技術資料 ニンニク春腐病について

技 術 資 料
平成 27 年2月 19 日
香川県農業試験場病害虫防除所
ニンニク春腐病について
近年、ニンニク春腐病の発生が多くなっています。多発してからでは防除効果が劣るの
で、昨年発生の多かった圃場やすでに発病が見られる圃場では早めに防除を実施しましょ
う。またタマネギ腐敗病もニンニクの春腐病と同じ細菌による病気ですので、同様に注意
してください。
[病原菌名]
:Pseudomonas marginalis pv. marginalis などの細菌
[寄主範囲]
病原菌はニンニクの他にタマネギ、ネギ、ワケギ、レタス、ハクサイなどを侵し、腐敗病・
春腐病を発生させる。
[病
徴]
2~3葉期頃から収穫期まで見られる。はじめ葉身に発生し、水浸状の病斑は葉脈に沿っ
て上から下に進展し、葉しょう基部に達すると、やがて鱗茎(球)が軟化腐敗する。
貯蔵期間中にも発生する。
写真1 葉身に感染した水浸状病斑
写真2 生育後期の発病株
1
[発生生態]
年内は、病原菌(細菌)に感染したニンニクは軟弱徒長して柳葉状に生育をする。病原菌
は12月に入って急激な季節風や凍霜害によってできた傷から侵入する。また、過度に土入れ
をすると土の中で生息している病原菌がニンニクに侵入する機会を増やすことになる。その
後に何回かの降雨が続くと病原菌は圃場全体に広がり、冬の間に菌の増殖と感染の拡大が進
行する。春になり気温が上昇してニンニクの生育が活発になると、病原菌はニンニクの体内
で活発に増殖して腐敗枯死させたり、鱗茎の変色や裂球を招く。
[防除対策]
1.発生圃場では、7~10日間隔で薬剤防除を行う。連作圃場や、湿潤な天候が続き急増が
予想される場合には、抗生物質剤を主体に5~7日間隔で防除を行う。
2.病原菌は茎葉の傷口から侵入するので、強風雨や土入れなどの農作業の前後に防除を行
う。
3.腐敗株は伝染源になるので早期に抜取り、圃場外に持ち出すなど適正に処分する。
4.排水不良は発病を助長するので、明渠などによって排水対策を徹底する。
5.初期生育の旺盛な圃場では発生しやすいので、過度の多肥栽培は控える。
表1 ニンニク春腐病の防除薬剤(香川県主要農作物病害虫・雑草防除指針より抜粋)
薬 剤 名
成分名(系統名)
希釈倍数等
使用時期/回数
コサイド3000
無機銅
2,000倍
-/-
Zボルドー
無機銅
500倍
-/-
ICボルドー66D
無機銅
50倍
-/-
バリダシン液剤5
バリダマイシン(抗生物質)
800倍
7/5
キンセット水和剤80
無機銅+有機銅
1,000倍
7/5
カスミンボルドー
カスガマイシン(抗生物質)
1,000倍
7/5
1,000倍
7/5
+無機銅
カッパーシン水和剤
カスガマイシン(抗生物質)
+無機銅
ナレート水和剤
オキソリニック酸+有機銅
1,000倍
7/2
カセット水和剤
オキソリニック酸+
1,000倍
7/2
1,000倍
7/3
カスガマイシン(抗生物質)
アグリマイシン-100
オキシテトラサイクリン
(抗生物質)+ストレプト
マイシン(抗生物質)
2