数学(理科)解答

 第 1 回
東大入試形式模試問題<前期>
数学(理科)解答
1. できるだけ正しい解答を作るようにしていますが、議論のおかしい点などあったら言ってく
ださい。
2. 当然ここに掲載した解法以外にも解法はあり得ます。
1
1
p~ = (a, b), ~q = (c, d), ~r = (e, f ) とすると、a2 + b2 = 1, c2 + d2 = 2, e2 + f 2 = 3 より |~
p| =
√
√
3
3
1, |~q| = 2, |~r| = 3 である。さらに、ac + bd = 1, ae + bf = であるから、p~ · ~q = 1, p~ · ~r =
2
2
である。
ここで、p
~, ~q のなす角を α、p~, ~r のなす角を β (0 < α, β < π) とすると、
√
√
3
π
π
1 = p~ · ~q = |~
p||~q| cos α = 2 cos α, = p~ · ~q = |~
p||~q| cos α = 3 cos β なので、α = , β =
で
2
4
6
ある。
また、ce + df = ~
q · ~r より、この値は ~q, ~r のなす角によって定まる。この角は、~q, ~r が p~ に対し
π 5π
て同じ側にあるか異なる側にあるかによって
,
のいずれかになる。
12 12
√
π
π
3+ 3
~q, ~r のなす角が
のとき、ce + df = ~
q · ~r = |~q||~r| cos
=
である。また、~
q , ~r のなす
12
2
√12
5π
3− 3
5π
のとき、ce + df = ~
q · ~r = |~q||~r| cos
=
である。
角が
12
12
2
√
√
3+ 3 3− 3
よって答えは
,
である。
2
2
解説 色々な解法が考えられます。解答例の方法以外でも、例えば a = cos α, b = sin α, . . . のよ
うに置いても解けるはずです。
2
2
n = a + b とする。また、xi を、「A 君が i 枚のカードを持っている時、最終的に勝てる確
率」とする。答えとして求める値は xa となる。ここで明らかに x0 = 0, xn = 1 である。また、
1 ≤ i ≤ n − 1 のとき、p の確率でカードが 1 枚増え、1 − p の確率でカードが 1 枚減るので、
1−p
xi = (1−p)xi−1 +pxi+1 である。p > 0 であるから、この式を変形して、xi+1 −xi =
(xi −xi−1 )
p
を得る。
(
)i
1−p
1−p
ここで、yi = xi+1 − xi (0 ≤ i ≤ n − 1) と置く。すると、yi =
yi−1 より、yi =
b0
p
p
n−1
n−1
∑
∑
1−p
である。また xn = 1, xn = a0 +
yi なので
= α, b0 = β とおくと、
αi β = 1 . . . (a)
p
i=0
i=0
が成り立つ。
1
1
α = 1 すなわち p =
のとき、(a) より nβ = 1 であるから β =
である。ゆえに、xa =
2
n
a−1
∑1
a
=
である。
x0 +
n
a
+
b
i=0
1
αn − 1
α−1
α 6= 1 すなわち p 6= のとき、(a) より
β = 1 であるから β = n
である。ゆえ
2
α−1
α −1
a−1
∑
αa − 1
(1 − p)a pb − pa+b
αa − 1
に、xa = x0 +
β= n
=
である。
αi β =
α−1
α −1
(1 − p)a+b − pa+b
i=0
以上より、求める確率は、
 a
1

p = のとき

a+b
2
(1 − p)a pb − pa+b
1


p 6= のとき
(1 − p)a+b − pa+b
2
である。
解説 確率の式を立てるまでは簡単ですが、式を解くのが若干難しいかもしれません。これを方
程式と思わずに、三項間漸化式と思うと途中の変形も特に技巧的なものではないでしょう。
3
3
∫
x
(1) F1 (x) =
1
log tdt = [t log t − t]1 = x log x − x + 1 である。また、(t(log t)n+1 )0 =
x
(log t)n+1 + (n + 1)(log t)n なので、両辺を 1 から x で積分して、x(log t)n+1 = Fn+1 (x) +
(n + 1)Fn (x) であるから、Fn+1 (x) = x(log t)n+1 − (n + 1)Fn (x) である。
(2) x = 1 のときは、
x 6= 1 とする。Gn (x) = |Fn (x)| とおく。
¯∫ x Fn (x) = 0¯ なので明らかである。
¯∫ x
¯
¯
¯
¯
¯
すると、Gn (x) = ¯¯
(log t)n dt¯¯ ≤ ¯¯
| log t|n dt¯¯ となる。x > 1 のときは 1 ≤ t ≤ x, x < 1 の
1
1
¯∫ x
¯
¯
¯
n ¯
¯
ときは x ≤ t ≤ 1 における | log t| の最大値を m とすると、Gn (x) ≤ ¯
| log t| dt¯ ≤ |1 − x|mn
1
となる。
|1 − x|mn
m
ここで、{an } を an =
として定める。an の定め方より、an+1 =
an である。
n!
