卒業後、東京本社の不動産販売会社に入社した。勤務 地の福岡では、社内ゴルフが盛んで、月に 2 回程度、同僚 や先輩たちと和気あいあいあのゴルフを楽しんだ。もちろ ん、正式に習ったことはなく、全てが我流で、まさに怖い Golf もの知らずのゴルフだった。初心者はよく曲げてしまうが、 「まっすぐ飛ぶことを期待」 私の場合、不思議とまっすぐに飛ぶので、ドライバーはフェ アウエイをとらえ、アイアンでのショートホールはほとん どワンオンした。だが、100 ㍎以内の寄せとパットが未熟 で、結局スコアは、いつも 90 台後半をうろうろしていた。 ゴルフはメンタルなスポーツと言われるが、ある時、 それをいやというほど実感した。ロングホールの 2 打目、 残り 200 ㍎を本間のバフィーで打つと、なんとピンそば 1 ㍍にピタリ。 「よっしゃ〜、イーグル!」と力んだのが まずかったのか、その後、まさかの 3 パットで、結局、パー に。あの時の思い出は今でも忘れられない。 みくに産業 社長 その後、東京へ転勤し、回数は激減。16 年前に当社 副島 晶 に入社してからも、クラブを握る機会も減り、せいぜい 年に1回だった。ところが昨年、社長に就任してからは、 取引先とのゴルフが急に増えた。すると、どういう訳か ティーショットも 2 打目もまっすぐ飛ばなくなり、スコ アは 120 前後ばかり。すっかり自信をなくしてしまい、 なんとかしようとレッスンプロに習ったり、クラブを買 い直したりしたが、スライス、フック、チョロは治らぬ ままだ。今ではプレーの意欲も失せがちだが、 何かのきっ かけで、またまっすぐに飛ぶようになることを密かに期 待している。 今月の映画 「アゲイン 28年目の甲子園」 1月17日(土)全国ロードショー 過それを心のどこかに潜ませたまま、日常に追われながら生きている。うまく 去につらい目に遭い、心に傷を負った経験が、誰にだってあるだろう。大方は、 行っているときはそれでもどうということはない。しかし、何かで人生につまずい たとき、その古傷がよみがえり、どうしようもなく痛み出す。それでもそこから目 を背け、トラウマを抱えて生きているような人は、案外多いのではないか。 本作が描くのは、そんな大人たちがつらい過去に決着をつけ、再び自らを輝かせ ⓒ重松清/集英社 ⓒ2015「アゲイン」製作 委員会 ようとする姿。高校野球部の OB・OG が再び甲子園を目指すことができるという 夢のような野球大会「マスターズ甲子園」がその舞台だ。あと一歩まで迫っていた甲子園出場を、ある部員の不祥事のせ いで逃した高校野球部の OB や OG、彼らを取り巻く家族を、中井貴一、波瑠、柳葉敏郎、和久井映見、西岡徳馬らが熱演。 それぞれに境遇を抱えながらも、 仲間や家族との絆を取り戻そうとする人々のせつない思いが胸に迫る。原作は重松清の 「ア ゲイン」 。監督・脚本は大森寿美男。2 時間。東宝配給。 159 Zaikai Kyushu / FEB.2015
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