消化器疾患と治療薬 潰瘍性⼤腸炎(UC) 炎症性腸疾患 クローン病(CD) (IBD) 過敏性腸症候群(IBS) 下部消化器形態 炎症性腸疾患 特異性(原因明らか) 感染性腸炎(細菌、ウイルスなど) 薬剤性腸炎(抗⽣物質) ⾎管性(虚⾎性) ⾮特異性(原因不明) IBD Inflammatory bowel disease=UCとCD IBD の発症機序 遺伝的素因 関連遺伝⼦(HLA) 腸内細菌:環境因⼦ 薬物治療対象 → 腸内の免疫異常(過剰反応) ↓ 発症→慢性化 炎症性腸疾患 IBD Inflammatory bowel disease=UCとCD 推定患者数 クローン病(CD) 1 ⾼⾎圧 3500万⼈ 潰瘍性⼤腸炎(UC) 2 脂質異常症 2200万⼈ 3 糖尿病 1900万⼈ 4 逆流性⾷道炎 1500万⼈・・・・・・ 8 IBD 15万⼈ (増加している) 疫学的に⾷⽣活の観点から 動物性脂肪摂取が増え、 ⾷物繊維摂取が減少するとIBD増加 ⾮特異的炎症性腸疾患 特徴 1)下部消化管でのびらんや潰瘍の形成 2)再燃と寛解を繰り返す 3)原因不明 潰瘍性⼤腸炎(UC ulcerative colitis)とは・・・ クローン病(CD Crohn's disease)と は・・・ 1. ⼤腸の粘膜に炎症性の変化(びらん) や潰瘍が⽐較的傷害深度浅く、びま ん性に連続性(例:ローラーでペン キを塗る)に出来る原因不明の炎 症性腸疾患の⼀つ 1. 2. 最も発症しやすい年齢は20歳代 (全年齢で発症)男⼥差なし 主に⼩腸⼤腸などの腸管壁であるが⼝か ら肛⾨までに炎症や潰瘍(縦⾛潰瘍に伴 う敷⽯像)の深度が深く区域性があり⾮ 連続性(例:墨をまいたよう)に出来 る慢性炎症性疾患、消化管以外全⾝ に様々な合併症を発現することもある 2. 3. ⾃覚症状→下痢・軟便、⾎便、腹 痛 (1⽇20回もトイレに駆け込むこと も) 最も発症しやすい年齢は20歳代(若年 化)男:⼥=2:1で男性に多い 3. ⾃覚症状→下痢・軟便、⾎便、腹痛、 発熱、体重減少 4. 寛解と再燃を繰り返す・・・寛解しても 再燃予防のため適切な治療が必要 4. 寛解と再燃を繰り返す・・・寛解しても再 燃予防のため適切な治療が必要 正確な病態評価 1. 臨床所⾒ 2. ⾎液検査 3. 内視鏡所⾒ 潜⾎便検査 ⾎液検査項⽬ 炎症の有無(炎症で上昇): 1.CRP(〜0.2mg/dL) 2.⾚沈(♂2〜10mm/h ♀3〜15mm/h) 3.⽩⾎球数(4000~9000/uL) 完全に正常になるまで治 療を続ける 上→炎症 下→薬剤(免疫調節剤など)の副作⽤ 4.アルブミン→栄養状態の判定 (4~5g/dL、BCG法) 5.ヘモグロビン→下回ると貧⾎(出⾎) (♂14〜18 ♀11〜15g/dL) 6.MCV→貧⾎で低値 82~99fL 7.⾎⼩板数→活動で⾼値 12〜41万/uL 潰瘍性⼤腸炎 (UC) UCの分類 臨床的重症度: 軽症、中等症、重症、劇症 排便回数、顕⾎便、発熱、頻脈、貧⾎、⾚沈で分類 臨床経過: 再燃寛解型、慢性持続型、急性劇症型、初回発作型 病変範囲: 直腸炎型、左⼤腸炎型、全⼤腸炎型 内視鏡的重症度 難治性 臨床的重症度・臨床経過・病変範囲 UCの腸粘膜での傷害 内視鏡による診断 Grade1(寛解期) ⾎管透⾒像正常、 易出⾎性なし Grade2 ⾎管透⾒像なし、易出 ⾎性なし、または極軽度、 ⾃然出⾎なし、粘膜発 ⾚軽度、 微細顆粒状、 膿様粘液なし Grade3 ⾎管透⾒像なし、 易出⾎性あり、⾃ 然出⾎あり、粘膜 浮腫状、発⾚しや や粗膿様粘液の 付着あり Grade4 潰瘍・易出⾎性、⾃然 出⾎著明・膿様粘液の 付着あり・腸管の拡張不 良 UCの典型的な症状 腸管合併症 