2015 年 4 月 3 日 「労働基準法等の一部を改正する法律案」の閣議決定について(談話) 民主党『次の内閣』ネクスト厚生労働大臣 山井 和則 安倍政権は本日、 「労働基準法等の一部を改正する法律案」 (所謂「残業代ゼロ法案」) を閣議決定した。 本法案が創設する「高度プロフェッショナル制度」においては、労働者の心身を守 るために設けられている「1日8時間・週 40 時間」という基本的な保護さえ与えら れず、残業代や深夜割増賃金、休日手当も支払われない。健康確保措置も不十分で、 過重な長時間労働を合法的に強いられるようになることが火を見るよりも明らかで ある。さらに、約1千万円という年収要件も将来引き下げられ、対象が中所得者まで 拡大する危険性が大である。 また、本法案は、裁量労働制を法人向けの課題解決型提案営業や運営管理業務にも 適用する。定義が曖昧で約 300 万人の営業職の多くが対象とされかねず、年収要件も ないため、若者や低所得者さえ対象になってしまい、 「高度プロフェッショナル制度」 よりも圧倒的に対象が広がる。何時間働いてもあらかじめ定めた時間しか働いたとみ なされず、事実上の残業代ゼロとなる裁量労働制は、長時間労働の原因となっている。 企画業務型裁量労働制では、約 43%の事業場が労働時間を「不明」と回答している 実態もあり、過労死など労災の認定を受けることすら困難である。対象を営業職など に拡大することは危険である。 昨年、国会は全会一致で過労死防止法を制定した。しかし、本法案は長時間労働を 促進する政策に重点を置き、肝心の過労死防止や長時間労働是正のための労働時間の 上限規制やインターバル規制等の実効性ある対策を盛り込んでいない。これでは、国 会が過労死防止法を制定した意味がない。さらに、ブラック企業の増加が社会問題化 する中で、この法案は残業代なしに長時間労働を強いるブラック企業を増やし、合法 化する危険性すらあり、「過労死促進法」と言っても過言ではない。そもそも法案の 立案過程において、労働者代表が一切参画していない産業競争力会議で骨格が決めら れたものであり、ILOの精神に照らし、断じて容認できない。 安倍政権は「残業代ゼロ法案」だけでなく、“生涯”派遣で働かざるを得ない若者 を増やす労働者派遣改悪法案や、お金さえ払えば不当解雇できる「解雇の金銭解決制 度」の導入という「労働法制改悪3点セット」を強行しようとしている。一部の経営 者の主張であるこうした政策に対して、多くの真面目な労使は困惑しているのが現実 である。 いま目指すべきは「残業代ゼロ」ではなく、「過労死ゼロ」である。民主党は働く 人を守り、労働生産性を高めて真の成長戦略を実現するため、「残業代ゼロ」を阻止 すべく全力を挙げる所存である。 以上
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