都市近郊林に生息するニホンカモシカのため糞の分布と それにおよぼす

文
1
1
都市近郊林に生息するニホンカモシカのため糞の分布と
それにおよぼす人為的影響
宮津俊一本・青井俊樹*人出口善隆件取
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I.はじめに
ーホンカモシカ (
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)(
以下カモシカ)は、本州、自国、九州、i
に生息する日
本l
国有稀で、季節的に大きな移動を行わない定着性の大型 1
1
m乳動物である。カモシカは、シカ
と同じような中立;伏のフンをし、 19J1あたりの羽ドフン安土は戸封建とも 1 日におよそ 1000~2立になる。シ
カは 1
回に約 1
0
0
粒を 1
0間程度に分けて任意の;場所に排消するのに対して、カモシカは 1日に約
31m、 1
1
討に 3
0
0
粒程度のブンを行動閣内の特定の場所にまとめて出す(高機ら 1
9
8
1
)。このよ
うなブンは「ためフン Jと呼ばれている。カモシカは採食地の近くでフンをする習性があり、
ためブンの数とカモシカの土地利用度は関係していると考えられている(小野ら 1
9
7
8
)。本研
究では、ためフンの分布状況とその周聞の環:lJ{tを鵡査することによって、カモシカの土地利用
環境を把握し、また人間の活動がカモシカのためフンの分布にもたらす影響について明らかす
ることにより、都市近郊林のカモシカの保全のための知見を得ることを目的とする。
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本
右手大学大学院 fJ2 学研究科 )l~~* 生産学専攻
り岩手大学 y史学吉 IIJBH*JJi~境宇1-学科森林科学講座
**キ岩手大学法学き1
)
弦楽生命科学宇I
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J物化学講座
岩大波報
1
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)
1
1
.調査地および方法
1.調査地
カモシカが通年生息している都市近郊林である岩手大学農学部隊属滝沢演習林を鵡査地とし
0
0
た。滝沢演習林は、盛開市の北方約 1
0
k
mに位置し(北緯3
9 4
5
' 東経1
4
1 1
0
' )、岩手県岩手
郡滝沢村大字滝沢に所在する北上JlI
沿いの丘陵地である。総ll:対立は 2
8
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aで、ある。'lf
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北地方
北部の表日本型の気候を示し、植物帯上は山地帯?に属し、植物棺は太平洋倶j
i
の喪主去を含んでい
る。人工林率は 54%にのぼり、齢級分布も比較的一様で、ある。椀栽樹種はスギが過半を占め、
アカマツ、カラマツがそれに次ぐ ο 全域が鳥獣保護区に指定されている(岩手大学附属滝沢演
習林 1
9
9
7
)。近年、演習林周回の宅地化が進んでおり、さらに岩手銀河鉄道の線路と道路が演
習林を分断している。また近隣の住民が、散歩や山菜取りなどの自的で、
に林内に入って
いる。滝沢演習林では、 1978~ 1
9
8
5年まで J右手大学野生動物の会がカモシカの観察を行ってお
り、最大1
5頭のカモシカが個体識別された(岩手野生動物の会 1
9
8
4
)。その技1
5年間カモシカ
の生息に関する調査は行われていなかったが、 2000~2001 年に岩手大学農学部森林経営学研究
室の能勢、嬬本により調査が行われ、その結果5
頭のカモシカが、個体識別された(能勢 2
0
0
2
)。
また 2002~2003 :fJ三に、岩手大学農学部森林経営学研究室の能勢、宮 i撃による直接観察による諦
査により、 9頭のカモシカが滝沢淡習林を利用していることを確認している(宮津ら未発表資
をはさんだ、対岸の松 l
潟地区で、はニホンジカの目撃情報があるが、 i
実習林
料
)
。 演習林と北上JlI
内でニホンジカの生息は確認されていない。
2
. ためフンの分布調査
2002年 11 丹 21 臼 ~12 月 12 臼のうち 14 日開、 i寅習林内の全ての林斑にわたって、ほほ均等に時
査し、ためフンを探した。発見したためフンの終度と経度をハンデイ GPS
装置 εTrexLegend
(Garmin
社製)を用いて特定した。
3
. データの解析方法
GISソフト Arcview3.2 (ESRI社製)を用いて林内踏査で得たためフンの分布閣を作成し、た
めフンの周間 5mの上層植生および林齢、ためフンの位誼と住宅地・道路・鉄道からの距離な
どを算出した。なお、 GIS
解析に使用した滝沢演習林の上層縞生、林齢のデータは、滝沢演習
