第5回

安全学基礎
ー 確率論的安全評価(2) ー
システム創成学科
ETAとFTAの組合せ
A
A
B
C
D
OK
OK
OK
ABCD
M
U
N
V
小ET/大FT
大ET/小FT
X
Y
Z
1
基本事象発生確率の評価
(不)信頼度
„
ある時刻に機器が故障していない(いる)確率
アンアベイラビリティ
„
規定時間内に機器が故障状態にある確率
一定故障率λで故障する機器
„
„
„
故障密度(指数分布)
f (t ) = λe −λt
R (t ) = e −λt
信頼度
∞
1
MTBF = ∫0 λte −λt =
平均故障間隔
λ
設備機器の故障率
安定期
損耗故障期
故障率
初期故障期
使用時間
2
常用系の信頼性(1)
常用系
„
„
„
„
設備運転中は稼動している。
故障は直ちに検出され、修理される。
時間あたりの修復率 µ
∞
1
MTTR = ∫0 µte −λt =
平均修復時間
µ
平均アンアベイラビリティ
Pu =
MTTR
λ
=
MTBF + MTTR µ + λ
常用系の信頼性(2)
P 健全状態にある確率
Q 故障状態にある確率
状態遷移図
λ
P
定常状態
dP dQ
=
=0
dt dt
λP = µ Q
P + Q =1
P=
µ
µ +λ
Q=
λ
µ +λ
Q
µ
dP
= µ Q − λP
dt
dQ
= λP − µ Q
dt
3
待機系の信頼性(1)
待機系
„
„
„
„
„
設備運転中は待機し、必要に応じて起動する。
故障は起動するか点検しないと発見されない。
点検は一定期間Tで行われる
故障が発見されると直ちに修理される。
修理に要する時間は点検間隔と比較して無視
できる。
常用待機系の信頼性(2)
平均アンアベイラビリティ
アンアベイラビリティ
Pu =
λT
1 T
1
−λt
−λT
−
e
dt
=
−
−
e
≈
(
1
)
1
(
1
)
∫
T 0
λT
2
平均
T
時間
4
荷重強度システムの信頼性(1)
荷重強度システム
„
使用環境がシステムに及ぼす荷重が強度限
界を超えた時に故障するようなシステム
応力
要求
電圧
温度
ー 材料強度
− 処理容量
− 絶縁耐圧
− 最高許容温度
荷重も強度も不確か → 確率変数
荷重Lの密度関数 fL
強度Sの密度関数 fS
故障確率
Pf = P ( S ≤ L)
確率密度/確率
荷重強度システムの信頼性(2)
強度 FS
荷重 fL
fS
荷重/強度限界
+∞ x
= ∫−∞ ∫−∞ f S ( y )dy f L ( x)dx
+∞
= ∫−∞ FS ( x) f L ( x)dx
5
不確かさの原因と種類
パラメータの持つ不確かさ
„
„
„
不確定性(variability)
統計的不確実性(uncertainty)
専門家による判断の不完全性
モデル化の過程で入り込む不確かさ
„
„
„
モデルの不完全性
想定の非現実性、知識の不足
リスクの評価の際に用いた近似
不確かさの表現
点推定
„
平均値のように、そのパラメータの評価結果を代表す
る単一数値
点推定の周りの不確かさの表現
„
„
„
„
確率密度関数
標準偏差
上下限値: 累積度数で5%と95%の値が一般的
エラーファクター(EF): 上限値/下限値
6
不確かさ解析(1)
ORゲートの場合
相関係数
Y = X1 + X 2
ρ=
µY = µ X 1 + µ X 2
σ Y2
= σ X2
1
+ σ X2
2
E[( X 1 − µ X1 )( X 2 − µ X 2 )]
+ 2 ρσ X 1σ X 2
σ X1σ X 2
ANDゲートの場合
Y = X1 ⋅ X 2
µY = µ X1 µ X 2 + ρσ X1σ X 2
σ Y2 = ( µ X2 1σ X2 2 + µ X2 2σ X2 1 + σ X2 1σ X2 2 )(1 + ρ ) 2
不確かさ解析(2)
確率分布
入力データ
X1
評価結果
計算モデル
(モデル化誤差)
X2
Y
X3
一般的には統計的サンプリング法(モンテカルロ
シミュレーション)などが用いられる。
7
従属故障
以下の関係があるときAとBは従属である
P(A∩B) = P(B|A)P(A) > P(A)P(B)
„
従属性があると冗長性による安全対策が有効
に働かなくなる
従属故障の具体例
„
„
2基の非常用電源を同じ部屋に設置していた
ので、火災(地震)で両方とも破損した。
2台の装置のスイッチが隣合せにあったので、
1台を起動し忘れたらもう片方も忘れた。
従属故障の分類
共通モード故障
„
複数の同一機器が同時に従属的に同じ故障モードで
故障する
伝播型故障
„
ある機器の故障が原因で別の機器の使用環境が大
きく変化して故障する
共通原因故障
„
単一の出来事に起因して複数機器の故障が同時に
起る
共有設備
„
複数設備で補助系統などを共有している場合に共有
部分が故障する
8
FTAでの従属故障の考慮
T
XとZの故障のうち、共通原
因による部分Cを分離して
FTを作成
P
X
T = XP
X
C
= (X +C)(Y+Q)
=(X +C)(Y+ZW)
=(X +C){Y+(Z +C)W}
= X Y+X Z W+X CW+CY+CW
= X Y+X Z W+CY+CW
Q
Y
Z
Z
W
C
パラメトリックな従属性モデル
T
βファクター法
„
„
同一機器の故障Pを関
する従属部分Pcと独立
部分Piに分解
従属部分の故障率割合
をβと仮定
P
P
P
T
PT = Pin + Pc
= (1−β)nPn + βP
I
Pi
Pi
Pc
Pi
9
定量的リスク評価の限界
基礎データ、計算モデルなどに多くの不確
かさや仮定を含み客観的でない
ヒューマンファクタや社会組織要因などが
十分考慮されておらず不完全
何を損害と考えるか(エンドポイント)につ
いては価値観に左右される
リスクコミュニケーションに有効でない
定量的リスク評価の意義
安全目標が達成されていることの確認
„
ただし達成できたといって安心してはいけない
安全性向上のための対策立案
„
どこを改善すればさらに安全が向上するか
同一目的を達するための複数手段の比較
„
相互比較によりリスク最小の選択肢を選択できる
資源(資金・労力)の最適投資
„
投入資源に対するリスク削減効果の最大化
10