海洋科学技術センター試験研究報告 JAMSTEC R 25 (1991 Mar.) 他方 向不 規則波 中 におけ る沖合浮 体式波力 装 置 FOWADの波エ ネ ルギ ー吸収特性 の推定 法 につ いて 堀田 平*1 沖 合浮 体式波力装 置 FOWAD は, 沖合 に設 置さ れる ター ミネー型 の振動 水 柱 型 波 力 装置で あ る。 こ れまで, これについて は幾度 もそ の縮尺 模型を用 いた水 槽実 験が 実施 さ れ, そ の波 エネル ギー吸収効率 が優 れ, 将来実用 に供 する資質 が十分 にあ る ことが確認 さ れてい る。 また, これの諸特 性 の推定方 につ いて も前報で提 唱し, そ の有効性 を明 らか にした。 そこで本報 で は, 実海域 の波浪であ る多 方向不規則波中 におけ る FOWAD の波 エネルギー吸収効率を推定 するための手法を確立す るため, 前報で示さ れた規則 波 中特性推 定方 法により求 め られた効率特性 を用い,多 方向不 規則波 に線形 重 ね合わ せす る手 法を 開発し た。 そ の結果, こ れにより 得ら れた計算値 は実 験値 と ほぼ合っ ており, 本手 法が実 用上十分 な精度で有効 であ ることが判 った。 こ れにより, 今後 ケー ススタディや試設 計 の際に, FOWAD 実 海 域 波 浪 中 出力 は本手 法を用 いて容 易に推定 す ること が可 能と なった。 キ ーワード;海洋 エネルギー, 波 エネ ルギ ー, 波力発電, 波力装置 A Method for Estimating the Performance of a Floating Offshore W ave Power Device (FOWAD) in Short Crested Waves Hitoshi HOTTA The Floating Offshore WAve Oscillating Water Colum Power (OWC) wave Device (FOWAD) power is a floating terminator device which tance offshore. So far, several tests using a scale model carried out. The wave tests have confirmed energy and it appears method motions that FOWAD *2 is installed some in a wave performs dis- tank have been well in absorbing suitable for pracical application in the future. The used to estimate the efficiency of wave energy absorption and predict device was described in an earlier paper and the validity of the methodogy was also confirmed. *1 海洋開発研究部 *2 Marine Research and Development Department 25 In this paper, the method used to estimate the efficiency of wave energy absorption of FOWAD in the short-crested seas in which it will operate is described. This method calculates the efficiency by linear multiplication of the power and the efficiency characteristics in the frequency domain, developed spectrum in the earlier paper. Using measured method this method, the caloulated performance performance of the model. Consequently is valid for estimating the performance Development of performance of this method of FOWAD agreed very closely with the it was determined that this of a full scale device in the sea. of estimating performance simplifies the estimation in case studies and basic design work. Key word ; Ocean energy, Wave energy, Wave power generation, Wave power device. 