林森林簿平成 1
4年 4月版を用いた。
上層植生や住宅地、道路、鉄道からの距離に対するためフンの分布の偏りの有意性を判定す
るため、滝沢演習林全体の上層植生や、住宅地、道路、鉄道からの距離ごとの面積に比例して
配分されると仮定した、ためフンの期待値と、実 i
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j値との差をモンテカルロシミュレーション
都市近郊終に生息するニホンカモシカのため奨の分布とそれにおよほす人為的彩終
日
(宮武・中山 1
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) により 1
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1の施行をして検定した。
4
. 区分方法
滝沢 i
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!習林を含む 2
5,
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0
0分の l
の地図上において、近接して 5戸以上の住宅が集まっている
場所を住宅地として区分した。岩手銀河鉄道の線路を鉄道、二車線以上の縮員の道路を道路と
した。
11.結果
1.ためフンの分布
1
1
9
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羽のためフン確認された。 住宅地、鉄道、道路と鵡査地が示された地図上にためフンの
位置を示す(図 1。
)
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鞠概観
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住宅地
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図1.カモシカのためフンと滝沢演習林間辺の住宅地、道路、鉄道分布国
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2 上j
詩M生および林齢とためフンの分布
ためブンが発見された場所を上層植生とその林齢別に分け、ためフン数とその分布地点のと
の関係を表した(盟 2) 。上層植生別 l こ発見されたためブン数を実~U何度とし、滝沢演習林の上!替
相生別1f
u
積比から、ためブン期待値を求め (
1
羽3
)、上層槌主主加にためフンの係りを判定するた
めにモンテカルロシミュレーションにより検定を行った。その結果、スギ林とその他針葉樹林
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をためフンをする場所として有意に選択する傾向がみられた(それぞれp
ためフン(個)
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特産台(年)
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臼 101<
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凶4
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アカマツ
広葉樹
スギ
渓交特
その地針譲掛
宕 手 大 学 滝 沢j
潔苦言林のよ j
翠綴主主
図2
. カモシカのためフン間辺の上層構生一林斡割合
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臼ためフン実測値
口期待値
上層植生
図3
. 上層植生間カモシカのためフンの実測億一期締備
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i近郊林に生息するニホンカモシカのため奨の分布とそれにおよほす人為的彩響
1
5
次に、林齢別に発見されたためフン数を実測値とし、滝沢演習林の林齢別 I
師較比から、ため
'
砲を求め(図的、林齢別にためフンの偏りを判定するためにモンテカルロシミュレー
フンの期待1
ションにより検定を行った。その結果、 6
1年以上の林齢の林をためフンをする場所として有意
に選択する傾向がみられたいく 0
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林齢(年)
図4 林齢 7
51Jカモシカのためフンの実 j
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3
. 住宅地からの距離とためフンの分布
ためブンが発見された場所を住宅地からの距離別に分けた。住宅地からの詑離別に発見され
たためフン数を実J
