遺伝子解析による豊田地域に生息する ゲンジボタルの集団構造について

全国ホ タル研 究会誌 ,(39):2531,(2006)
遺伝子解析 による豊 田地域 に生息す る
ゲンジボタル の集団構造 について
増本 育 子キ・若尾 拓 志 キ・尾 田 敏 範 キ( 広島県広 島市) ・
北村 徹 料・新 田 朗 料 ( 東京都港区) ・ 川 野 敬 介 料Ⅲ( 山田県下 関市)
1.は じめ に
下関市豊 田町 は山 口県 の 画部 に位 置 し,
ゲ ンジボ タル 駒 "θ プ
2ごr」ごβr2の 生息 ・
発生地 と して 古くか ら有名な町で ある。
特 に木尿川 とその 支川 に生息 す るゲ ンジ
ボ タル は ,1958年 に 「
木屋川 ・音信川ゲ
ンジボ タル発 生地 」 と して天然 記念物 に
指定 されてお り,現 在 は重 要な観光 資源
とな って いる。
ところで ,全 国 のゲ ンジボタル につ い
て , ミ トコ ン ドリアDNAに コー ドされ る
CO(Cy↓
ochromc Oxidase)Ⅱ遺伝 子 を分析
した Suzuki βr 2ノ (2002)に よる と,
ゲ ンジボ タル は大 き く束 日本 ,西 日本ゥ
九州 とい う 3つ の グル ー プに分 類で きる
ことが 示 されて いる。 さ らに本研究 によ
る と,豊 ‖1地域 は 西 日本 グル ー プ と九州
グル ー プに含 まれ るハ プ ロタイ プが 混在
す る地域 で あ り,加 えて ,九 州 グル ー プ
の 1つ で あ るが 他 の 地域で は見 られな い
「L型 (以下 の 記載 は便宜 上 ,「豊 田型」
と した)Jと い うハ プ ロタイ プを持 つ個
体 が 生忠 す る ことが 明 らか にな って いる。
そ こで 本研 究 では,豊 田地域 内 を流れ
る木尿川水 系 と粟野川水 系 に分布す るゲ
ンジボ タルにつ いて、CO Ⅱ
遺伝子 の 部分
領域 の塩 基配列分析 を行 い ,豊 田型 とい
-25-
うハ プ ロタイ プ , な らび に西 日本 グル ー
プ と九州 グル ー プの分 布状況 を把 握 して ,
豊 田地域 内 のゲ ンジボ タル の遺伝学的集
団構造 を明 らか にす る ことを 同的 とした。
さ らに本研究 を通 して , 木 屋川 のゲ ンジ
ボ タル を将来 にわた って保全 して い くた
め に参考 とな る情報が得 られた場合 は ,
それ らにつ いて もと りま とめ る こととし
た。
2 . 実 験材料 と方法
実験材料 として , 木 屋川水系お よび 粟
野 川水 系 の 各支川数地点か らゲ ンジボ タ
ル幼 虫 を採集 し, エ タ ノー ル 中 に浸漬 し
て実験 に供す るまで冷蔵で 保存 した。 採
取位 置 は図 1 に 示す とお りで ある。
本研 究 では , 豊 田地域 内 とい うせ まい
地域 に分布す る集 団 を分 析対象 として い
.(2002)に おい
るため , S u z u k i θ
′2 ノ
て 多検体分析 に用 い られて いるR F L P ( R e 一
siric↓
lon Fragment polymorphism)分
析 よ りも精度が高 い と思われ る , 塩 基配
列デ ー タを用 いた分析 を行 った。サ ンプ
ルか らの l o ↓
al DNAの
抽 出 には, Q I A G E N
i ↓ いた。既報
社 製D N e a s y T i s s u e Kを用
の プ ライマ ー ( S u z u k i e i a l . 2 0 0 2 ) を
l i e d B l o s y s i c m s )用
をいて 塩 基 配 列 を決
した
。
定
また , 決 定 した塩 基 配 列 ( 6 2 9 b p ) につ
いて は , G e n B a n k に 登録 され て い るゲ ン
己デ
ジボ タル の 各 ハ プ ロ タイ プの塩 基 1 1列
ー タ と共 に , D N A S I S P r o V 2 . 2 ( H ia↓c h i
ware Enginncring)を
Sof↓
用 いて ア ライ
ー
. 1ン トを行 った後 , 系 統 解 析 プ ロ グ ラム
プライマ とB i g D y e T e r m i n a t o r v 3メ
M
c g a v e r . 3 ( K u m a r f r β/ , , 2 0 0 1 ) を
Cycle Sequcnce Ki↓ (Applied Blosys
ー
Tamura Nciに
よ
用 いて , 」u k e s C a n l o r と
t e m s ) によ る シ ク エ ンス 反 応 を行 い ,
の
よび非
重結
る
加
合
法
ABI PRISM 3100 Genetic Analyzer (App―