1 まえ が き FOWAD ム」3)「 波 力 利 用 熱 回 収 シ ス テ ム」4) お よ び 「 波 (Floating- Offshore Wave power 力発 電 ケ ー ソ ン」5) な ど の よ う な波 打 際 に 固 定 さ Device ; 沖 合 浮体式 波力装 置)のよう な タ ーミネ ー れ る タ イプ の装 置 で あ れ ば, 波 の 入 射 角 の変 化 は タ ー型 波 力 装 置 は, 比 較 的 水 深 が 大 きい 沖 合 に設 さ ほど 大 き く な く, ほぼ 安 定 し た 方 向 を 得 ら れ る 置 さ れ て 稼 働 す る こ と を 特 徴 と してい る。 こ れ は, ので 問 題 は無 か っ た が, 底 板 やprojecting wall 砕波 す る以 前 の よ り 大 き な波 エ ネ ル ギ ーを 入 力 と を 取 り 付 け た FOWAD を 沖 合 に 設 置 す る と な る す る と い う 技 術 的 な 理 由 に加 え て, 水 際 線 近 傍 に と, に わ か に これ は重 要 な 問 題 の一 つ に な って く お け る海 面 の過密 な 利 用 形 態 を 考 慮 す る こ と も不 る。 つ ま り, 波 の 入 射 方 向 が変 化 す るこ とにより, 可 欠 だ か らで あ る。 沖 合 海 面 は こ れ ら の 課 題 に対 期 待 さ れ る程 の 性 能 向 上 が見 ら れ な い の で は な い し て は適 す る が, し か し一 方, 波 の 性 質 が水 際線 かと い う 問 題 で あ る。 近 傍 に 比 べ て 少 々 異 な って く る。 つ まり, 波 の 水 著 者 ら は, こ れ ま で に こ の 問 題 に つ い て 縮 尺 モ 粒 子 運 動 の メ カ ニ ズ ムはい わ ゆ る 微 少 振 幅理 論 が デ ルを 用 い た 水 槽 実 験 を 実 施 し6)7)8), そ の“ 解 適 用 さ れ, 数 学 的 に 容 易 に解 析さ れるのであ る が, 答 ”につ い て 概 ねを 知 り 得 た。 し か し な が ら, そ い ま一 つ の問 題 として 様々 な周 波数成 分 の波 が様々 れ はモ デ ル を はじ め多 く の設 定 条 件 下 にお い て 明 な 方 向 か ら来 襲 し て 来 ると い う こ と があ るo つ ま らか に さ れ た こと で あ り, 必 ず し も汎 用 的 な把 握 り , 多 方 向 不 規 則 波 (多 方 向 スペ クト ル波 も し く と はな っ て い な い。 今 後, FOWAD ぱ 能 レ ベ ル ま で 引 き上 げ る に は, あ ら ゆ る ケ ー スに き れ波 ”と も言 う。 英 訳 と し て は, multidi- を 実験化 可 rectional waves も し く はshort crested waves) 対 応 して そ の 諸 性 能 を推 定 す る こ と が可 能 な“ デ の 問 題 で あ る。 バイス 「 海 明 」 のような振動 水柱型(Oscillating Water を 作 って お く こ と は不 可 欠 で あ ろ う。 そ こで, 著 者 ら はこ の“ デ バ イ ス と して比較的簡 ;OWC) の波 力 装 置 の波 エ ネ ル ギ ー吸 収 易 な 計 算 プ ロ グ ラ ムを 作 製 し, そ れ に よ って 得 ら 効 率 を 向 上 さ せ る に は 空 気 室 の 下 部 に 底 板 を, ま れた結 果 と FOWAD を 用 い た 水 槽 実 験 結 果 と 比 た ,空 気 室 前 面 にprojecting wall 較 して み た。 本 報 で は, こ れ に つ い て 報 告 す る。 Column を取 り付 け る こ と が 効 果 的 で あ る こ と は, こ れ ま で に幾 つ か の 機 会 を 得 て 報 告 して 来 た1)2)。 し か し, こ れ ら は 2 多方向不規則波中波エネルギー吸収 波 の入 射 方 向 に対 す る装 置 の指 向 性 を 高 め る こ と 2.1 多方向不規則波の賦存波エネルギー量 に な る こ と は明 ら か で あ り, 従 って 波 の 入 射 角 度 エネルギー吸収装置による吸収 エネルギー 及Z に対 し, 波 エ ネ ルギ ー吸 収 性 能 が大 きく 影 響 さ れ は,入力 エネルギー量と 瓦 と エネルギ ー吸収効 る懸 念 が あ っ た。 