てき せい けん さ 適性検査練習帳 記述・作文問題編 〈はじめに〉 い っか ん き そ き じゅつ 本書は、公立中高一貫校適性検査の国語分野における記 述 ・ たいさ く はば 作文問題対策を主目的として書かれたものですが、基礎的な国 いた 目 次 第1章 文を書く (1)文とは何か………3 (2) 「である」調で書く………4 (3)主語と述語が正しく対応した文を書く………5 (4)読点(、)を適切に使った文を書く………6 (5)意味のはっきりした文を書く………8 (6)指定された語を用いて短文を作る………9 (7)一文にまとめる……… (8)正しい表現で書く……… 第2章 文章を読み取って書く (1)指示語をとらえる……… (2)登場人物の気持ちをとらえる……… (3)表現の工夫をとらえる……… -1- し こく りつ 語 学 習 か ら 私国 立 中 学 受 験 対 策 に 至 る ま で 、 幅 広 く 活 用 し て い ただけるようになっています。 て っか く しょう ら い (4)論理の展開をとらえる……… (5)文章を要約する……… 第 3 章 作文を書く 56 41 正しく的確な文、文章を書く力を身につけることは、国語力 つちか を 伸 ば す だ け で な く 、 培 わ れ た 表 現 力 は 、 将 来 さま ざまな 場 い 面で活かされることと思います。 本 書 を 十二 分 に 活 用 され て 、 書 く 力 を 身 に つ け 、 ひ い て は 総 みが 合 的 な 日 本語 能 力 に 磨 き を か け て い か れ る こ と を 願 っ て い ま す 。 85 10 74 18 11 14 94 (1)どんなテーマが出されているのか……… 総合演習 ……… 121 (2)設問の条件を守る……… 第4章 解答例 ……… 145 第1章 文を書く -2- 第1章 文を書く ぎ もん ふ ないよ う かんたん ふ てきせつ *次の文章では、文の終わりに「。 」がぬけています。第一文の 例にしたがって、適切な位置に「。」を書きましょう。 ▽解答例はP え て 積 乱 雲 を つ く り ます 積 乱 雲 は 、 た て に 成長 し た 、 は ば が せ 下 に も ぐ り こ ん で 進 み ま す 急 げ き に お し 上 げら れ た 空 気 は 、 冷 お い が 強 い 場 合 、 冷 たい 空 気 が 暖か い 空 気 を お し 上 げ な が ら 、 い 目 を 作 り ま す こ こ で 、 冷 た い 空 気 の 方 が 暖 か い 空 気 より い き 冷 た い 空 気が せ っ し た と き 、 す ぐ に は ま じ り 合 わ な い で 、 さ か こもことした積乱雲のような雲ができますまた、暖かい空気と せきら んう ん 熱 気 球 が 上 空 へ あ が る の と 同 じ 原 理 で す こ のよ う な と き は 、 も 要があり ます空気は、 暖 められると上しょうしますちょうど、 あたた 水じょう気をふくんだ空気が、上空にあがって、冷やされる必 では、雲は、どうやってできるのでしょうか雲ができるには、 145 (1)「文」とは何か く てん 「文」とは、一つのまとまった内容を言い表した、ひと続き 」を使う場合、最後に句点(。)を の言葉で、句点(。)、疑問符(?)、感嘆符(!)で区切られて います。(会話文などで「 つけないことがあります。) 「文」がいくつか集まったものが「文章」です。 その正 体は、小 次 の 文 章 は 、 い く つ の 文 で 成 り 立 っ て い るで し ょ う か 。 数 え てみましょう。 雲 は 、何 か ら で き て い る の で し ょ う か ? さい水てきや、氷のつぶの集まりです。 水じ ょ う 気 は 、 水が じ ょ う 発 し て 気 体に な っ た も の で す か ら 、目 に は 見 えま せ ん 。 そ の 見 えな い 水じ ょ う 気が 、上 空 に あ が っ て 、 冷 や され る と 、 ふ た た び 水て き に な っ た り 、 氷 の つ ぶ に な っ た り し ま す 。 こ れ は 、 氷 を入 れ た コ ッ プ の ま わ り に水てきがついて、くもってくるのと同じことです。 水て き や 氷 の つ ぶ は 、 太 陽 の 光 を 反 し ゃ す る の で 、 白 い 雲 として見ることができるのです。 