n+1
an+1
m
an+2
<
. . . (a) である。m は有限であるので、正整数 k を、 < 1 となるようにとる
よって
an+1
an
k
m
m
m
0
ことができる。このとき、正整数 n について、(a) より ak+n0 =
·
...
ak <
0
0
k + n0 k + n − 1
k+1
( m )n0
(
)
n
m
m
ak である。0 <
< 1 であるから、 lim
an0 +k ≤ lim
ak = 0 なので lim an = 0
n→∞
n0 →∞
n0 →∞ k
k
k
Gn (x)
である。ここで、0 ≤
≤ an であるから、n → ∞ としてはさみうちの原理を用いて、
n!
lim Gn (x) = 0 である。Gn (x) の定め方より、−Gn (x) ≤ Fn (x) ≤ Gn (x) であるから、同様には
n→∞
さみうちの原理より、 lim Fn (x) = 0 が示された。//
n→∞
1
(x(log t)n+1 − Fn+1 (x)) . . . (b) を得る。n = 1 として、
n+1
2
∑
1
(−1)k (log x)k x (−1)2
−
F2 (x) = 1 を得る。
x log x − x + 1 = (x(log x)2 − F2 (x)) すなわち
2
k!
2!
k=0
n
∑
(−1)k (log x)k x (−1)n
ここで n ≥ 2 のとき
−
Fn (x) = 1 . . . (c) を示そう。n = 2 について
k!
n!
k=0
はすでに示した。n = n0 のとき成立するとすると、
(3) (1) の式を変形して、Fn (x) =
0
1=
n
∑
(−1)k (log x)k x
k=0
k!
0
−
(−1)n
Fn0 (x)
n0 !
−
0
(−1)n
1
(x(log t)n +1 − Fn0 +1 (x))
n0 ! n0 + 1
0
=
n
∑
(−1)k (log x)k x
k=0
k!
0
=
n
∑
(−1)k (log x)k x
k=0
=
0
n∑
+1
k=0
k!
0
0
0
0
(−1)n +1
(−1)n +1
+ 0
x(log t)n +1 − 0
Fn0 +1 (x)
(n + 1)!
(n + 1)!
0
(−1)k (log x)k x (−1)n +1
− 0
Fn0 +1 (x)
k!
(n + 1)!
0
より、n = n + 1 のときも成立する。よって示された。
n
∑
Fn (x)
(−1)k (log x)k x
(c) において、n → ∞ とすると、(2) より lim
= 0 なので、 lim
=1
n→∞
n→∞
n!
k!
k=0
が成り立つ。よって示された。//
4
(4) (3) の式に、x = e−y を代入すると、 lim
n→∞
を得る。この式の変数を置き換えて、 lim
n→∞
n
∑
(−1)k (−y)k e−y
k=0
n
∑
xk
k=0
k!
k!
= 1 すなわち lim
n→∞
n
∑
yk
k=0
k!
= ey
= ex であるから示された。Q.E.D.