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Hとし、滝沢演習林の住宅地からの距離別市街比から、ためフンの期待 1
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を求め(国 5
)、実 ifilJ値と期待値に偏りがみられるかそンテカルロシミュレーションにより検定
を行った。その結果 100m .l-~)、内を、ためブンをする;場所として有意に避ける傾向がみられた
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住宅地からの距離 (m)
図5
.住宅地からの距離別カモシカのためフン実測値一期待値
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4
. 鉄道からの距離とためブンの分布
ためフンが発見された場所を鉄道からの距離加に分けた。鉄道からの距離別に発見されたた
めフン数を実測値とし、滝沢演習林の鉄道からの距離別面積比から、 ためフン数の期待値を求
め (
図6
)、実 i
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U伎と期待値に倫i
りがみられるかモンテカルロシミュレーションにより検定した
(
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ところ、 ためフンの分布に有意な{漏りがなかっ
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主総 (m)
図6
.鉄道からの距離別カモシカのためフン実澱健一期締値
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. 道路からの頴離とためフンの分布
ためフンが発見された場所を道路からの距離別に分けた。 道路からの距離別に発見されたた
めフン数を実測値とし、滝沢演習林の道路からの組青1
0
3
日間稜比から、 ためフンの期待値を求め
(
図7
)、実測備と期待値に偏りがみられるかモンテカルロシミュレーションにより検定した。
その結果、道路から 2
00m以内を、 ためフンをする場所として有意に避ける傾向がみられたい
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401~
遂路からの距離 (m)
図7
.道路からの距離別カモシカのためフン実測領一期待値
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都市近郊林に!生息するニホンカモシカのため誕の分布とそれにおよ{ます人為的影響
1
7
6
. 住宅地・道路・鉄道からの距離とスギ林、その他針葉樹林の分布
カモシカはためフンをする場所としてスギ林とその他針葉樹林を有意に選択していた。そこ
でスギ林とその他針葉樹林の住宅地と道路からの距離の分布に偏りがないか訴べるために、住
宅地、道路、鉄道からの距離別のスギやその他の針葉樹の面穣と、滝沢演習材、の道路と住宅地
からの ~g離別面積から X2 粂適合境検定を行った。その結果、スギ林とその他針葉樹林の分布
に有意な係りはなかった (
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5
)。
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.考 察
1.上層植生とためフンの分布との関係
滝沢演習林内のカモシカは、ためブンをする場所として上層植生が広葉樹やアカマツ林より
1年生以上の1
;
士
スギ林、その他針葉樹林を多く選択していた。これは、また上層総生の林齢は 6
齢、林を多く選択していた。カモシカは休息場所として路辺に針葉樹のある場所を多く選択する
(
北l
京 1
9
7
9
)。積雪や低温などの厳しい生息環境になると、カモシカはエネルギーの消耗を抑
えるために日温度格差の少ない常緑針葉樹林内にいる日が多くなること(出野ら 1
9
9
1
) こと
を支持する。これは、滝沢演習林では鴎伐を毎年行っているため、成林した林分でもカモシカ
の餌となる下層嫡生が豊富であり、加えて間伐がされていないスギ林でもヤマブキやハナイカ
ダなどのカモシカの餌となる植物が多い(能勢・
7
5井 2003) ことが理由として考えられる。
大槻・伊藤 (
1
9
9
6
) はスキ1
士齢林はカモシカにとって重要な風雪のシェルターとしての役割だ
けでなく採食;場としての役割を果たしていると報告している。 滝沢演習林においてもカモシカ
にとって常緑針葉樹林は採全域1および休息坊としての役割を来たしていると考えられる。その
ためカモシカの常緑針葉樹林の利用頻度は高くなったと考トえられる。
2
. 住宅地、鉄道、道銘からの距離とためフンの分布との関係
