演習問題1及び略解

線形代数学Ⅰ 演習問題 1
2014 年度前期
工学部 1 年
担当: 原 隆 (未来科学部数学系列・助教)
※レポートを提出したい人は、以下の注意点を守って提出して下さい。
(ⅰ) 必ず分かるところに学籍番号、学科、氏名を書いて下さい。
(ⅱ) A4 の紙を用いて、複数毎になる場合はホチキスや針無しステープラーで綴じて下さい。
(ⅲ) 提出期限は 4 月 25 日の講義の開始前迄 とします。
問題 1. xy 平面上の位置ベクトル p =
( )
x
y
に対して、p を直線 ℓ : y = x で折り返したベクトル
Aℓ (p) を対応させる規則を Aℓ で表すとき、以下の設問に答えなさい。
(1) Aℓ が線形変換であること、即ち
Aℓ (a + b) = Aℓ (a) + Aℓ (b)
Aℓ (ka) = kAℓ (a) (但し k は実数)
が成り立つことを、図を描いて確認しなさい。
(( ))
(( ))
(2) ベクトル Aℓ
1
0
及び Aℓ
0
1
を求めなさい。
(3) 線形変換 Aℓ を表す行列を求めなさい。
※ 余力がある人は、より一般に「直線 ℓθ : y = (tan θ)x に関する折り返し Aℓθ 」を表す行列を求
めてみよう!
1
【略解】
問題 1.
(1) Aℓ が線形変換であることを示そう。
(a) Aℓ (a + b) = Aℓ (a) + Aℓ (b)
y
ベクトルの始点を O としたときのベクト
C′
ル a, b, a + b の終点に対応する点をそ
れぞれ A, B, C とし、ベクトル Aℓ (a),
Aℓ (b), Aℓ (a) + Aℓ (b) の終点に対応する点
ℓ
Aℓ (a) + Aℓ (b)
′
A
をそれぞれ A′ , B ′ , C ′ とする。
このとき、平行四辺形 OA′ C ′ B ′ は平行
Aℓ (b)
B′
B
Aℓ (a)
四 辺 形 OACB を ℓ に 関 し て 折 り 返 し
b
O .
たものとなる (右図を参照のこと)。した
a
がって、a + b を ℓ に関して折り返すと
x
a+b
C
A
Aℓ (a) + Aℓ (b) と一致する、即ち
Aℓ (a + b) = Aℓ (a) + Aℓ (b)
が成り立つ。
(b) Aℓ (ka) = kAℓ (a)
ベクトルの始点を O としたときのベクト
y
ℓ
ル a, ka の終点に対応する点をそれぞれ
P
A, P とし、ベクトル Aℓ (a), kAℓ (a) の終
点に対応する点をそれぞれ A′ , P ′ とする。
′
kAℓ (a)
A′
このとき、直線 ℓ と線分 OA の成す角は
直線 ℓ と線分 OA′ の成す角と等しく、し
かも OP = OP ′ (= |k||a|) が成り立つ。
Aℓ (a)
したがって、ka を ℓ に関して折り返すと
O .
kAℓ (a) と一致する、即ち
Aℓ (ka) = kAℓ (a)
が成り立つ。
2
P
a
A
ka
x
(2) Aℓ
(( ))
1
0
及び Aℓ
(( ))
0
1
を求める。
( )
( )
1
0
e1 =
, e2 =
とおくと、e1 と e2
0
1
は ℓ に関して対称な位置にある。つまり、e1
y
ℓ
1
を ℓ に関して折り返すと e2 となり、e2 を ℓ
e2
に関して折り返すと e1 となる。
まとめると
(( )) ( )
1
0
Aℓ
=
,
0
1
(3)
( )
x
y
O.
(( )) ( )
0
1
Aℓ
=
.
1
0
e1
1
x
= xe1 + ye2 であったから、
(( ))
x
Aℓ
y
=
線形性 (b)
=
=
Aℓ (xe1 + ye2 )
=
Aℓ (xe1 ) + Aℓ (ye2 )
(2)
xAℓ (e1 ) + yAℓ (e2 ) = xe2 + ye1
( ) (
)( )
y
0 1
x
=
.
x
1 0
y
したがって線形変換 Aℓ を表す行列は
※同様にして線形変換 Aℓθ を表す行列は
線形性 (a)
(
0
1
1
0
(
cos 2θ
sin 2θ
直線 ℓθ に関する 鏡映変換 と呼ぶ)。
3
)
となる。
sin 2θ
− cos 2θ
)
と計算出来る (この線形変換 Aℓθ を、