解説 (1) は基本的な積分の計算問題です。(2) は、n! がどんどん大きくなることから直感的に
は当たり前ですが、厳密に示すとなると少し大変です(ここに載せた方法より簡単な方法がある
かもしれません)。(3) は (2) を繰り返し適用して級数を得る問題で、この問題のように無限級数
の値を求める問題ではよくある手法です。(3) の式があれば (4) を得るのはそう難しくないでしょ
う。(4) の式は ex のテイラー展開としてよく知られています。
5
4
長方形のある辺が x 軸にも y 軸にも平行でないとする。この辺は一般性を失わずに辺 AB とし
1
てよい。直線 AB の傾きを α とすると、AB ⊥ BC, AB ⊥ DA より直線 BC, DA の傾きは −
α
となる。. . . (a)
b
b
図形全体を x 方向に
倍したものを考える。この変換において、点 (x, y) は ( x, y) に移る。
a
a
( x )2 ( y )2
+
= 1 が移される図形を考えた時、
この変換で、
a
b
a
(x0 , y 0 ) が移動先の図形上の点 ⇔ ( x0 , y 0 ) が元の図形上の点 ⇔ x02 + y 02 = b2
b
より、円 x2 + y 2 = b2 に移る。. . . (b) また、傾き p の直線 y = px + q が移される図形を考え
た時、
a
ap 0
(x0 , y 0 ) が移動先の図形上の点 ⇔ ( x0 , y 0 ) が元の図形上の点 ⇔ y 0 =
x +q
b
b
ap
の直線に移る。. . . (c)
b
長方形 ABCD が上の変換によって 四角形 A’B’C’D’ に移るとする。(b) より、A’B’C’D’ は同一
円周上にある。. . . (d) また、(c) より平行な 2 直線は変換後も平行であるので、四角形 A’B’C’D’
より、傾き
は平行四辺形である。ゆえに、6 A0 B0 C0 = 6 C0 D0 A0 であるが、(d) より 6 A0 B0 C0 + 6 C0 D0 A0 = 26 R
なので、6 A0 B0 C0 = 6 C0 D0 A0 = 6 R である。これと (a) より、四角形 A’B’C’D’ は長方形である。
aα
a
ここで、(a), (c) より直線 A’B’ の傾きは
, 直線 B’C’ の傾きは −
となる。A’B’ ⊥ B’C’ で
b
bα
aα
a
a2
あるためには、
· (− ) = 1 でなければならないが、左辺を計算すると 2 = 1 となり、a < b
b
bα
b
に矛盾。
以上より、長方形において x 軸にも y 軸にも平行でないような辺は存在しないので、題意が示
された。Q.E.D.
解説 与式が楕円を表すことは明らかです。楕円は幾何的には扱いにくいですが、上の解答例の
ように変換により円にすると扱いやすくなります。実際にはこのように円の幾何的性質を直接用
いることは少ないかもしれませんが、面積が出てきた場合も変換して円にしたほうが扱い良いこ
とが多いです(cf. 2012 年第 2 回東大実戦模試第 6 問)
6
5
(
a2 + bc
(a + d)b
)
なので、det(X 2 ) = (a2 + bc)(bc + d2 ) − (a + d)2 bc =
(a + d)c bc + d2
(ad)2 +(a2 +d2 )bc+(bc)2 −(a2 +d2 )bc−2abcd = (ad−bc)2 = (det X)2 なので det(X 2 ) = (det X)2
(1) X
2
=
が示された。
−1
1
=
det X
)
(
d
−c
−b
a
)
(
−1
a b
c d
)
なので、X + (det X)X =
+
また、det X =
6 0 より、X
(
) (
d −b
a+d
0
=
= (trX)E より X + (det X)X −1 = (trX)E が示された。//
−c a
0
a+d
(2) ケーリー・ハミルトンの定理より、A2 − (trA)A + (det A)E = O . . . (*) である。すなわち、
B = (trA)A − (det A)E である。ここで、trA = 0 であるとすると、B = −(det A)E であるが、
1
これは題意に反する。よって、trA 6= 0 であり、A =
(B + (det A)E) である。
trA
2
2
ここで両辺を 2 乗して変形すると、(trA) B = B + 2(det A)B + (det A)2 E . . . (a) を得る。ま
た B についてのケーリー・ハミルトンの定理より、B 2 + (det B)E = (trB)B である。(det A)2 =
det(A2 ) = det B であるから、(a) に適用して (trA)2 B = (trB)B + 2(det A)B すなわち ((trA)2 −
trB − 2 det A)B = O である。B 6= O なので、(trA)2 − trB − 2 det A = 0 であるから (trA)2 =
trB + 2 det A と表される。
(3) A の各成分は実数なので、trA, det A も実数である。(det A)2 = det B であるから、実数成
分の A が 2 つ存在するためには det B ≥ 0 でなければならない。
det B = 0 のときは、(2) より (trA)2 = trB である。trA は 0 でない実数であるから、trB > 0
√
B
としてちょう
でなければならない。一方このとき、trA = ± trB, det A = 0 より、A = √
± trB
ど 2 つの A が存在する。
√
1
