118 妊婦検体から抗 Bga 抗体の存在が示唆された一症例 ◎金海 仁在 1)、瀬口 周 1)、川村 知織 1)、児玉 真由美 1)、河合 健 1)、初田 和由 1)、佐野 道孝 1) 独立行政法人 国立循環器病研究センター 1) 【はじめに】赤血球抗原 Bennett-Goodspeed-Sturgeon(以 【考察】健常人において多数の症例では Bg 抗原の赤血球 下;Bg)は HLA-ClassⅠ抗原が赤血球表面に発現したもの 上への発現はない、もしくは発現していても極めて微量で として知られる。一般的に B17、Bgcは Bga は HLA-B7、Bgbは HLA- HLA-A28 と関連する。今回、不規則抗体同定 不能検体から抗 Bga 抗体を推定し得たので報告する。 ある。また、発現量に個体差が見られること、抗 Bg 抗体 の力価に違いがあることも要因となり、抗原表に表示され たパターン通りに反応することは珍しい。これらの要因で 【症例】28 歳女性、輸血歴なし。既往帝王切開後の経産婦。 抗 Bg 抗体は同定不能と判定される事が多いと考えられる。 他院にて不規則抗体検査を行うも同定できず、妊娠 32 週時 本症例における抗 Bga 抗体も、当初は特異性が不明な抗体 に当センター紹介となった。 として検出されたが、経産婦であるという情報をもとに 【結果】患者の ABO 式血液型は A 型、Rh 系血液型は HLA 抗体が検出されたことにより存在が示唆された。患者 R1R2 であった。不規則抗体スクリーニング検査、同定検査 HLA 抗体は、HLA-B7 抗原を含む交差反応性グループ ともに間接抗グロブリン法のみ陽性。抗原表を用い消去法 (Cross reactive group; CREG)で陽性と判定されており、抗 を行ったが、特異的な反応パターンは認められず抗体同定 Bga 抗体として交差反応した可能性も考えられる。 不能であった。DAT は陰性。HLA 抗体検査ではスクリー 【結語】抗 Bga 抗体の赤血球抗体としての臨床的意義は、 ニング検査陽性、Single Antigen による同定検査では、B7 ほとんどないものとされている。しかしながら、HLA 抗体 抗原を含む多くの B-Locus において陽性。さらに B7 抗原 としての臨床的意義は重要であり、血小板輸血時には 陽性の自家製パネル血球を用いた LISS-間接抗グロブリン HLA 適合血小板の使用が必要である。 法でも陽性であった。 連絡先(06)6833-5004 (内線 2234)
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