詳細版 - 国公関連労働組合連合会

国家公務員「非常勤職員の勤務条件はいま…」
非常勤職員の健康診断・診査について
1.概要
(1) 「人事院規則10-4(職員の保健及び安全保持)」及び同「運用について」では、
各省各庁の長は、健康診断等の実施等により職員の健康の保持増進を図ることが定め
られています。
具体的な健康診断・診査については以下の5種類が定められています。
① 採用時の健康診断(規則 10-4 第 19 条)
②
③
④
⑤
一般定期健康診断(規則 10-4 第 20 条第2項第1号)
特別定期健康診断(規則 10-4 第 20 条第2項第2号)
臨時の健康診断 (規則 10-4 第 21 条)
職員の健康の保持増進のための総合的な健康診査(規則 10-4
第 21 条の2)
(2) 任命権者が、職員に対して健康診断を「行わなければならない」もの、
「必要と認め
る場合に行う」もの「職員が請求した場合に、その職員が診査を受けるために勤務しな
いことを承認することができる」ものと、それぞれ扱いが異なります。
例えば、定期の健康診断(一般定期健康診断と特別定期健康診断)については、職員
に対し、少なくとも年1回実施することとされています。
さらに、5種類の健康診断・診査に関する規定は、それぞれ対象となる非常勤職員が
異なるので注意が必要です。
2.対象となる非常勤職員の範囲について
健康診断・診査を受けることのできる職員は、常勤職員に加え、再任用職員と、人事院
規則 10-4別表第3(別表第2の一部を含む)に記載された業務に従事する非常勤職員
が含まれます。
また、
「1週間当たりの勤務時間が常勤職員について定められている勤務時間の2分の
1以上の時間とされている非常勤職員のうち、6月以上継続勤務している非常勤職員」
は、一般定期健康診断、臨時の健康診断の2つについてのみ、適用範囲に含まれます。
※ 1週間当たりの勤務時間が常勤職員について定められている勤務時間の2分の1
以上の時間とされている非常勤職員が、健康診断の実施時点では6月以上継続勤務
していない場合であっても、6月以上の任期が定められている場合は、一般定期健康
診断を行うよう努めることとされています。
* 「継続勤務」とは、原則として同一官署において、その雇用形態が社会通
念上中断されていないと認められる場合の勤務をいいます。
* 任期が1年単位であっても、反復継続雇用(短い空白期間を挟む場合を含
む)は雇用が継続しているとみなされます。
国家公務員「非常勤職員の勤務条件はいま…」
《「健康診断・診査の種類と対象となる非常勤職員の範囲」については、以下の表のとおり》
各健康診断について
「各省各庁の長は」
*
別表3の業務に
1週間の勤務時間が常勤職員
6月超従事する
の 1/2 以上で、6月超勤務
非常勤職員
する非常勤職員
採用時の健康診断
行わなければならない
○
×
一般定期健康診断
行わなければならない
○
○
特別定期健康診断
行わなければならない
○
×
臨時の健康診断
必要と認める場合に行う
○
○
別表3の業務とは、特定有害物質を取扱う業務や、放射線に被ばくするおそれのある
業務、自動車等の運転を行う業務などです。
3.一般定期健康診断の検査項目
(1) 既往歴及び業務歴
(2) 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査並びに肥満度の測定
(3) 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
(4) 胸部エックス線検査
(5) 喀痰細胞診
(6) 血圧の測定、血糖検査並びに尿中の蛋白及び糖の有無の検査
(7) 心電図検査、LDLコレステロール検査、HDLコレステロール検査、中性脂肪検
査及び貧血検査
(8) 胃の検査
(9) 肝機能検査
(10) 便潜血反応検査
(11) 次に掲げる検査
① 空腹時の血中グルコースの量の検査
② ヘモグロビンA1c検査
③ 微量アルブミン尿検査
④ 負荷心電図検査又は胸部超音波検査
⑤ 頸部超音波検査
⑥ 空腹時のLDLコレステロール検査、空腹時のHDLコレステロール検査及び空腹
時の中性脂肪検査
(12) 上記1から10までの検査の結果、必要と認められる検査
※ 検査項目によっては、年齢基準や回数の設定があります。
4.関係条文等(主に一般定期健康診断関係規定を抜粋)
人事院規則10-4(職員の保健及び安全保持)
(定期の健康診断)
第20条 各省各庁の長は、定期に職員の健康診断を行わなければならない。
2 前項の健康診断は、次に掲げるものとする。
① すべての職員(人事院の定める非常勤職員を除く。第24条の2において同じ。)
