数学の世界 C 講義メモ(6 月 4 日) 1. 前回の提出課題について(省略,前回の講義メモのその 2 を参照すること). 2. 地球上で地球上で A 地点から B 地点の方角を調べる. アイデアは北極 N と合わせた 3 点 N,A,B を頂点とする三角形に余弦定理を適用する.∠NAB が A から B への方角が真北から何度ずれているかを表す.講義では a, b, c, γ という記号を使ったが,こ こでは AB を線分 AB の長さとして余弦定理を次のように書いておこう. cos NA AB NA AB NB = sin sin cos ∠NAB + cos cos R R R R R これに北極までの距離 (NA,NB) と緯度 (θ1 , θ2 ) の関係 sin θ2 = cos θ1 sin この式で cos π NA − θ1 = を代入すれば 2 R AB AB cos ∠NAB + sin θ1 cos R R AB = α とおけば,結果の式が得られる.計算は煩雑に感じられるかもしれないが,余 R 弦定理と緯度と北極との距離の関係を使うだけの議論だ.如何だろうか. 3. 表計算ソフトによる計算 距離と方角を求めるための式は得られたが,この式から手計算で距離や方角を出すことはまず不可能 といってよい.しかし,エクセル(あるいは Libre Office の Calc)を使えば,簡単に計算できる.計 算用のファイルをホームページにおいておくので,16 ページの解説を見ながら計算してみてほしい. 4. 球面上での正三角形の作図(問 9 参照) 線分 AB を一辺とする正三角形を作図するには,A を中心とし B を通る円と,B を中心とし A を通 る円の交点を C とすればよい.しかし,平面の場合と異なり,この二つの円は必ずしも交わらない.例 えば A を北極,B を南緯 80 度の点とすれば,A を中心とし B を通る円は南緯 80 度の緯線なので,南 極大陸の中に含まれる.一方 B を中心とし A を通る円も同じ半径の円なので北極の近くを離れること はない.これら二つの円は交わらない. そこで,二つの円が交わるための条件を解説した.説明を尽くしたとは言い難いので分からなかった 人も多いだろうが申し訳ない. • 線分 AB を赤道上にとり,北極方向から投影した円の上で考える. • A を中心とする円は,OA と直交する直線が円で切り取られる線分である. A を北極とすれば,A を中心とする円は緯線である.地球を北極が真上に来るように横から眺 めれば,緯線は水平な線分になっている. • この事実から,球面上で A を中心に B を通る円を描くことは,B を通り OA に直交する線分を描 くことになる. • 線分 AB が円周の 1/3 であるとき,この二つの線分は円周を 3 等分するもう一つの点で交わる. これは辺の長さ 2π/3 ,内角 180 度の正三角形(実質的には半球面)になる. 今回の提出課題の解答例 提出された解答についてのコメントは別ファイルで数日後に掲載する.ここでは授業内容の確認の意味を込 めて解答例のみ記述しておく. 問 14 問 13 で A と B の距離を d とした時 √ √ √ ( ) d 31 3 1 1 3 α = cos = cos(30) cos(60) cos(120) + sin(30) sin(60) = − + = R 2 2 2 2 2 8 であることを求めた.後は命題 10 を用いればよい. sin θ2 − α sin θ1 √ cos θ1 1 − α2 √ √ √ θ1 は 30 度,θ2 は 60 度,α = 3/8, 1 − α2 = 61/8 なので cos θ = √ √ 7/16 7 3/2 − 3/16 √ cos θ = √ =√ =√ ( 3/2)( 61/8) 61/16 61 この値は電卓を使うと 0.89625816 であり θ は 29.26 度である. 問 内角が 60 度,60 度,90 度の三角形の面積を求めよ. 面積の公式を当てはめるだけ. (π 3 + ) π π π + − π R2 = R2 3 2 6 面積は球面全体の 24 分の 1 である.実はこの三角形を 24 枚組み合わせて球面全体を覆うことができる.そ の意味については次回コメントしよう.
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