10 55 00 0.00 0.00 0.01 構造用合板のみ 既提案仕様 断熱材A 断熱材B 断熱材C 断熱材D 0.02 0.02 0.03 0.04 0.04 0.05 0.06 0.06 0.07 真のせん断変形角(rad) 真のせん断変形角(rad) 図2 提案した 50mm 外張断熱壁の構造性能の検証 荷重(kN) 3.0 20.8 20.8 20.6 20.6 A B 2.0 22.7 22.7 20.1 20.1 1.0 0.0 C D 断熱材 図3 釘・木ねじ接合部の構造性能の確認 今 後 の 展 開 本研究の成果は、共同研究機関である発泡プラスチック連絡会が技術普及資料として取り纏め、耐震性確保 とエネルギー削減に同時に貢献できる壁構法として普及を図ります。 42
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