「?」が一つ、「。」が五つあり、全部で六つの文で成り立っ ています。 まい雲なので、大つぶのはげしい雨をふらせます -3- <。 (2)「である」調で書く き じゅつ り かい 記 述 ・作文問題においては、「です・ます」調よりも「であ る」調で書く方が望ましいとされています。 (「です・ます」調) まずは、 「です・ます」調と「である」調のちがいを理解しま しょう。 [例]あれが学校です。 (「である」調) ↓ あれが学校である。 (「である」調) ③ ② 毎日、少しずつ本を読むことにしています。 ぼくの家は四人家族です。 大切なことですから、じっくりと考えることにします。 昨日はおそくまで勉強をしていました。 ⑤ この様子ですと、明日は朝から雨がふるでしょう。 ④ ⑥ -4- あれが学校だ。 ▽解答例はP (「である」調) [例]ぼくは学校へ行きます。 (「です・ます」調) ↓ ぼくは学校へ行く。 ゆめ 私の夢は、外国で働くことです。 *次の文を「である」調に書き直しましょう。 ① 145 第1章 文を書く じゅつ ご たいおう (3)主語と 述 語が正しく対応した文を書く ぼくがねぼうしたのは、目覚まし時計をかけわすれた。 右 の 文 は 、 日 本 語 と し て お か し い で す ね 。な ぜ お か し い か と いうと、 「ねぼうしたのは」という主語と「かけわすれた」とい う述語がうまく対応していないからです。 (このような文を「ね じれ文」といいます。) ② ① ぼくは、くだものの中ではみかんが一番おいしい。 まちがえたのは、問題をよく読んでいなかった。 私の日課は、三十分ほど散歩をする。 た ん ぱ く 質 が 多 い 食 物 は 、 肉 類 や 大 豆 な ど に 多 く ふく ま しつ ③ ④ れている。 -5- たとえば次のように書き直すと、正しい日本語となります。 ぼくがねぼうしたのは、目覚まし時計をかけわすれたからだ。 こ の よ う に 、 文 を 書 く と き は 、主 語 と 述 語 を 正 し く 対 応 さ せ ることに注意しなければなりません。 さ い しょう げ ん * 次 の 文 は 、 日 本 語 と し て お か し い 文 に な って い ま す 。 正 し い 日本語になるように書き直しましょう。(直す部分が最 小 限 となるようにしましょう。) ▽解答例はP 145 とうてん さ ん ちょ う ~ *[例]にならって、次の文の適切な位置に読点(、 )を一つ打 ちましょう。 ▽解答例はP 146 何 と か 今 日 中 に 宿 題 を 終 わら せ よ う と 思 っ て い た が な か ぎん ざ 父 は 早 朝 か ら 千 葉 の ゴ ル フ 場 に 出 か けて お り 母 は 銀 座 の も し 当 日 の 朝七 時 の 時 点 で 雨 が ふ っ て い た ら 運 動 会 は 三 えん き 日後の水曜日に延期されるらしい。 ③ デパートに夏用の衣服を買いに出かけている。 ② なか時間がとれなくて終わらせられなかった。 ① いることにしよう。 [例 ]予定より 早く着くことができた のだからゆっくり休ん で 145 (4)読点(、)を適切に使った文を書く べんと う せ っ かく 苦 労 し て 十 キ ロメ ート ル の 山 道を 登 り山 頂 に 着 いたのに雨がふっていてお弁当が食べられなかった。 右の文くらいの長さになると、間に読点(、 )が入っていない せつぞ く と、読みにくい文になってしまいます。 そこで、 「~のに」という接続語的なことばのあとに読点(、 ) を打つと、読みやすくなります。 せ っ か く 苦 労 し て 十 キ ロメ ー ト ル の 山 道 を 登 り 山 頂 に 着 い さいて んし ゃ たのに、雨がふっていてお弁当が食べられなかった。 き じゅつ 記 述 ・作文問題においては、読み手(採点者)が読みやすい 文を書くように心がけましょう。 長めの文なのに読点(、 )が一つもなかったり、必要以上に読 点(、 )が多かったりすると、文章全体の印象が悪くなってしま います。 また、ひらがなばかりが続いてしまうと、区切りがわかりに てきせつ くく、読みにくさにつながりますので、なるべく漢字を使うか、 適切な場所に読点(、 )を打つことで、読みやすい文を書くよう にしましょう。 -6- <、 第1章 文を書く 母親は楽しそうに遊んでいる子どもを見ていた。 右 の 文 は 、 楽 し そ うで あ る の が 母 親 で あ る の か 、 子 ど も で あ るのかはっきりせず、二つの意味にとることができます。 このような場合、読点(、 )を打つことで、意味をはっきりさ せることができます。 楽しそうなのが母親の場合、次のようになります。 てきせつ ④ ⑤ 兄はあわててにげる弟を追いかけた。 ア あわてているのが兄の場合 イ あわてているのが弟の場合 茶色い目のかわいいぬいぐるみをもらった。 ア 目が茶色い場合 イ ぬいぐるみが茶色い場合 -7- 母親は楽しそうに、遊んでいる子どもを見ていた。 楽しそうなのが子どもの場合、次のようになります。 母親は、楽しそうに遊んでいる子どもを見ていた。 げんて ん 記 述 ・ 作 文 問 題 に お い て は 、 意 味 が は っ き り し な い 文を 書 く )を打 と、減点対象となってしまいます。適切な位置に読点(、 つことで、意味がはっきりし、読みやすい文となります。 * 次 の 文 は 、 ア ・ イ の 二 通 り の 意味 に と れ ま す 。 そ れ ぞ れ の 意 味になるように、適切な位置に読点(、 )を打ちましょう。 ▽解答例はP 146 (5)意味のはっきりした文を書く 私はすぐにかれが帰るのに気づいた。 かか 右の文は、二つの意味にとることができます。 「すぐに」とい う語が、「帰るのに」に係っているのか、「気づいた」に係って いるのか、はっきりしないからです。 (つまり、すぐに帰ったの か 、 す ぐ に 気 づ い た のか 、 ど ち ら な の か わ か ら な い と い う こ と です。) ふ めい かく こ の よ う に 、 こ と ば の 係 り 受 け が 不 明 確 な 文 を さけ る た め に しゅうしょく ご は、 修 飾 語を修飾される語の近くに置くとよいでしょう。 大きなかばんを持った男が向こうから歩いてくる。 (言われたのが夕食後であることがはっきりするように) 私は夕食後に宿題をしなさいと母に言われた。 ▽解答例はP *次の文を指示されたように、語順を変えて書き直しましょう。 ① ② (男が大きいということがはっきりするように) ③ 弟はいつも外へ遊びに行く兄についていく。 (ついていくのがいつもであることがはっきりするように) -8- た と え ば 、 右 の 文 を 「 私 は す ぐ に 気 づ い た 」 と い う 意味 に し たい場合は、次のように語順を変えます。 私はかれが帰るのにすぐに気づいた。 「すぐに」という修飾語を「気づいた」という修飾される語 の直前に置いたことにより、文の意味がはっきりしましたね。 また、 「かれがすぐに帰る」という意味にしたい場合は、次の ようになります。 私はかれがすぐに帰るのに気づいた。 「すぐに」という修飾語を「帰るのに」という修飾される語 の直前に置いたことにより、文の意味がはっきりしました。 146 第1章 文を書く (6)指定された語を用いて短文を作る じゅつ ご 短 文 作 り の 問 題 で は 、 指 定 さ れ た 語 の 意 味 を 正 し く とら え る ことはもちろんですが、加えて、主語・ 述 語の整った、一読し ないよ う て内容がとらえられるような文を書くように心がけましょう。 [例] 「心もとない」という語を用いて短文を作りさない。 かいとう きず 友人の心もとない言葉に、私はとても傷ついた。 [解答例] × → 「 心 も と な い 」と い う 語 の 意 味 に 合 っ た 用 い 方 が さ れ て ① そそくさと ~やいなや ▽解答例はP *次の語 を用いて短文を作りまし ょう。(語の形 を変えて もよ ② にわかに い。) ③ たしなめる -9- いません。この例文では「心ない」が適切です。 △ 心もとないので、ぼくがついて行くことにした。 弟 だ け で は 心 も と な い の で 、 ぼ く が つい て 行 く こ と に し の意味が十分に表されていません。 →何が心もとないのかがわからず、 「心もとない」という語 ○ た。 → 「 安心 で き な い 」 と い う 「 心 も と な い 」 の 意 味 が よ く 表 された例文となっています。 ④ 146 (7)一文にまとめる 家を出るのがおそくなった。