大規模国土海洋監視システム (GOS)研究の概要 (財)総合研究奨励会 GOS研究会 1 JSASS TaskForce 2 大規模災害における航空 宇宙技術の役割と課題 2011.9.27 主催:日本航空宇宙学会 後援:日本航空協会、東 京大学航空イノベーション 研究会 http://www.seisvol.kishou.go.jp /eq/shindo_db/db_map/indexemg.html JSASS TaskForce 航空宇宙技術の役割 • 地震直後の観測 • 海自大湊地方隊の救難ヘリUH-60J離陸 • 映像伝送装置を搭載した陸自東北方面航空隊の UH-1(ヘリ映伝)離陸 • 被災者捜索と救助、人と物の輸送 • 鉄道、船、自動車の輸送ルート遮断 • 空中写真 • JAXA 3月13日より陸域観測技術衛星「だいち」 (ALOS)により衛星写真 • 無人機の空撮、有人機の空撮 • 通信 • JAXAにより技術試験衛星Ⅷ型「きく8号」による通 信回線の提供 3 提言 • 将来起こりうる我が国の大規模災害に対し、東日本大震 災の教訓より以下を確保する統合されたシステムの構築 とともに、災害時の運用体制を整備することを提言する。 • 航空輸送手段を確保する。 航空輸送手段 • 拠点となりうる空港の確保、後方支援計画 • 緊急時における運用者・当事者の役割分担、規則 等の整備 • 運航安全を確保する。 運航安全 • 新運航技術(CARATS)導入の推進(平時/災害時ともにインフラとなる通 信、航法、監視、情報管理の技術開発) • 運航信頼性の高い強靭な機材:運用環境は苛酷で、これに耐える機材が 必要 • 無人機は、安全性・信頼性に関するデータの蓄積と、運用訓練も含めた実 績を積む必要がある 4 提言 • 広域にわたり常続的、即時的 常続的、即時的な情報 常続的、即時的 情報の重層的把握 情報 重層的把握を確保する。 重層的把握 • 衛星(広域情報把握)、有人航空機(詳細な即時的情報把握)、無人機(長 時間、常続的情報把握)を組み合わせた情報伝達・共有システムを構築 • 高速・大容量 高速・大容量の通信 通信システムを確保する。 通信 • 多数の航空機の効率運航:航空機⇔地上(災害対策本部等)の間のデー タ通信化(音声通信からアップデート)が有効かつ必要。 • 必要となる技術開発:高速衛星通信・空地通信システム、高性能・低コスト 機上機器の開発・普及、共用周波数の確保 等 • 他の学術学協会との連携 • 安全性・信頼性に関する学生・社会人を含めた教育と啓蒙活動 • 【2010.10.27】人材育成の検討と提言(人材育成検討委員会) • 航空ビジョンへの反映 • 【2009.06.03】航空ビジョン:日本航空宇宙学会からの提言 5 背景(東日本大震災地震・津波の教訓) 【地震津波は避けられない。備えることはできる】 2011年 年3月 月11日に発生した東日本大震災は幾多の教訓 日に発生した東日本大震災は幾多の教訓 ・大容量の高速通信網は健全 ? ・迅速かつ重層的継続監視網 ? ・広域・常続・即時的な情報の把握と伝達 ? ・被災下での空中・地上物資輸送網 ? ・統一指揮組織体制 ? ・多用途活用/相互補完可能な観測システム ・多用途活用 相互補完可能な観測システム ? ・早期情報収集 ・抗堪性 ・有機的連携 ・情報指揮の一元化 ・継続モニター 6 背景(国境等に隣接する離島沿岸域での情勢) ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 中国海洋調査船、漁業監視船のEEZ内侵入 中国海洋調査船、漁業監視船の 内侵入 北朝鮮工作船の領海内侵入・拉致 ロシア漁船の領海内侵入・蜜漁 韓国、ロシアによる日本領土の実効支配 沿岸域の総合管理と離島の保全 離島の総合管理 尖閣諸島:手前より南小島、北小島、魚釣島 監視船漁政202 中国の漁船 北方四島 北鮮の不審船 北方四島の巡視船とロシア船 7 研究の必要性 社会のニーズ • 国民は、様々な脅威のなかで日々の生活を送っている。 • 一つは自然の驚異で、大規模地震それにともなう津波や火災で、台風や豪雨などに よる浸水、土砂災害も繰りかえし起こる。 • 更には、不審船のような人為的な脅威、航空機や船舶の事故などによる遭難といった リスクも抱えている。 こうした脅威を和らげ、安全で安心な社会の実現が求められる。 • 研究の必要性 • 国土および広大な海域を、空間的にも時間的にもシームレスに監視できる大規模シス テムの構築が、上記の脅威を事前に、また包括的に把握し、迅速に対策に繋げる大 規模な監視システムの構築が喫緊の課題である。 • その対策状況を常時、正確に把握することも対策の改善につなげるためになくてはな らない。 こうしたシステムをGOS(グローバル・オブザーベーション・システム)と命名しGOS研究 を(財)総合研究奨励会で実施する。 • 8 研究概要 1 提案書及び仕様書案の作成 2 関連するシステムの国内外技術・運用状況の調査 3 システム構築に向けた検討 ①重層的継続監視網の構築 ②広域・常続・即時的な情報の把握と伝達 ・各種ロボット機能と中継局等の連携・整合性と実証 ・各種センサーの多用途化 ・統合データの融合処理 ・有機的な情報伝送・伝達機能 ・衛星データの活用処理 4 プロートタイプ実証試験 9 大規模国土海洋監視システムの役割 国民の生活の安定・減災・安全保障 海面の観測 津波検知(減災) 進向位置の把握 到達予測時間の提供 潮流情報(安全) 安全・効率的な航行 潮流情報の提供 潮流情報(環境) 沿岸域等の生態系 赤潮・青潮予測 洋上浮遊物の回収 潮流情報(生活) 養殖・漁業・農業 エネルギー変換 潮流発電 海洋基本法 低潮線保全法 海洋環境の保全 海洋の安全の確保 離島の保全 国際的な連携確保及び国際協力の推進 海域の監視 海難事故 救命対処 漂流物の予測把握 安全保障(EEZ内) 不審船・飛翔体検知 海洋資源保全 海底資源域の洋上監視 資源調査発掘作業支援 洋上風力発電 大規模国土海洋監視システム(GOS) 10 システム構成 データ等 中継機 航空システム 機動性・迅速性・精密性 ネットワーク 統合処理(融合) 統合処理(融合 陸上システム 常続性・広域性 データ ベース 海上システム 継続性 11 GOS研究会構想図(陸空海の重層的観測監視技術) 情報伝達・伝送 重層的継続総合観測監視網 (宇宙、空中、海上、地上) データ融合 データのリアルタイム伝送 海域観測 統合機関 環境・海流観測 (関係省庁・自治体) 研究体制 プロジェクトリーダ 東大 コーディネータ (財)総合研究奨励会 航空システム 東大 JAXA ENRI 航空メーカ 通電メーカ 海上システム 海洋大 NILIM 船舶メーカ 通電メーカ 陸上システム 東北大 電通大 海洋大 金工大 琉球大 NILIM 通電メーカ データ処理 電通大 海洋大 ENRI NILIM ネットワーク NICT 航空メーカ 通電メーカ 航空メーカ 通電メーカ 連携 JAXA:宇宙航空研究機構、 ENRI:電子航法研究所、 NILIM: 国土技術政策総合研究所、NICT:情報通信研究機構 13 研究活動 課題と解明 システム設計 シ ス テ ム 構 想 現 状 技 術 能 力 検 証 新規技術開発 技術導入 改善 シ ス テ ム 統 合 化 既存 G O S )))) 社会・省庁等のニーズ 個別システム との インターフェース 重 層 多 用 途 化 シ ス テ ム 構 築 大 規 模 国 土 海 洋 監 視 シ ス テ ム (((( 生 活 環 境 豊 か で 持 続 可 能 な 社 会 の 構 築 14 社会波及効果など 1 GOS研究成果の波及 ①津波・海難など発生時の早期検知及び沿岸域の海流等の連続的かつ正確な情報収集 ②気象・環境観測等、幅広いミッション ③人工衛星の面的観測能力と比較して、廉価に常続的に監視 が実現可能となる。これにより、社会の安心・安全、生活の質の向上等に貢献出来る。 2 航空システム研究の波及 日本が豊富な経験を持つ防災・減災分野で早期に実利用を開始し、産業を育成することにより、 無人航空機システムの非軍事利用分野における世界最先端の技術と競争力を得ることが出来 る。それにより、今後の産業利用(農業、漁業、林業)や、無人貨物機システム等の市場におい て世界をリードすることが出来ると考えられる。 3 統合化研究の波及 多岐にわたるデータ・情報の統合化技術は各省庁縦割り業務処理を横断的に見直し、災害及び 緊急時の迅速・正確な情報伝達と行動・指示の適正化の実現に寄与することが出来る。 4 諸外国への波及 本システムは、国内の沿岸域及び離島周辺海域への設置を始め、東南アジア等海岸線を有し 災害等頻発地域への展開が可能である。 15 参考資料:観測監視体制の現状 対処項目 現状 地震 全国整備中(将来への備え) 警報による個人対処 精度の向上 エリアの拡大 避難対処行動の迅 速化 気象庁 自治体 研究拡大 地震予測と波浪計で警報 甚大な被害(溺死等)(3.11) 海洋レーダと波浪 計連携による海面 変化実測 正確な予報発令と確 実な退避 (波高&到達時刻) 気象庁 自治体 GOS研究 沿岸域のモ ニター 流速・波浪・風向・風速・温度 各個別観測、常続的な低潮 線監視は困難 不審船等は巡察警戒監視 海洋レーダ・無人 機による常続的な 観測 漁業(養殖)・林業・ 農業の生産力改善 監視の強化、沿岸域 の護岸 農水省 自治体 国交省 海保庁 大学等の海 洋環境研究 と連携(GOS 研究) 港湾のモニ ター 主要港湾の環境調保全調査 船舶等の航行監視 エリアの拡大 総合的環境調査 相関関係等の把握 環境保全 国交省 海保庁 GOS研究 離島周辺 海域(低潮 線) 艦船・航空機で監視 低潮線監視は間欠的 警戒態勢脆弱、拉致被害等 海洋レーダ・無人 機による常時周辺 沿岸全域の監視 不審船検知 海洋台帳整備 環境保全、離島振興 海保庁 自治体 国交省 GOS研究 海洋レーダ・無人 機による常時全域 の監視 不審船検知 飛翔体検知 海洋台帳整備 航行安全 海保庁 防衛省 経産省 水産庁 GOS研究 EEZ海域 艦船・航空機で監視 常時全域把握は困難(不審 船海難船等の状況) 常続的海域監視は困難 海底調査船単独で作業 国策として警備体制無 無人機による監視 海賊等の事前警戒 調査作業の安全 経産省 国交省 GOS研究 発展 16 津波 大陸棚延伸 海域 改善法(研究等) 効果 所管 備考
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