レトリックの変遷 比喩(figure, figure of speech) 常表現にられる比喩(1

レトリックの変遷
rhetoric :
比喩(figure, figure of speech)
修辞学,修辞法(表現法),話術
言葉遣い,言葉の綾,説明,誇張,美辞麗句

転位
配置
(形の変化)
メタファー
表現法
転義
メトニミー
(修辞学)
記憶
紀元前後
(ローマ時代)
思考の綾
比喩
文学的表現
の技術
原則から逸脱した特別な表現と位置付けられていた
認知意味論では


1980年頃
説得の技術
「ことば」の問題 (転義,ことばの綾)


メタファーは比喩の一種
古典レトリックでは

シネクドキ
・・・
口演
(意味の変化)
メタファー(隠喩),メトニミー(換喩),シネクドキ(提喩)


弁論術
ある言葉を本来の意味とは異なる意味に用いること
・・・
発想

日常的なものごとの「捉え方」の問題
意味を言語使用者による外界認識の産物と考える
認知言語学
(認知意味論)
ユーザ視点
12
13
⽇常表現に⾒られる比喩(2)
⽇常表現に⾒られる比喩(1)

「月見うどん」



「目玉焼き」 メタファー

メトニミー

きつねとその好物である油揚は隣接する
「親子丼」


卵黄の眺めが月見と類似する
「きつねうどん」

メタファー
シネクドキ

親子が鶏と卵の親子を包摂する
14
メトニミー
主たる具(部分)によって全体を表す
「花見」

領域B
黄身/白身の配置が人の目玉と類似
「たこ焼」

領域A
全体
部分
類
シネクドキ
花という類で,桜(種)を表す
種
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<問題 4-1>
デスクトップメタファー
以下の表現はメタファー,メトニミー,シネクドキのどれに該当するか答えなさい
表現
由来
比喩の種類

「たい焼き」
コンピュータの画面上を実世界の作業机に見立て
たグラフィカル・ユーザインタフェースの表現

「どら焼き」
机上(画面上)の書類(ファイル)やフォルダを手(マウス)
で扱うように操作する
メタファー
「もんじゃ焼き」
書類
「ミシン」
「ホッチキス」
コンピュータ
ハードウェア
「パンケーキ」
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プログラム
デバイスとプリンターの表示
デバイスの追加
プロジェクターへの接続 ・・・
プログラムのアンストール
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以下の案内用図記号における表現は,メタファー,
メトニミー,シネクドキのどれに該当するか答えなさい
サウンド
ソフトウエア
プリンタは
ハードウェア
の一種
スピーカは音を
出すために必要
な機材の一部
箱やメディアは
ソフトウエアの
入れ物
レストラン
喫煙所
リサイクル品
回収施設
鉄道/
鉄道駅
歴史的
建造物
メトニミー
シネクドキ
種
机上
(デスクトップ)
<問題 4-2>
ハードウェア
類
ゴミ箱
デジタルデータとして表現された情報を
机上と類似の操作で扱えるようにする
Windowsのコントロールパネル
ハードウェアとサウンド
フォルダ
全体
部分
18
19
状況に応じた意味の弾性
<問題 4-3>
ライフイベントメニューにおける以下の各図記号は,メタファー,
メトニミー,シネクドキのどれに該当するか答えなさい

メタファー(隠喩)

意味が特定の領域を越えて別の領域に「飛ぶ」


メトニミー(換喩)

対象領域内で指示対象が「横すべりする」


類似関係に基づく
隣接関係に基づく
シネクドキ(提喩)

カテゴリーの範囲が「伸縮する」

包摂関係に基づく
メトニミーとシネクドキは同じ領域内での意味変化
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20
「全体」と「部分」の曖昧性
<問題 4-4>

杉は木の「一種」だが,木の「一部」ではない
 足は体の「一部」だが,体の「一種」ではない

以下の階層分類型サイト構造における(a)~(e)の各
ページとその直下のページは,「~の一種」「~の一部」
どちらの関係にあるか答えなさい
通販サイト (a)
トップページ
木
体
杉
種と類
木
足
部分と全体
パソコン (b)
幹
本体
部分と全体
「含む/含まれる」のメタファーによって,「種と類」の
関係と「部分と全体」の関係が区別しにくくなっている
周辺機器
(d)
プリンタ
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パーツ
ディスプレイ
家電 (c)
情報家電
生活家電
(e)
冷蔵庫
電子レンジ
カメラ
健康家電
デジカメ
ビデオカメラ
洗濯機
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2種類の分類法

「~の一種」
(a kind of ~)
カテゴリー
の範囲が
「伸縮する」

言語表現におけるメトニミー
「~の一部」
(a part of ~)


「コンロの火を止めて」と依頼する状況

木
《類》
指示対象が
「横滑りする」

木
《全体》

杉
「ヤカンが煮えくりかえっている」 The kettle is boiling.
松
桜 《種》
枝
葉
幹 《部分》
「包摂関係」
「隣接関係」
同種のモノを1つにまとめる
(包摂分類法)
1つのモノを構成要素に分ける
(分節分類法)
実際にヤカンが煮えているわけではない
日本語固有の非論理性によるものではない
対象世界における個と個の隣接関係に基づく


観察者の知覚を刺激するのは,湯の沸騰に伴う
ヤカン自身の活動
観察者の知覚に支えられた合理的で,簡潔な表現
メトニミー  観察の知覚に支えられた(状況依存的な)表現法
(認知意味論では,意味を言語使用者による外界認識の産物と考える)
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