遺 伝 距 離 計算 , お
用 いて , C O Ⅱ遺 伝 子 部分 領 域 をP C R 法 に
よ り増 幅 した 。 P C R 反 応 の 設定 や 反応 液
′〃 ( 2 0
の 組 成 等 につ いて はS u z u k i θ
に
た増
0 2 ) を 参 考 した 。 得 られ
幅産物 に
ァ) ぃ 【r に其, G F X T M P C R D N A a l l d G c l B a n d
Purification Kil (Amersham Phar81aCia
B i o t c c h ) を用 い て精 製後 , P C R に 用 い た
│l ill14111‐
││li
粟野 川水 系
1 霊
ヽ
1
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,
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十
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木屋 1 2
( 幼虫放 流実績 あり
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山田 1 5
( 幼虫放流実績 あり)
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0i木 屋川水 系
O : 粟 野 川水 系 ■
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図 1 . 採 取位置 図
- 2 6 -
1km
―
e ↓h o d w i t h
( U l l w c i g h t c d p a igrr―
別 され て い る。
oup Ⅲ
a r i t h m e t r i c m e a n i U P C M)Aと
法 ゃ近 隣
本研 究 で 九州 グル ー プの ク ラスタ ー に
一1 に
結 合 法 ( N c i g h b o r i o i n i n g m e t h o d i N J含 まれ た 3 3 個体 は企 てC t a d c l l l - 致
し, 西 「1 本グル ー プの ク ラス タ ー に 分 類
法 ) に よ る 系統 樹 の 作 成 を行 った 。
体 131回
され た 1 6 1 L aのl うち
体 はC l a d e 正一i
なお , ハ プ ロ タイ プ多様 度 お よび塩 基
に含 まれ た。 た だ し西 日本 グル ー プの ク
多様 度 等 の 分 析 につ い て は , D n a S p v c r .
4.10.4(Rozas et al.2003)を
ラス タ ー に分 類 され たK O Y A 4 , Y A M A - 3 ,
用 いて 計
お よび I N A M I - 1 の3 個 体 は , 塩 基 配 列 か
算 を行 った 。
らの分 類 で は大 き く西 日本 グル ー プの ク
3 実 験 結 果 および考察
ラス タ ー に入 るが , C l a g e 正 - 1 に もC l a
de H一
i i にも令 まね な か った。 そ の た め ,
栗野 川 水 系 6地 点 お よび 木屋 川 水 系 6
Suzuki θ
′2 / , ( 2 0 0 2 ) が 用 い た 6 種 類
地 点 の 合 計 12地 点 か ら採 集 した ,H ll回
の
の
の
につ
ゲ
ンジボ
タル幼
制 限 酵 素 の 認 識 配 列 か ら推 定 され る
体 うち49個 体
虫
い て ,CO Ⅱ 遺 伝 子部分 領 域 629塩 基 対 の
R F L P パタ ー ンで 分類 を確 認 した と ころ ,
C l a d e Ⅱ- 1 に 含 まれ る 」型 を示 す ことが
塩 未 配 列 を決 定 した。 629塩 基 対 の うち
48の 部 位 にお いて 塩 基 置 換 が確 認 され ,
わ か った 。
ロ
のハ
31種
プが得
た。
プ
られ
回 の 研 究 で はC l a d e 工 1 1 の塩 基 配 列 デ
今
合計
類
タイ
ー
タが 少 な いた め , 3 個 体 の 遺 伝 的解 釈
な お ,図 2に Jukes Cantorの 遺 伝 距 離
につ いて は明確 な判 断 は 出来 な い 。 しか
を用 いて 作 成 した 近 隣 結 合 樹 を示す 。 本
しなが ら, 上 記 の よ うに塩 基 配 列 か らの
研 究 で は ,Jukcs Canlorと Tamura Nelと
い う 2種 類 の 遺 伝 距 離 を用 い て ,非 加 重
分類 とR F L P からの分 類 との間 で ク ラス タ
ー が 異 な る理 由 と して , S u z u k i θr β
プ.