「 ̄ 沿 岸 固 定式 波 力 発 電 シ ス テ 率ηを用いて, 26 JAMSTEC R 25 (1991) , E α =Ei・η ( 1 ) として得られる。ここで,入力エネルギー量であ る,単位長さあたりの多方向不規則波の持つ波エ G( e ) =Cs• COS2S (θ) 式中の C sはいわゆる規格化関数であり, f;:G(θ)ル 1 ω ¥ ノ ハ σ /,、、 G ¥E ノ ω 、 、 〆 ' t ハ σρυ nsEU g ρ 一 一 民 ∞ 。 円 r Jo ネルギー量 E iは,次式で得られる。 とするための係数である。なお, S ( 2 ) 0 0 となる O 9 0 ( 3 ) 波の群速度 ;方向分布関数 Cg ;波の群速度 g e, e 2 1 波 の 群 速 度 Cgは,波周波数の関数であり, ;水の密度 ρ 0 0 0 までとする。 しては,本報では, -90 から 9 5 ) 式において, θ1= -90 ,e ' 2= したがって ,( ;波浪のパワースペクトル G θは装置長手 方向に直角な方向を O。とすれば, 。の範囲と • Cg (ω) dω de ここで, ( 4 ) 次式で求められる 12)。 ;重力加速度 ;多方向波浪の出現角度の下, 1 4πhω1 Cgω = - ( 1 + ) C A s i n h4π ん/え , 上限値 む 〉 ;角周波数 θ ;角度 ( 6 ) ( 1 ) 波浪パワースペクトル 波浪のパワースペクトルはこれまで幾種類か ここで, hw ;波長(深海波の場合; え=gTfv/2π) 提案されているが,沿岸海域に適することを考 慮し,次式で表される JONSWAP型のスペク トルを用いることとする 9)。 ω)=fHfρ s exp~- ~ (T ・^ W)_4 t S( p : rァ p 4 , ( )5' ω 1 、 ー 乙π I ー , 6π C ;波速(深海波の場合; C=g T ; ω/2π 〉 T ω ;波周期 2 .2 多方向不規則波中波エネルギー吸収量 ( 1 ) 式中に示したエネルギー吸収効率 ηについて, 全波周波数および全入射波入射角の対する値を求 2 ) 式で得られた波エ めることができれば,これを ( ネルギー量に乗じることにより,吸収波エネルギー -j叫 、、,ノ ρυ /'t¥ ω 竹 H1 ¥,ノ ハ σ ω /,、、 E ∞o PEEU βυ ハ ワ EEu 戸 g ;有義波高期 AF 一 一 α 九 2 E ここで,Hs ( 3 ) 量が求められる。つまり, ;スペクトルのピーク周期 (勾1..1Tr 3 ) I l/ d ω ・d θ ( 7 ) THI/3 ;有義波高周期 え= 0 . 1 6 6 として表される。 r=3.3 但し,波エネルギーを他のエネルギーに変換す るこ次変換装置が,一次変換装置の可動部,つま ω 孟 ωm) (0 . 0 7( τ =. 10.09 (ω<ω) ωm り OWC型装置の ;スペクトルのピーク周波数 7 ) 式は成り立つ。 し線形の負荷となるようなときに( 幸いなことに JAMSTEC R 25 ( 1 9 9 1 ) , OWC型装置に用いられる二次変換 装置は空気タービンであり ( 2 ) 方向分布関数 方向分布関数 G は 次 式 で 表 さ れ る OWC(振動水柱)の動揺に対 。 10) 11) これは線形負荷とし て取り扱うことができる o また,他の方式の装置 2 7 でも概ね線形化して取り扱うことは不可能でなわ。 従って,波エネルギー吸収効率 ηは波高の変化を f l o a t i n g chamber 考慮すること無く波周波数および波入射角の関数 として求められ,またこの値を各周波数,各入射 a l r chamber _ _ ー ー_ _ _ _ /ーz o r i f i c e iに乗じ,つまり線 角に対応した波エネルギ - E 形重ね合わせを行い,これを ( 7 ) 式に示すような積 ¥ 分を行うことによって,多方向不規則波中におけ i ' p r o j e c ting wal る波エネルギー吸収量を推定することができるよ moorling l i n e うになる。 c u r t a i nw a l l bottom p l a t e 〆 2 . 3 波エネルギー吸収効率 図 lに示すような沖合浮体式波力装置 C F l o a t i n g OffshoreWAvepowerDevice;FOWAD) の波 図 l FOWAD概略図と座標系 Fig.l Schemeo ft h eFOWADand 浪中挙動および、波浪中波エネルギー吸収特性など について,著者はこれまでに縮尺模型を用いた水 槽実験 6) 7) およびそれらの計算方法 8) c o o r d i n at esystem について 報告してきた。 