前述のようにカモシカは、ためフンをする場所としてスギ、その他針葉樹林を有窓に選択し
ていた。しかしスギ、その他針葉樹林の住宅地や道路からの距離別の分布には、有意な偏りが
みられなかった。このことから、カモシカは住宅地から 100m以内、道路から 200m以内の場所
を、ためフンの場所として避けていると考えられる。それに対して鉄道はためフンの場所の選
時間に平均4
本と貨物
択にはあまり影響していないと考えられる。このことは、鉄道は列車が1
列車が通るのみで、人通りがないのに比べ、住宅地や道路は人や自動車の往来が盛んであり、そ
れらとの直接の遭遇の可能性が高いためと思われる。
これらのことから、カモシカは人や自動車との選通は好まないものの、それらと直接の遭遇
が避けられる場所であれば人間の生活閣に比較的近い場所でもためフン坊として利用すると考
忠大j
災報
1
8
3
6 (
2
0
0
5
)
えられる。
以上のことから、カモシカは人間とのを藍接の遭遇を避けながらも、比較的人間の生活圏に
近い場所で生息している事が示され今匝の調査では、ためブンが発見された場所のみをカ
モシカが利用している場所として扱ったが、ためブンの分布している範閤だけがカモシカの生
活関のすべてではない。今後は、食痕の調査や、詳細な行動開に隠する調査を含めて総合的に
カモシカの土地利用を検許していくことが必要で、ある。
V
I
.謝 辞
税ヨをおよび、データの解析にご協力いただいた岩手大学法学部寒冷フィールドサイエンスセ
ンター湾口勇雄教授、現地での調査に協力いただいた悶農学部農業生命科学科動物科学講座西
村貴志氏、調査地で鈎J t!t ~i首になりました同農学部 F付属滝沢演習林の技官の皆様、日頃から激励
の言葉やご助言をいただきました向学法学部農業生命科学科動物科学講座松原和衛助教授、感
開市動物公国辻本恒徳氏、向農学部森林経営学研究室の皆捺、以上すべての皆様に深く感謝しミ
たします。
V
I
I
. 引用文献
岩手大学農学部約属滝沢淡習林 (
1
9
9
7
) 滝沢演習林の概要. p
p
8,岩手大学長学 t
i
f
.
i
能勢
李・菅井俊樹 (
2
0
0
3
) 岩手大学滝沢演習林におけるニホンカモシカの環境利用について
U
l
4
号:1
1
0
.
岩手大学農学部演習林報告第 3
大概晃太・伊藤鍵夫 (
1
9
9
6
) ニホンカモシカの仔動閣における環境利用の季節変化.汀本林学
0
7:5
4
3
5
4
6
.
会論文集 1
小野勇一・東
和敬・土肥昭夫 (
1
9
7
8
) 祖母・傾山系におけるカモシカの二次林の利用度に
2年度文化庁委託研究
ついて.昭和 5
特別天然記念物カモシカに関する調査報告書.日本
E
当然保護協会報告書第 5
5
号:1
8
9
2
0
2
.
北原正宣 (
1
9
7
9
) 自沢天狗岳におけるニホンカモシカの生活史.大向山岳博物舘編:カモシカ
p
1
01
5
. 信濃毎日新開社,長野.
氷河拐を生きた動物. p
同
8
1
) ニホンジカとニホンカモシカのおF
葉景・回数.
高槻成紀・鹿股幸喜・鈴木和男(19
日本生態学会誌3
1(
4
):4
3
5
4
3
9
.
沼野尚之・望月敬史・北原正宣 (1994) 斑高 111 7\~におけるニホンカモシカの生態研究(1)
一行動留について一.日本林学会論文集 1
0
5:5
4
3
5
4
6
.
宮武修・中U
J 隆 (
1
9
6
0
) モンテカルロ法. 2
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p, B干Ij工業新開社,東京.
者
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lili:交1I 林に生息するニホンカモシカのため;党の分布とそれにおよほす人為 lí~ 彩符
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要量
本研究では都市近郊林におけるニホンカモシカ (
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の選択にもたらす影響について考察することを臼的とした。その結果 1
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出した。その結果カモシカはためフンをする場所としてアカマツ・広葉樹に比べ、スギ、その
他常緑針葉樹の林を多く選択していた O 在宅地や道路から 200m以内の場所は避ける傾向があ
り、鉄道からの距離はあまり影響していなかった。カモシカは人的!の生i
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品所
でも生活しているものの、人前!との直接の接触は好まない傾向があると思われる。
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