2.1 同次形微分方程式 1 2.1 同次形微分方程式 ¶ 同次形微分方程式 ³ y y′ = f ( ) x で表わされる微分方程式を同次形 (homogeneous) という.ここで v = y x とおくと,y = vx より y ′ = v ′ x + v となり,これを元の微分方程式に代入すると v ′ x + v = f (v) を得る.ここで変数を分離すると v′ 1 = f (v) − v x となり,確かに変数分離形.この両辺を積分すると ∫ となる.これに v = µ ¶ 同次関数 y x dv = log x + c f (v) − v を代入すると一般解を得る. ´ ³ M (tx, ty) = tn M (x, y) を満たす関数 M (x, y) を n 次の同次関数 (homogeneous function) という. µ ¶ 同次形の見分け方 M (x, y)dx + N (x, y)dy = 0, y ′ = − ´ ³ M (x, y) N (x, y) において,M (x, y) と N (x, y) が同じ次数の同次関数ならば,与えられた微分方程式は同次形. µ ´ 問 2.1 次の微分方程式を解け (1) y ′ = x−y x+y (2) y ′ = (3) y ′ = x−y+1 x+y−1 x+y−1 x+y+1 2.2 完全微分形微分方程式 ¶ 全微分 ³ 2 変数関数 u(x, y) の全微分は du = ux dx + uy dy で与えられる.よってもし 2 つの偏導関数 ux , uy がわかれば,全微分 du が求まる.逆に,関数の全微分が わかると次の例題が示すように,その関数を任意の定数の範囲できめることができる. µ ´ 例題 2.1 ある関数 u(x, y) の全微分は du = 3x(xy − 2)dx + (x3 + 2y)dy で与えられている.このとき,u(x, y) を求めよ. 2 ¶ 完全微分形 ³ 1 階の全微分方程式 M (x, y)dx + N (x, y)dy = 0 の左辺がある関数 u(x, y) の全微分 du に等しいならば,この方程式の一般解は u(x, y) = c で与えられ,このような方程式を完全微分形 (exact) という. µ ´ 問 2.2 3x(xy − 2)dx + (x3 + 2y)dy = 0 を解け. ¶ 定理 ³ M (x, y) と N (x, y) の 1 階の偏導関数が,ある領域 {(x, y) : a < x < b, c < y < d} 上で連続であるとする. そのとき,次の条件は同値である. (1) M (x, y)dx + N (x, y)dy = 0 は完全微分形である (2) My = Nx µ ´ 証明 (1) ⇒ (2) 微分方程式が完全微分形ならば,du = M (x, y)dx + N (x, y)dy となる関数 u(x, y) が存在する.よって M = ux , N = uy を得る.次に M を y で偏微分,N を x で偏微分すると My = uxy , Nx = uyx となる.ここで My , Nx は仮定より連続なので uxy , uyx も連続である.よって微積分学で学んだ Schwartz の定 理 (Schwarz lemma) より uxy = uyx となり,My = Nx を得る. (2) ⇒ (1) ¥ この定理の証明の中に完全微分形のときの解 u(x, y) が与えられている.つまり My = Nx のとき,一般解は ∫ ∫ x y M (ξ, y)dξ + u(x, y) = x0 N (x0 , η)dη = c y0 で与えられる. 問 2.3 (y cos x − sin y)dx + (sin x − x cos y)dy = 0 を解け. 問 2.4 初期値問題 (2xy + 3y)dx + (4y 3 + x2 + 3x + 4)dy = 0, y(0) = 1 を解け. 公式 u(x, y) = ∫x x0 M (ξ, y)dξ + ∫y y0 N (x0 , η)dη を用いて,一般解を求める方法の他に,もっとよく用いられて いる方法にくくり直し法 (grouping method) とよばれているものがある.この方法を次の例題を用いて説明 する. 例題 2.2 (2x + 3y)dx + (3x + y 2 + 3)dy = 0 を解け.
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