とりわけ,前報において規則波(正面および斜 め規則波)中における波エネルギー吸収効率の推 ハ1.5 υ ‘ " E U M 定法について示し,それを用いた計算結果が模型 H e a v e T 防l.3s e c H 明 5 .5 c 附 J 命 1.0 i i ー 一 ー ー; L o n gC r e s t e dV a v e s ( R u nN o . 1 3 2 ) 一 _ . . . . . . ・ ; S h o r tC r c s t e d~aves ( R U hN o . 1 4 1 ; 2 S = 2 ) 実験結果と比較的良く一致していることが確認で きた。 この計算は FOWADの波浪中応答運動 による各空気室への相対入射波高の変化を, Hea % 的 .5 i t c hの鉛直方向運動にのみ影響される v eおよび p として導いたものである O そして,波エネルギー 吸収効率を算出するにあたっては,高橋ら 3) の提 。 I.5 唱する“熱力波動法"を用いている。前者につい (H?) ては,現象を全て線形として把えているが,後者 図 2 Heave運動のパワースペクトル については非線形な取り扱い方となっている。 Fig.2 Powerspectrumo fh e . a vemotion し か し 小 島 ら は 14に こ の よ う な 非 線 形 の 系 であっても,不規則波中出力を推進するにあたっ に示すように一方向不規則波中のものと多方向不 て,入射波と空気室内波面変動の位相が波高に依 i t c h 規則波中のものがほぼ一致している。また P 存しないと仮定して求めた結果は実用上有効であ に関しては,多方向不規則波中においてもピーク るとしている。 . 7 5 H z ) においても O . 8 d e g2 ・ s e cと小 周期(約 O そこで本報においては,系は線形であるとし, さい。従って,多方向不規則波中においても前 規則波中で得られた波エネルギー吸収効率の周波 法 8) で示した計算方法で求めた波エネルギー吸収 数に対する値を用いて不規則波中のパワースペク 効率の周波数応答関数を用いて線形重ね合わせす トルと重ね合わすことにする。 一方,多方向不規則波中における波浪外力は, ることは,実用上の精度において十分有効であろ うと考えられる。 一方方向不規則波中におけるそれとは, FOWAD の長手方向に積分するのであるから異なってくる。 3 計算および考察 この差違が大きいと前述したような線形重ね合わ 3 .1 多方向不規則波 せ法が有効でなくなる O しかし,模型実験によっ て得られた Heaveのパワースペクトルは,図 2 2 8 計算に使用した不規則波中のパワースペクトル の数列を図 3に示す。これらは JONSWAP型の JAMSTEC R 2 5( 1 9 9 1 ) 0 前報に示したものを図 5に示す。これは, χ=90 つまり正面規則波中における波周期に対する波エ JONSWAP Hs= 5cm 6 ネルギー吸収効率の実験値と計算の比較である。 ( υ ω ω N E υ ) U ' r=3.3 これにより,計算方法の妥当性が確認された。 f ) につい この計算方法を用いて,各周波数 ( ﹃ 1 . 0唖ec ﹀﹀の て,波入射角 χ に対する波エネルギー吸収効率 ? ι ηの変化を求めてみた結果が図 6に示すような特 性となる。なお, χ が小さくなる。つまり入射波方向が斜め は , 。 ' . 0 Frequency 1 . 5 f (Hz) 1 .0 H zの範囲で これより ,F< になるにつれて波エネルギー吸収効率が増大して いることが判る O このようにして求められた ηが 図 3 計算に用いたパワースペクトル例 ( 7 ) 式中に示す η(ω , e) である。 Fig.3 Exampleso fwavepowerspectrum 3 . 3 u s e di nt h ec a l c u l a t i o n 多方向不規則波中における波エネルギー 吸収効率 以上に示した波浪パワースペクトル,方向分散 関数,波の群速度および斜め規則波中波エネルギー ' . 5 吸収効率特性として, 2S( 方向集中度パラメー タ)に対する特性を図 7に,有義波周期に対する 特性を図 8に示す。なお,いずれの図も実験値 7) 1 . 0 をプロットしである。 図 7より,計算値は実験値と比べ,定量的には ω υ 2 0 3 0 %高めになってはいるが,定性的には実験 . 5 値を良く再現していることが確認された。これよ り , FOWADは沖合の方向分散性の大きい多方 図 4 計算に用いた方向分散関数例 ( 3 ) 式を用いて求められたもの である。なお,図中の Tp はスペクトル・ピーク 周期である。 