地球科学基礎I 第Y4回 地球内部構造の物理 連続体の力学 ・質点の力学 時間の関数として質点の位置(x,y,z)を表現する ・剛体の力学 時間の関数として物体の位置(x,y,z)と回転(Rx,Ry,Rz)を表現する ・連続体の力学 時間の関数として変形する物体を表現する 物体を微小な領域に分割して扱う 連続体には2種類の力が働く ・体積力(重力などの遠距離力) ・面積力(分子間力などの近接力) 応力(stress) 単位面積あたりに働く力 (テンソルになる) 圧力(pressure)応力の特別な場合:面に垂直に働く成分 ! 弾性体力学と流体力学 連続体を扱う代表的な物理学の体系 数学的には電磁気学に類似(「ベクトル解析」を勉強すると良い) 4.1 静水圧平衡 ! 深さとともに変化する圧力は密度と重力で決まる。 (1) dp ! = −ρg dr ! 式の説明(その1) 中心からrの位置に高さΔrの円筒を考える。円筒の断面積をSとすると、 P(r+dr) 上向きを正として、力の釣り合いから S ! P(r)S − P(r + Δr)S − ρ (r)g(r)SΔr = 0 ! P(r + Δr) − P(r) = − ρ (r)g(r) Δr ! Δrを小さくすると最初の式が得られる。 式の説明(その2) ! ! dP ⎞ ⎛ PS − ⎜ P + dr ⎟ S − ρ gSdr = 0 ⎝ dr ⎠ ρ g dr P(r) 例1)固体惑星の内部構造 簡単のため、密度はrによらず一定とする. 半径rの位置における重力は GM r 4π ! g= 2 = Gρr r 3 ! (1)に代入すると ! dP 4π =− Gρ 2r dr 3 ! ! ! 2π P=− Gρ 2r 2 + C 3 となる。境界条件として,地表面(r=R)において圧力がゼロ(P=0)とすると ! 2π 2 2 2 P = G ρ (R − r ) ! 3 ! 実際には、密度は深さとともに増大する。 例2)大気の鉛直構造 大気は理想気体の状態方程式に従い、重力加速度を一定と仮定する。 ! pV = nRgT n M m ρ p = RgT = RgT = RgT ! V V m mは大気の平均分子量(分子をアボガドロ数=1モル集めたときの質量) これを(1)に代入して ! ! ! ! ! d ⎛ρ ⎞ ⎜⎝ RgT ⎟⎠ = − ρ g dr m 1 dρ gm =− ρ dr RgT 地表からの高さをz=r-Rとし、z=0における密度をρ0とすると ! ! ! ! gm ln ρ = − z+C RgT ⎛ gm ρ = ρ 0 exp ⎜ − ⎝ RgT ⎞ z ⎟ = ρ 0 e−z h ⎠ RgT ただし、hはscale heightであり、 h = gm 4.2 地震波による地球内部構造の推定 ! 地震学(seismology) 地球の内部を伝わる弾性波(elastic wave)を用いて研究する学問領域。 地震波(seismic wave) たて波(P波)と横波(S波)がある。(図15,16) #表面波とはP波とS波が境界に沿って伝わる波 気体・液体中ではS波は伝播しない。 地震波の走時(図17,18) P波やS波の到達時刻は地球の内部構造を反 映している → 到達時刻から地球内部の地震波速度構 造を推測することができる。 P波、S波の伝播速度は弾性定数(固さを表すパラメータ)で表現できる ! ! ! ! VP = K + 4µ 3 , ρ µ VS = ρ Kは体積弾性率(incompressibility)μは剛性率(rigidity) 体積弾性率の定義は以下の通り 1 1 ∂V 1 ∂ ρ =− = K V ∂P ρ ∂P 密度は地球の半径の関数とし、(1)式と組み合わせて ! ! ! ! ! d ρ d ρ dP = dr dP dr ρ = − ρg K Gρ 2 M r =− Kr 2 これはWilliamson-Adamsの式と呼ばれ,Kがrの関数で与えられれば、密度分布 が得られる。なお、 ! dM r = 4π r 2 ρ dr
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