だから、電車に乗りおくれた。 右の二文を一文にまとめると、次のようになります。 ないよ う 家を出るのがおそくなったから、電車に乗りおくれた。 かぎ 限られた字数の中で内容的にうまくまとまった文章を書くた 窓を開けた。すると、庭に雪が積もっていた。 まど ① か けつ 賛成が三十五票、反対が五票だった。よって、議案は可決 お 使い に 行 か な く て は い け な い 。 宿 題 も し な く て は い け 一人ひとりがルールを守る。それが大切だと思う。 された。 さんせい ② ③ ④ ない。 - 10 - めには、ときに一文にまとめることも必要です。 では、次の二文を一文にまとめてみましょう。 きゅうりはきらいだ。なぜなら、青くさいからだ。 ↓ きゅうりは青くさいからきらいだ。 この場合、「青くさいからきゅうりはきらいだ。」としてもか まいません。 ▽解答例はP 一 文 に ま と め る と き は 、 自 然 な 日 本 語 に な る よ う に 、こ と ば の順番などを考えましょう。 *次の二文を一文にまとめましょう。 146 第1章 文を書く ひょう げ ん (8)正しい 表 現で書く ・かなづかい 特に、「一つずつ」「うなずく」「気づく」「ちぢむ」などに気 をつけましょう。 ・漢字表記とひらがな表記 ひらがなが多いと読みにくい(意味がとらえにくい)ですし、 ×犯罪を犯す →○被害を受ける →○罪を犯す つみ ×被害をこうむる →○不快に感じる(不快感を覚える) おか ×不快感を感じる →○返事をする はんざい ×返事を返す →○未定 ふ かい ひ がい ×まだ未定 かんよう ・慣用表現 字 数 制限 の 問 題 も あ る の で 、 習 っ た 漢 字 は な る べ く 使 う よ う に ×きずなを深める ×恩を着せる ×思いもつかない ×置いてきぼり ×いや気がする ×明るみになる →○体調をくずす →○きずなを強める →○恩に着せる →○思いもよらない →○置いてけぼり →○いや気がさす →○明るみに出る 次の慣用表現はまちがえやすいので気をつけましょう。 し ま し ょ う 。 ま た 、 文章 を 読 ん で 答 え る 場 合 、 本 文 中 に 漢 字 で ×体調をこわす →○取りつくしま(島)もない せいげ ん 書かれているものは、そのまま漢字で書くようにしましょう。 ×取りつくひまもない →○熱にうかされる ちょ う ふ く ・意味が 重 複する表現をさける があるので注意が必要です。 「 言 う 」に つ い て は 、 漢 字 で 書 く 場 合 と ひ ら が な で 書 く 場 合 君が言うことはよくわかる。 ×熱にうなされる →○念頭に置く たとえば、「いちばん最後」という表現は、「最」が「最も、 おん カナダという国を知っていますか。 ×念頭に入れる →○的を射る ×コミニュケーション →○バッグを手に持つ →○コミュニケーション ・まちがえて覚えやすいことば →○後悔する(後でくやむ) ×バックを手に持つ い ×的を得る いち ばん 」とい う 意味な ので 、同じ 意味 のことばを 重 ねて し ま っていることになります。 このような重複表現には、ほかに次のようなものがあります。 ×後で後悔する →○過半数に達する(半数をこえる) (「バック」は「後ろ」、 「バッグ」は「かばん」のこと) こ うか い ×過半数をこえる →○三十分間(三十分の間) か はんすう ×三十分間の間 ×ふいんき →○ふんいき(雰囲気) →○断言する だんげん ×はっきり断言する - 11 - けい ご ・敬語 次のようなまちがえに注意が必要です。 →○ご注意ください ×おっしゃられる(二重敬語)→○おっしゃる ×ご注意してください *ふさわしくない表現を書き直して、正しい文にしましょう。 思いもつかない方法でまだ未解決の事件を解決した。 手 さ げ の バ ッ ク を じ さ ん す る よ う に 伝言 を 伝 え て お い た 。 ④ 的 を 得 た 答 え を 書 く の は な か な か む づか し い と 言 う こ と に気ずいた。 - 12 - ▽解答例はP ① 先 生 が 教 え て く れ た の で 、ひ と と う り の こ と は で き る よ ③ うになった。 ② 146
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