一方,方向分布関数については図 4に示す。こ 4 ) 式を用いて求められたものであり,図中 れらは( の2 8は( 4 ) 式中に用いた 28であり,つまり,波 エネルギーの方向分布の集中度を支配するパラメー Exponento fD i r e c t i o n a lSpectrum) であ ター ( る 。 3 . 2 波エネルギー吸収効率 FOWADの波エネルギ、ー吸収効率特性として, 5( 1 9 9 1 ) JAMSTEC R 2 x=90・ ; e x p . ーーーー ; c a l. • 司 4 スペクトルであり • qd d i s t r i b u t i o nparameteru s e di n t h ec a l u c l a t i o n Hw=5cm ﹃ F i g . 4 Exampleso fwaved i r e c t i o n a l auEda 90 00000o 0 6 " : 9 0 ・ きま E -ω三 凶 JZ2555£安芸 ZE・ ( ) l 。 • . 5 1 . 0 1 . 5 Wave Period Tw (sec) 図 5 規則波中における波エネルギー 吸収効率の実験値と計算値の比較 ft h eperformance F i g . 5 Comparisono o fwa v epowera b x o r p t i o nbyt h e t e x tandt h ex a l c u l a t i o ni nr e q u l a r waves 2 9 40Lt. o exp . c a l. long Cr e s t e d Waves 0 5 0 . ! L , . . ~ . 、 (28:4) ・一一ー一 40 A / / S h o r tC r e s t e dWaves 3 0 2 0 / も A 、 。 、 、 . 、 。, J20 1 0 0 -0 . 5 1 . 0 THs 1 0 1 . 5 ( sec) 図 8 不規則波中波エネルギー吸収特性効率 Fi g. 8 Performanceofwavepowera b s o r p t i o ni nt h ei r r e q u l a rwav e s 0 とが可能であることが確かめられた。 9 X ( d e g ) 一 方 , 図 8に は , 一 方 方 向 不 規 則 波 (Long 図 6 斜め規則波中波エネルギー吸収効率特性 S h o r tC r e s t e d C r e s t e dWaves) と多方向不規則波 C F i g . 6 E f f i c i e n c yo fwavepowerabxor p t i o n V ¥ l a v e s ) における実験値と計算値を示 したが,実 byFOWADi nt h eo b l i q u a lwaves 験値がそ うであるように, 計算値についても一方 m -um r mc p. 6 司 勺 L 3 5 cρ, l l ﹂ Fhd ps v l w 915 . 。 ( N -J3sh , 、MHFT川 M H ¥ ﹃ FU ハυ 向および多方向の不規則波中の結果に差異は余り e x p ; ・ cal; 一 一 一 見られない。これは,多方向不規則波の実験およ び計算の条件が 28=4であり,これを図 7に照 合 し て み る と そ の 付 近 の 効 率 ηが ほ ぼ Long - . nU ・u 。勺 ι ) C r e s t e dWav e sと等しいことからも推測できる。 . , . た ー ー 有義波周期に対する波エネルギー吸収効率の特性 については, 図 8から も良く判るとうり ,計算値 • は実験値 と良く合 っており,これより本報に示し • た計算法により,多方向不規則波中においても, • • 波エネルギー吸収特性を推定することが実用上十 ? '0 2 ι 8 ム 25 1 6 分可能であ ることが明らか になった。 "Long C r e s t e d Waves 図 7 方向集中パラメータ ーに対する波 4 おわりに これまで浮体式ターミネーター型の OWC型 波 エネルギー吸収効率の特性 力装置は,波エネルギー吸収効率が良く ,従って F i g . 7 Cha r a ct e r i s t i c so fe f f i c i e n c yo f コス トパフォーマンスの面からも実用上優れてい wavepowera b s o r p t i o nv e r s u s t h ewaved i r e c t i o n a ld i s t r i b u t i o n ることが推測されてきた。実際,これまでの著者 parameter ている。しかし,それらは定性的な推測の範囲に らの幾度かの実験によってもそれが実証されてき とどまって いた。