結 合 法 と近 隣 結 合 法 によ る系統 樹 を作 成
( 2 0 0 2 ) の用 い たR F L P 分析 で は , 6 種 類
した 。遺 伝 距 離 と 系統 樹 の 作 成 方 法 の 組
ー
の
の
にお
る
せ
によ
タ
り各
ク
ラス
け
制 限酵 素 ( H p a I I , A s c l , H a c l H , H i 一
合
細部
n f l , M v a I , R s a I ) の 認識 部 位 ( この 場
構 造 は 多 少 異な るが ,以 下 の 議 論 を行 う
に は支 障 が 無 く,ほ ぼ 同様 の 樹 形 を示す
合 2 6 塩基 ) を 対 象 と して分 類 して い るの
に対 し, 今 回 の 研 究 で用 いた 塩 基 配 列 分
こ とが わ か った。
析 で は , 実 際 に比 較 に用 いた 全塩 基 配 列
<分 析 結 果 の 概 要 >
分 析 に用 いた49個 体 はSuzuki α′〃
(2002)で 示 され た西 日本 グル ー プ (16
個 体 )と 九州 グル ー プ (33個体 )と に 明
瞭 に区 別 す る こ とが で きた 。 Suzuki ar
βプ (2002)に よ るRFLP分 析 の 結 果 か ら,
西 日本 グル ー プは ,さ らにCladeⅡ -1
(西 │1本地 域 )と Ciade Ⅱ―li(中部 地 域 )
一i ( 北 九州
に, 九 州 グル ー プはC l a d e 皿
地域 ) と C l a d c Ⅲi l ( 南 九州地域) に 区
を対象 として分類 した ことが 挙 げ られ る。
これ によ り豊 田地域周辺だ けで, 日本 全
国 の個体 につ いてのRFLP分析で得 られ る
19種類 のハ プ ロタイプよ りも多 い31種類
も のハ プ ロ タ イ プが検 出 され た結 果 ,
-11の関係が不明瞭
-1と Cladc Ⅱ
Ciadc Ⅱ
にな った と考 え られ る。
<西 日本 グル ー プ と九州 グル ー プの遺伝
的多様性 >
豊田地域周辺 は ,遺 伝 的 に異な る西 日
よび塩基 多様
表 1 . 九 州 グル ー プおよび西 日本 グル ー プの ハ プ ロ タイプ多様 度 ( H d ) お
度 (Pl)
1同IⅢ敬
吾 換部 │_‐
ブヽコ ロ ど
コイ フ ) ヽ
フ ロ タイ フ
袖
多 様度 ( H d )
( Y ( H〕
』
〕
塩き む 張E
rPi)
打 融
打献
PI〕
tV〔
士‐
1路 1答
[,353
8.81S
8.92せ 84
筑 JⅢ ギ 〕ター ■
B.tt 38
8.838
0.88502
8.80285
0.00858
8_71
は.12g
0.00255
0,00088
西 日 本 ギ 】ノ ゴ
13
8
8
-27-
凡
例
九 州 グル ー プ
( 北九 州 地 域 i C l a d e l l1l)・
豊 田 型 を含 む
九 州 グル ー プ
( 南九 州 地 域 i C l a d e li ll l) ‐
西 日本 グル ー プ
□
( 西日本 地 域 i C l a d e lil)‐
西 日本 グ ル ー プ
・五)
( 中部 地 域 i C l a d e 工
ア ウ トグル ー プ