に対して行う一般定期健康診断
国家公務員「非常勤職員の勤務条件はいま…」
② 別表第3に掲げる業務に現に従事し、又は同表に掲げる業務で人事院の定める
ものに従事したことのある職員に対して行う特別定期健康診断
3 第1項の健康診断の検査の項目その他同項の健康診断に関し必要な事項は、人事
院が定める。
別表第3
特別定期健康診断を必要とする業務
(第19条、第20条、第25条、第26条関係)
① 別表第2第1号から第8号まで、第10号及び第12 号に掲げる業務
② 放射線に被ばくするおそれのある業務
③ せん孔、タイプ、筆耕、速記等による手指、肩、頸等に障害をうけるおそれの
ある業務
④ 理学療法士、作業療法士、あん摩マッサージ指圧師等の業務で摩擦、屈伸等に
より障害をおこすおそれのあるもの
⑤ 患者の介護及び患者の移送、重量物の運搬等重いものを取り扱う業務
⑥
⑦
⑧
⑨
深夜作業を必要とする業務
自動車等の運転を行う業務
調理、配ぜん等給食のため食品を取り扱う業務
計器監視、精密工作等を行う業務
別表第2 特定有害業務(第十六条、第二十五条、第二十六条関係)
一 次に掲げる物質を取り扱い、又はそれらのガス、蒸気若しくは気膠質を吸入する
ことにより障害を受けるおそれのある業務
1 鉛、その合金及び化合物(四アルキル鉛を除く。)
2 四アルキル鉛
3 水銀、そのアマルガム及び化合物(有機水銀を除く。)
4 フェニル水銀化合物
5 アルキル水銀化合物(アルキル基がメチル基又はエチル基である物に限る。)
6 マンガン及びその化合物
7 クローム及びその化合物
8 カドミウム及びその化合物
9 ベリリウム及びその化合物
10 砒素及びその化合物
11 りん及びその化合物(有機りん剤を除く。)
12 有機りん剤
13 シアン及びその化合物(アクリロニトリル、トリレンジイソシアネート
(TDI)及びオルト・フタロジニトリルを除く。)
14 アクリロニトリル
15 トリレンジイソシアネート(TDI)
15の2 メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)
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16 オルト・フタロジニトリル
17
18
19
20
21
22
23
24
25
塩素
弗化水素
沃素及びその化合物
一酸化炭素
二酸化硫黄
硫化水素及びメルカプタン類
二硫化炭素
ベンゼン及びその同族体
アルフア―ナフチルアミン及びその塩、ベータ―ナフチルアミン及びその
塩、オルト―トリジン及びその塩、ジアニシジン及びその塩、ジクロルベン
ジジン及びその塩、マゼンタ、ベンジジン及びその塩並びにオーラミン
26 ベンゼン及びその同族体のニトロ誘導体及びアミノ誘導体(25に掲げる
物質を除く。)
27 芳香族炭化水素のハロゲン置換体
28 塩素化ビフェニル(PCB)
29 脂肪族炭化水素のハロゲン置換体(塩化ビニル及び一・二―ジクロロプロ
パンを除く。)
30 塩化ビニル
31 一・二―ジクロロプロパン
32 コールタール
33 エチレンイミン
34 ニッケル化合物(ニッケルカルボニルを除き、粉状の物質に限る。別表第
二の二第二号19において同じ。)
35 ニッケルカルボニル
36 五酸化バナジウム
37 ビス(クロロメチル)エーテル
38 アクリルアミド
39
40
41
42
43
44
45
46
47
クロロメチルメチルエーテル
ニトログリコール
ベータ―プロピオラクトン
硫酸ジメチル
石綿
ホルムアルデヒド
一・一―ジメチルヒドラジン
酸化プロピレン
インジウム化合物
48 エチルベンゼン
49 コバルト及びその無機化合物
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50 有機溶剤(49までに掲げる有機溶剤を除く。)
51 酸、アルカリその他の刺激性物質及び腐しよく性物質
52 有機性粉じんその他アレルゲンとなるおそれのある物質
二 強烈な紫外線、赤外線又は可視光線にさらされる業務
三 粉じんを著しく発散する場所における業務
四 病原体によつて汚染されるおそれのある場所における業務
五 チェンソー、さく岩機、高速機械等の使用により身体に著しい振動を受けるお
それのある業務
六 多量の高熱物体を取り扱う業務又は著しく暑熱な場所における業務
七 多量の低温物体を取り扱う業務又は著しく寒冷な場所における業務
八 異常気圧下における業務
十 著しい騒音を発する場所における業務
十二 超音波にさらされる業務
人事院規則10-4(職員の保健及び安全保持)の運用について
第19条及び第20条関係