定量的な推定手法が確立されて 向不規則波中においても決して出力を低下させる ことなく,むしろより大きな出力を発生させるこ 3 0 いなかったためである。 しかし,本報に示したように,実海域の波であ JAMSTEC R 2 5( 1 9 9 1) 十分な精度で,浮体式ターミネーター型装置の一 会,p .1p .6, 1 9 8 9 年 6)堀田 平,鷲尾幸久,宮崎武晃 ;沖合浮体式 つである FOWAD波のエネル ギー吸収効率を予 波力装置の多方向波浪中特性について,海洋技 測する計算法が完成した。本報では計算法の妥当 1号, p. 6 9p . 9 8, 術センタ ー試験報告,第 2 性の確認のため,まず僅かなケースについてのみ 1 9 8 9 年 3月 る多方向不規則波中においてでさえ,ほぼ実用上 計算を行 ったが,今後これを用いて多くのパラメー 7)堀田 平,鷲尾幸久,宮崎武晃 ;沖合浮体式 ターに ついて計算をす ることいよって,より適し 波カ装置 FOWADの実海域中諸特性の予測に た FOWADをあきらかにしていくことが可能と ついて,海洋技術センター試験報告, 第 2 3 号 , なろう。 p . 1 4 1 -p . 1 7 5 ,1 9 9 0 年 3月 また,更に,そ の最適モデルを用い,コス ト試 8) 堀田 平;沖合浮体式波力装置の波浪中特性 算のためのケーススタディを実施することも必要 の推定法について,海洋科学技術センター試験 である 。 4 号 , p .-p .,1 9 9 0 年 9月 報告,第2 最後に,不規則波の計算についてアドバイスを 9) 元良誠三, 小山健夫,藤野正隆,前田久明; 頂いた MARI NTEKC N o r w e g i a nM a r in eT e c h - p . 3 6 2,成山堂書 船体と海洋構造物の運動学, p n o l o g yI n s t i t u t e ) の Dr. C. T .S t a n s b e r gに感謝致 庖 , 1 9 8 2 年 r o j e c t i n gw a l l付き固定空気 基 礎 的 研 究 -p 1 0 ) 日根野元裕,山内保文 ;海洋波のスペク トル, 0 9号 , p . 7 8 p . 9 8, 日本造船学会誌,第 6 1 9 8 0 年 1 1 )8 t a n s b e r g, C . T .,K j e l d s e n, S . P ., ; MARIN TEKO c e a nB a s i nWaveC a t a l o g u e1 9 8 8 .0 0,MAR INT MARINTEKR e p o r tN o . 5 1 1 0 31 EK,p p . 7 6,1 9 8 8 年 1 2 )堀川清司;海岸工学, p p . 3 1 7,東京大学出版 9 7 9 年 会 , 1 1 3)高橋重雄;波力発電防波堤の開発,昭和6 0 年 . 1p . 5 7, 度港湾技術研究所講演会講演集, p 1 9 8 5 年 1 4)小島史郎,高橋重雄,合田良実;波力発電ケ ー 0回海岸工学講演会論文集, 土木 室-,第3 ソン防波堤の水理特性,第 1回波浪エネルギ一 . 6 3 3p. 6 3 7,1 9 8 3 年 学会,p 利用シンポジウム,海洋科学技術センター, します。 また,本研究の一部はスカンジナビア・日本笹 川基金からの助成金によって行われたことを付記 する。 参考文献 1)堀田平,宮崎武晃,鷲尾幸久,田中 浩 ; ターミネーター型波エネルギ一利用装置の研 究,第 2回波浪エネルギ一利用 シンポジウム, 海洋科学技術センター, p .1p .1 0 ,1 9 8 7 年 2) 堀田平,宮崎武晃,鷲尾幸久,竹内俊介; 振動水柱型波力発電装置の空気出力に関する 3)堀田 平,鷲尾幸久,益回善雄,石井進一, 宮崎武晃,工藤君明;沿岸固定式波力発電装 p . 1 6 3p . 1 7 3,1 9 8 4年 9 90 年1 0 月3 1 日) (原稿受理 :1 2回海岸工学講演会論 置の発電運転試験,第3 . 7 0 2p .7 0 6,土木学会, 1 9 8 5 年 文集,p 4) 中塚健司,東江隆夫,勝井秀博,箭原憲臣, 土屋義行;波カ利用熱回収システム現地実証 実験,第3 5回海岸工学講演会論文集,土木学 会 , p . 8 4 7p . 8 5 , 1 1 9 8 8 年 5) 合田良実,神田勝己干山善幸,大根田秀明, 高橋重雄,鈴木博史,高木栄一 ;波力発電ケー ソン防波堤の実証実験,-堤体 ・発電装置の 4回海洋開 設計製作及び実証実験の計画 一 第 1 発シンポジウム論文集,土木学会海洋開発委員 JAMSTEC R 2 5( 1 9 91) 3 1
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