det B > 0 のときは、det A = ± det B である。(trA)2 = trB + 2 det A と A =
(B +
trA
(det A)E) より、trB + 2 det A > 0 となる det A ごとに 2 つ実数成分の A が得られる。A がちょ
√
√
うど 2 つ存在するためには、trB + 2 det B > 0, trB − 2 det B > 0 のうちちょうど一方が成
√
り立たなくてはならない。 det B > 0 を用いて、このような trB についての範囲を求めると、
√
√
−2 det B < trB ≤ 2 det B となる。
以上より、求める条件は
√
√
det B > 0 かつ − 2 det B < trB ≤ 2 det B, または det B = 0 かつ trB > 0
解説 (1) は単に行列の成分を計算する問題です。(2) は、ケーリー・ハミルトンの定理を使っ
て変形すると導かれます。(2) で A が求まれば (3) はすぐに求められます。なお (2) で、(trA)2
は成分計算をする方法でも求められます。
7
6
(1) まず an ≡ 0, bn ≡ 1 (mod 2) を示す。an ≡ 0 (mod 2) については、a1 = 2 ≡ 0 (mod 2)
と、k ≥ 1 に対して ak+1 = 2ak bk ≡ 0 (mod 2) より明らか。また、bn ≡ 0 (mod 2) については、
b1 = 1 と、k ≥ 1 に対して bk+1 = bk 2 − ak 2 ≡ 1 (mod 2) より、帰納的に示される。
ゆえに、bn 6= 0 がすぐに分かる。また、k ≥ 1 に対して、|ak+1 | = 2|ak ||bk | ≥ 2|ak | と、a1 = 2
より、an 6= 0 も帰納的に示される。
以上より an , bn は 2 を公約数として持たないことがわかるので、互いに素であることを示す
には 3 以上の公約数を持たないことを示せばよい。n = 1 のときは明らかである。n = k におい
て成り立つとして、n = k + 1 のとき、an , bn が共通の素因数 p ≥ 3 を持つとして矛盾を導く。
an = 2ak bk が p の倍数かつ p が 2 と互いに素なので、ak , bk のうち少なくとも片方は p の倍数
である。ak が p の倍数であると仮定すると、ak , bk は互いに素なので bk は p の倍数ではない。
ゆえに、bn = bk 2 − ak 2 も p の倍数ではないが、これは p の定め方に矛盾する。p が bk の倍数と
した場合も同様に示される。
よって、an , bn が互いに素であることも示された。//
|am |
|an |
=
となるような n, m が存在しないことを示せば十分である。この
(2) n < m かつ
|bn |
|bm |
ような n, m が存在すると仮定して矛盾を導く。
(1) より、|an |, |bn | は互いに素である。また、(1) の議論と同様にして n < m から |an | < |am |
が成り立つ。ゆえに、ある整数 k ≥ 2 が存在して、|am | = k|an |, |bm | = k|bn | となるが、これは
|am |, |bm | が互いに素であることに矛盾する。
|an |
|am |
よって、n < m かつ
=
となるような n, m は存在しないので、題意が示された。//
|bn |
|bm |
an
(3) まず、
= tan 2n−1 x . . . (a) になることを数学的帰納法により証明する。
bn
n = 1 のときは a1 = 2, b1 = 1, tan x = 2 なので明らかである。n = k のときを仮定して、n =
k+1 のときは、tan の倍角公式を利用して、
ak
2
an
ak+1
2ak bk
2 tan 2k−1 x
bk
=
=
= 2
=
= tan 2k x = tan 2n−1 x
(
)
2
bn
bk+1
1 − (tan 2k−1 x)2
bk − ak 2
ak
1−
bk
an
= tan 2n−1 x が証明された。//
より示される。以上より、
bn
x
x
x
p
が有理数として矛盾を導こう。このとき、 > 0 より、正整数 p, q を用いて
= と書く
π
π
π
q
ことができる。すると、qx = pπ なので、tan qx = 0 である。k を整数とすると、tan kqx = 0 も
成り立つ。
ここで q+1 個の整数 20 , 21 , . . . , 2q はいずれも異なる。これらは mod q で考えた時、0, 1, . . . , q−
1 のいずれかであるから、鳩の巣原理よりある 2 整数 0 ≤ s < t ≤ q が存在して、2s ≡ 2t (mod q)
である。2t − 2s が q の倍数であるから、tan(2t − 2s )x = 0 である。
τ −σ
一方、tan 2s x = σ, tan 2t x = τ とおくと、tan の加法定理より tan(2t − 2s )x =
である。
1 + τσ
これが 0 に等しいので、τ = σ でなくてはならないが、(2), (a) より τ 6= σ なので、矛盾する。
x
以上より、 は無理数であることが示された。Q.E.D.
π
8
ai ai+1
,
bi bi+1
の関係が tan の倍角公式に類似していることを使うと解けます。tan の加法定理といえば、京大
の有名な問題「tan 1◦ が無理数であることを示せ」の解法もそうです。
解説 (1) は普通の整数問題、(2) も (1) の結果を使えば難しくない問題です。(3) は、
9