初発時の臨床症状 UCの検査 潜⾎便検査:便に少量の⾎液が混ざっていないか? ⾎液検査項⽬:炎症が活発になっていないか? ⼤腸造影検査:病変の範囲と⼤腸の状態を正確に把握 内視鏡検査:病変の的確な把握と鑑別確定診断 UC治療の重要な点 ⽇常⽣活に不安なく、 安定した毎⽇をおくる 薬物療法 難治症例とは 薬物療法 難治症例とは 薬物療法 薬物療法 アダリブマブ 薬物療法 UCの薬物治療指針 UCとの向かい合い⽅ 病気と上⼿につきあうために 1 正確な病気の知識 2 治療などに前向きな姿勢 3 医療者との信頼関係 5ASA服薬指導が重要→飲み忘れをなくす→100 点が無理ならまず60点を⽬指す様に きちんと服⽤する→85%の患者では悪化はしない 特定疾患治療研究事業の対象であるため医療費 は助成される→他の難病と違う→普通の⽣活(結 婚、妊娠問題なし、しかし妊娠時には医師に相談) クローン病 CD Burrill B Crohn (1884‐1983) クローン病の タイプ CDの粘膜で の炎症 CDの主症状 合併症 腸管合併症 腸管外合併症 CDの経過 CDの検査 ⾎液検査 消化管X線造影検査 1.注腸X線造影検査 2.⼩腸X線造影検査 内視鏡検査 CD治療の重要な点 薬物治療 合併症の進展をコン トロール ⽇常⽣活に不安なく、 安定した毎⽇をおくる 薬物療法 薬物療法 薬物療法 薬物療法 過敏性腸症候群 (Irritable Bowel Syndrome(IBS) 中枢機能と消化管機能の 関連(脳腸相関)が考えら れIBSの病態⽣理は・・・ 1) 消化管運動の異常 2) 消化管知覚過敏 3) ⼼理的異常 が考えられる。 発症率10〜20%であり20 〜30代に多い ⼤腸や⼩腸に原因となる異 常が⾒つからないのに、便通 異常と腹部症状が続く病気。 レントゲンや内視鏡検査をし ても、形状的な異常が⾒つか らないのに、明らかに便通に 異常がある。 その原因は、いろいろ考えられ ていますが、まだはっきりと解 明されてはいません。 IBS症状 下痢型 「泥状便・⽔様便」が多い。 下痢症状は男性に多い。 便秘型 「硬い便・コロコロ便」が多い。 便秘症状は⼥性に多い。 混合型 「泥状便・⽔様便」になったり、「硬い便・コロコロ便」になったりす る。 その他 上記のどれにも当てはまらない。 IBSチェックと脳腸相関 過敏性腸症候群チェック □ 腹痛を伴う下痢(便は泥状、粘液が出ることも) □ 便秘、あるいは便秘と下痢を交互に繰り返す □ 時折、うさぎの糞のような便が出る □ 排便後は腹痛が収まることが多い □ 排便後、残便感はあるが、便は出ない □ ガスがたまりやすい □ 午前中の腹痛が多く、午後からは回復する □ 体重の変化はなく、⾷欲も普通にある □ すぐトイレに⾏けない状況で症状が出る □ 睡眠時や休⽇には症状が出ない □ 症状が 1 カ⽉以上持続している 腸と脳は、『脳腸相関』といって、密接な関係がある 便とその形状 私たちは通常、⼀⽇ に約150〜200gの 便を排泄している。 その成分のほとんど (70〜80%)は⽔分。 ブリストル便形状スケール 便秘 ⽇常⽣活のセルフコントロールが必須 2段階治療チャート IBSの治療薬 ポリカルボフィルカルシウム(商品名:ポリ フル、コロネル)⾼吸⽔性ポリマー ⽔分を吸収して膨張することにより、下痢 と便秘の両⽅を改善 ストレスなどによるセロトニン放出が腸の運動 を活発にする→排便が亢進→下痢 腸でのセロトニン刺激の興奮が脳に伝わる→ 腹痛 ラモセトロン(商品名:イリボー)5-HT3受 容体阻害薬 男性の下痢性過敏性腸症候群に対して使 ⽤される薬
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