1 第19条第1項の「人事院の定める非常勤職員」は、次に掲げる非常勤職員以
外の非常勤職員とする。
(1) 国家公務員法(昭和22年法律第120号)第81条の5第1項に規定する
短時間勤務の官職を占める職員
(2) (1)に掲げる職員以外の非常勤職員のうち、6月を超える期間規則別表第3に
掲げる業務に従事する非常勤職員
3 第20条第2項第1号の「人事院の定める非常勤職員」は、次に掲げる非常勤
職員以外の非常勤職員とする。
(1) 第1項(1)及び(2)に掲げる非常勤職員
(2) 1週間当たりの勤務時間が常勤職員について定められている勤務時間の2
分の1以上の時間とされている非常勤職員のうち、6月以上継続勤務している
もの((1)に掲げるものを除く。)
4 各省各庁の長は、1週間当たりの勤務時間が常勤職員について定められている
勤務時間の2分の1以上の時間とされている非常勤職員のうち、6月以上継続勤
務していないもの(第1項(1)及び(2)に掲げるものを除き、6月以上の任期が定
められているものに限る。)に対して、一般定期健康診断の例により、健康診断を
行うよう努めるものとする。
5 前2項の「継続勤務」とは、原則として同一官署において、その雇用形態が社
会通念上中断されていないと認められる場合の勤務をいう。
6 第20条第2項第2号の「人事院の定めるもの」は、規則別表第2第1号及び
第3号に掲げる業務並びに規則別表第3第2号に掲げる業務とする。
7 第20条第3項の人事院の定める健康診断の検査の項目その他健康診断に関
し必要な事項は、次に掲げるものとする。
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(1) 一般定期健康診断の検査の項目は、別表第4に掲げるものとし、その回数は、
1年につき少なくとも1回(別表第4に特に定めがあるものにあっては、その
定められた回数)とする。
8 別表第4第12項の検査は、結核性疾患、虚血性心疾患その他の心疾患、脳血
管疾患、高血圧性疾患、がんその他の悪性新生物による疾患、胃潰瘍、十二指腸
潰瘍その他食道・胃・十二指腸の疾患及び肝炎、肝硬変その他の肝臓の疾患の場
合並びにこれらの疾患の疑いのある場合に限り行うものとする。
別表第3関係
1 第2号の「放射線に被ばくするおそれのある業務」とは、規則10―5第3条
第3項に規定する管理区域内で行う同条第5項に規定する業務及び規則10―
13第6条に規定する除染等関連業務をいう。
2 第3号の「せん孔、タイプ、筆耕、速記等により手指、肩、頸等に障害をうけ
るおそれのある業務」には、打鍵式計算機、打鍵式会計機、電信機等を取り扱う
業務が含まれる。
3 第6号の「深夜作業を必要とする業務」とは、週1回以上午後10時から翌日
の午前5時までの間における作業を必要とする業務をいう。
4 第8号の「調理、配ぜん等給食のため食品を取り扱う業務」には、食品の洗浄、
消毒又は食卓の清掃の業務が含まれる。
5 第9号の「計器監視、精密工作等を行う業務」とは、計器監視、精密工作、顕
微鏡操作等高度の神経緊張又は精神的活動の持続を必要とする精密視作業に従
事する業務をいう。
別表第4 一般の健康診断の検査の項目
1 既往歴及び業務歴
2 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査並びに肥満度の測定
(視力及び聴力の検査については、一般定期健康診断の回数は、3年につき少
なくとも1回とし、これらの検査のうち、健康管理医が特に必要でないと認
める検査の項目については、行わないことができる。)
3 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
4 胸部エックス線検査
(肺がんの検査については40歳未満の職員における場合を除くものとし、結
核患者、結核発病のおそれがあると診断されている者及び医師がエックス線
直接撮影を必要と認める者についてはエックス線間接撮影を省略すること
ができる。)
5 喀痰細胞診
(40歳未満の職員における場合及び問診の結果医師が必要でないと認める場
合を除く。)
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6 血圧の測定、血糖検査並びに尿中の蛋白及び糖の有無の検査
(血糖検査については、35歳未満の職員及び36歳以上40歳未満の職員に
おける場合を除く。)
7 心電図検査、LDLコレステロール検査、HDLコレステロール検査、中性脂
肪検査及び貧血検査
(35歳未満の職員及び36歳以上40歳未満の職員における場合を除く。)
8 胃の検査
