研究課題

研究課題
■高融点金属のぜい性改善
周期表Ⅵa 族のモリブデン(Mo),タングステン(W)は代表的な高融点金
属です。これらの金属に共通した問題は,高温・長時間熱処理あるいは溶接(接
合)処理により結晶粒が粗大化すると,材料の低温延性が著しく損なわれるこ
とです。いわゆる“低温ぜい性”と呼ばれる現象です。低温ぜい性の主因はぜ
い弱な粒界の存在にあります。
本研究室では,化学組成およびミクロ組織制御の両面からぜい性改善に取り
組んでいます。
参考資料:
T.Kadokura et al., Mater. Trans. 51 (2010) 1296-1301
Y.Hiraoka, H.Kurishita, Adv. Mater. Sci. Eng. (2011) Article ID:509457(7pp)
角倉他 2 名, 粉体および粉末冶金 58, (2011) pp.655-660
T.Kadokura et al., Proc. of 2012 Powder Metallurgy World Congress,
Yokohama/JAPAN, (2012) 18E-T10-4 (6 pages)
角倉他 2 名, 粉体および粉末冶金 61, (2014) pp.67-72
■モリブデン中における炭素の移動挙動
炭素はモリブデンの粒界強化に対して非常に有効な元素です。例えば,きわ
めて少量(数 ppm 程度)の炭素を添加しても,破断様相は「粒界破断型」から
「粒内破断型」に劇的に変化します。このことを利用すれば,破面観察から炭
素の移動挙動を推測することができます。
本研究室では,モリブデン中の炭素の移動挙動に及ぼす材料の内部因子(化
学組成,ミクロ組織等)および外部因子(雰囲気,界面状態等)の影響を調べ
ています。
参考資料:
Y.Hiraoka et al., J. Alloys & Comp. 489(2010) 42-46
Y.Hiraoka et al., Poster of iib2010, Mie Pref./JAPAN (2010)
■タングステン基 W-Me 複合材料(Me:Cu,Ag)の変形および破断挙動
高融点金属であるタングステンは,室温付近で延性を全く示さないもろい材
料です。一方,低融点金属である銅(Cu)あるいは銀(Ag)はひじょうに加工
性に富んだ材料です。
本研究室では,このような金属を組み合わせた複合材料(W-Cu,W-Ag ある
いは W-(Ag-Cu))の変形及び破断挙動を調べています。
参考資料:
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H.Hanado, Y.Hiraoka, Mater. Trans. 48(2007) 775-779
■Ag-Cu 系フィラー金属を用いたタングステン-銅複合材料の接合
一般に W-Cu 複合材料の形状は,製造上の制約により、ブロック状といった
単純なものです。したがって,複雑形状をもった最終製品を得るためには,複
合材料同士の接合が是非とも必要になります。
本研究室では,W-20vol%Cu 複合材料を対象にして,Ag-Cu 系フィラー金属を
用いた接合に取り組んでいます。特に Ag-Cu 系フィラー金属に少量のチタンを
添加して,接合性に及ぼすチタンの役割を調べています。
参考資料:
K.Nosaki et al., Proceedings of IBSC2012, Las Vegas/USA(2012) pp.470-474
T.Itohara et al., Proc. of 18th Plansee Sem., Reutte-in-Tirol/Austria, (2013), RM 96/1 (9
pages)
Y.Hiraoka, T.Itohara, Proc. of IJST 2013, Osaka/Japan, (2013), LBB-1 (2 pages)
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