2014年度 卒業生代表答辞

答
辞
2012 年4月、東日本大震災の混乱が落ち着き、東北の人たちがようやく前を向いて歩き始めた頃、
私たちはこの学校に入学しました。それから三年間は、社会的にも私たち自身も、大きな変化に直
面した「激動の三年間」でした。
私たちが入学した 2012 年、スカイツリーの完成や金環日食、政権交代など、誰もが「変化を肌で
感じた」年でした。そして、私自身も「高校入学」という大きな変化に戸惑いを感じていました。
そんな不安を吹き払ってくれたのが、学びの合宿でした。この学びの合宿を機に友達がたくさん増
え、早くにクラスになじむ事ができたと思います。
8月。ロンドンオリンピックのフェンシングで、本校卒業生の、淡路卓選手が銀メダルを獲得し
ました。その後淡路選手が本校に凱旋し、我々在校生に銀メダルを触る機会を与えてくれました。
初めて触る銀メダルはずっしりと重く感じられ、私はこの学校に入学した喜びと誇りをあらためて
感じることができました。
他にも様々なことが起こり、この年の流行語大賞のように「ワイルドだろぉ」な一年を送りまし
た。
2013 年。ロシアの隕石落下や富士山の世界遺産登録、
「倍返しだ!」の『半沢直樹』の大ヒット。
しかし、それらを吹き飛ばすこの年一番のビックニュース、それは、この高校の校名が東北工業大
学高等学校から仙台城南高等学校へと変わったことです。工大高校の伝統の中に新しい城南の血が
混ざっていくことを半ば戸惑い、半ば楽しみながら、私たちはその変化の中で一生懸命過ごしてき
ました。
9月には 2020 年東京オリンピック開催が決定。様々な国の人たちを「お・も・て・な・し」する
ために広い視野を持つことが日本人に求められる中、私たちは自分の視野を広げるために、11 月の
研修旅行に出かけました。私は九州方面への研修でしたが、今まで知らなかった日本の文化や歴史
を知り、その大切さを学ぶ良い機会となりました。他にも北海道、関西、沖縄、そして台湾に行っ
た同級生たちは、目からウロコが落ち「じぇじぇじぇ」と驚くような経験をしたのではないかと思
います。
そして 2014 年。消費税増税や集団的自衛権の行使容認、ソチ五輪やブラジルW杯の開催。「レリ
ゴ~」の『アナと雪の女王』や「やっと議員になったんです!」といった謝罪会見が流行したのも
この年でした。
私事ではありますが、この年は私が生徒会長として新生・城南を盛り上げるべく、学校行事の改
革に力を入れた年でもあります。体育委員の頑張りによって盛り上がった体育祭。アリーナなどの
会場が熱気に包まれた競技大会。とりわけ私は城南フェスティバルに対する思いが強く、今年こそ
はみんなが盛り上がれるものを是非とも作りたいと思っていました。多くの人々の力を借りアルパ
カ招致や中庭コンサートなど、全く新しい企画に取り組み、大成功を収めました。
この年は私たちにとって進路選択の年でもありました。一人一人新たな道へと進むため、一生懸
命頑張りました。大学や専門学校に進学する者もいます。就職する者もいます。希望通りにいかず
「妖怪のせいだ」と嘆いている者もいるでしょう。これからは皆それぞれ社会の中で「ありのまま
の姿」を見せてくれるに違いありません。
このような「激動の三年間」を過ごした私たちがこれから足を踏み入れる社会は、やはり「激動
の未来」になると予想されます。景気の低迷、消費税の増税、超高齢化社会…多くの課題に立ち向
かっていくのは、私たちの代なのです。厳しい社会を乗り切り、明るい未来を作るためにも、私た
ちには身につけなければならない力が二つあると思います。
一つ目は「誇りを持つ意味を知ること」です。久力誠校長先生が繰り返しおっしゃった「『宮城県
随一の私立高校』と心に唱えましょう」という言葉の意味は、三年間の中で私たちの中に染み入り、
「『宮城県随一』に近づくために、私たちがなんとかしていきたい」という思いに繋がりました。こ
れから私たちが通う大学や務める会社、そしてなにより日本という国に対して常に誇りを持てるよ
うに、私たち自身がそこに深く関わり、中から良くしていくように努めていきたいと思います。
二つ目は「諦めない気持ち」です。日本シリーズで二戦連投し、楽天を日本一に導いた田中将大
投手。厳しい社会状況の中、諦めず学び続けノーベル平和賞をとったマララさん。そして何より、
垂直磁気記録方式などについて長年研究を重ね、文化勲章を始め数々の栄誉に輝いた岩崎俊一理事
長の業績は、私たちにとって諦めない大切さと、目標はいつか達成できるということをあらためて
教えて下さいました。岩崎先生のあまりにも偉大な頂を超えるのは並大抵のことではありませんが、
それでもそのご努力を志にして頑張っていきたいと思います。
今日、私たちは工大高の制服を着た最後の卒業生としてこの場に立っています。そのことに私た
ちは、誇りと、ほんの少しの寂しさを感じています。
私たちは決して自分たちの力だけでここまで来られたわけではありません。私たちの家族がどれ
だけ苦労して学校に通わせてくれていたか。その感謝は、これからの生き方で伝えていきたいと思
います。
「夢なき者に目標なし。目標なき者に計画なし。計画なき者に努力なし。努力なき者に成功なし。
ゆえに夢なき者に成功なし」これは学年主任である高橋功充先生が私たちが入学した時から贈り続
けて下さった言葉です。これからの長い人生、様々な場面で私たちは幾度となくこの言葉を思い出
しながら前に進んでいくことでしょう。
三年間、気づけばいつもそばには先生方がいてくださいました。私たちは決して一人ではありませ
んでした。大人として、人として、大切にすべき多くのことを教えていただきました。本当にあり
がとうございました。
最後になりますが、愛する母校にこの言葉を残していきたいと思います。
「我が工大高校は、そして仙台城南高校は、永久に不滅です!」
平成二十七年三月一日
卒業生代表
白柳
友規