(40歳未満の職員及び妊娠中の女子職員における場合を除く。)
9 肝機能検査
(35歳未満の職員及び36歳以上40歳未満の職員における場合を除く。)
10 便潜血反応検査
(40歳未満の職員における場合を除く。)
11 次に掲げる検査(第24条の2関係第1項に規定する検査を受けて、当該検査
のいずれの項目にも異常の所見があると診断された職員における場合に限る。)
(1) 空腹時の血中グルコースの量の検査
(2) ヘモグロビンA1c検査
(3) 微量アルブミン尿検査(第6項の尿中の蛋白の有無の検査において、疑陽性
(±)又は弱陽性(+)の所見があると診断された職員における場合に限る。)
(4) 負荷心電図検査又は胸部超音波検査
(5) 頸部超音波検査
(6) 空腹時のLDLコレステロール検査、空腹時のHDLコレステロール検査及
び空腹時の中性脂肪検査
12 第1項から第10項までの検査の結果必要と認められる検査
国家公務員福利厚生基本計画(平成3年3月 20 日 内閣総理大臣決定)
第2 健康の保持増進
職員の心身の健康の保持増進の重要性について積極的な普及啓発を図るとと
もに、職場環境の改善に努め、疾病の発生を予防することにより、職員の生涯に
わたす心身ともに健康な生活を実現する。
このため、次の事項に重点を置いて職員の健康の保持増進対策を推進する。
4 生活習慣病対策
社会環境及び食生活の変化等に伴い、がん、心臓病、脳卒中、糖尿病等の生活
習慣病に係る対策が重要な課題となっている。生活習慣病を予防するためには、
適切な運動を行い、健全な食生活に心がけるなどの生活習慣を維持するととも
に、職員が定期健康診断の結果を有効に活用し、自らの生活の改善に努めること
が重要となる。
このため、健康づくりのための教育等の充実、生活習慣病の予防に関する理解
と知識の普及等を行い、定期健康診断の充実及びその結果に基づく保健指導を徹
底するなど職員の生活習慣病対策を推進する。
国家公務員「非常勤職員の勤務条件はいま…」
国家公務員福利厚生基本計画の運用指針
1
健康の保持増進
(4) 生活習慣病対策
次の事項に留意しつつ、職員の生活習慣病対策を推進する。
① 定期健康診断の充実及び結果の活用の促進
生活様式の変化などによる生活習慣病の増加等疾病構造の変化に対応すると
ともに、疾病の発見のみならず、その発生予防にも重点を置いた定期健康診断と
することが重要な課題となっていることにかんがみ、定期健康診断のスクリーニ
ング検査として次の検査項目その他の必要な検査項目の実施に努める。
ア 業務歴、既往歴、慎重・体重・胸囲・視力・聴力、肥満度、自覚・
他覚症状
イ 胸部エックス線検査
ウ 喀痰細胞診(40歳以上の職員)
エ 血圧検査、血糖検査及び尿検査(血糖検査は35歳及び40歳以上
の職員)
オ 心電図検査(35歳及び40歳以上の職員)
カ LDLコレステロール検査(35歳及び40歳以上の職員)
キ HDLコレステロール検査(35歳及び40歳以上の職員)
ク 中性脂肪検査(35歳及び40歳以上の職員)
ケ 貧血検査(35歳及び40歳以上の職員)
コ 胃の検査(40歳以上の職員(妊娠中の女子職員を除く。))
サ 肝機能検査(35歳及び40歳以上の職員)
シ 便潜血反応検査(40歳以上の職員)
また、健康診断結果の的確な管理及び本人への適切な周知・指導に努める。な
お、健康診断の結果、肥満、血圧、血糖、血中脂質のすべてに有所見となった職
員に対し二次検診を実施し、その結果、要医療に該当した職員に対しては医療機
関の受診を指導し、要医療に該当しなかった職員に対しては、運動・栄養・休養
に関しての保健指導に努める。
② 健康づくりのための相談・指導の充実
職員の日常からの計画的な健康管理を支援するため、健康相談の積極的な活
用、健康管理医等による健康管理についての指導の充実等に努める。
また、国家公務員健康週間などの機をとらえ、各省各庁又は部局内の広報誌及
び放送等を通じた広報に努める。
③ 生活習慣病予防に関する理解と知識の普及
健康づくりに関する職員の自助努力を促すため、健康に関する情報の提供、行
事の開催、医師による講話の実施等を通じて生活習慣病予防に関する職員の理解
を促進し、知識の普及に努める。
また、共済組合が実施する「特定健康診査・特定保健指導」に対し、指導場所
の提供等その実施を支援する。
国家公務員「非常勤職員の勤務条件はいま…」
④ 突然死防止に関する理解と知識の普及
突然死の原因の大部分を占める循環器疾患を予防するため、循環器疾患に関す
る情報の提供、医師による講話の実施等を通じて、突然死防止に関する理解を促
進し、知識の普及に努める。
(2014 年1月
公務労協・国公連合作成)