( 対照 グル ー プ)
C a n t o r を用 い て 作 成 し
図2」 ukes‐
た 、ゲ ンジボタル の近 隣結 合 樹
"haplotypeⅢ lまGenBankか
ら 弓│
ハ
ロ
プ
の
プ
タ
イ
塩
基
配
用 した 、 各
列 を示 す。
AWA:粟 野 、ERA:江 良 、HI:日 野 、
IMAIDEI今 出 、INAMI:稲 見 、KAI:
開作 、KOYA:木 屋 、MUKU:杢
路子、
SANO:佐 野 、TAK洋 鷹 子 、YAMA:
山 田。
ま た 、 各 校 の 横 に示 した 数 字 は
ー
ブ
トス トラ ップ値 を 示 す 。
な お 、 ク メ ジ マ ホ タ ル の 3種 の
ハ プ ロタ イ プ は、 系統 樹 作 成 の ア
ウ トグ ル ー プ と して 用 いた 。
-28-
本 グル ー プ と九州 グル ー プの どち らかが
分布域 を拡 大 して いる境界地域 で あ る可
能性 が高 い と考 え られ る。 このよ うな解
釈 につ いて検 討 を行 うため, 両 グル ー プ
の遺伝 的多様性 につ いて検 討 を行 った結
果 を表 1 に 示す。なお, ハ プ ロタイ プの
区別 が不明瞭な , K O Y A 4 , Y A M A - 3 , お よ
つ いて は分析か ら除外 した。
びINAMI-1に
検 討 の結果 , 九 州 グル ー プは西 日本 グ
ル ー プに比 較 してハ プ ロタイ プ多様度 ,
塩基 多様度 とも高 い値 を示 し, 遺 伝 的多
様性 が高 い ことが 明 らか とな った。特 に
塩基多様度 は 2 倍 近 い値 を示 して いる こ
とか ら, 豊 田地域周辺 に分布す る西 日本
集 団は九州集 団よ りも小 さ い と推定 され
る。 さ らに, 2 水 系 に分布す る九州 グル
ー プの個体数 も, 西 日本 グル ー プの個体
数 の倍 以 上で ある ことか ら, 両 グル ー プ
の境界 の 中心 は多少東側 に位 置す る可能
性 が示唆 され た。
< 粟 野川水系 と木屋川水系 における西 日
囲 :豊田型
■:豊田型以外の九)11グ
ループ
ロ:西日本グループ
山田 5
(幼虫放流実績あり)
や
鷹子 5
い FIド
杢路 子 上 流
地点名の後の数字は分析個体数
図 3 . 分 析個体 のR F L P ハプ ロタイプ別 出現頻度
-29-
難十
ぱ弊“
本 グル ー プ と九州 グル ー プの分布状況 >
各地点 にお ける西 日本 グル ー プ と九州
グル ー プの 出現頻 度 を図 3 に 示 した。
塩 基配列か ら推定 した近隣結 合樹 か ら,
単 同地域 を流れ る 2 つ の 水 系 には , 西 日
ー
本 グル ー プお よび九州 グル プの 2 つ の
ー
グル プに属す る集 団が同水 系内 に分布
して いる ことが明 らか にな った。5 個 体
を分析 した地点 に限 る と, どち らか のグ
ル ー プだ けが 出現す る地点 は 栗野 川水 系
の 開作 と佐 野 の 2 地 点 だ けであ り, 木 屋
川水系で は全て の地 点 にお いて 2 グ ル ー
プが 混 在 して いた。なお, 山 I J , 木 屋地
点 にお いて は, 過 去 にゲ ンジボタル幼 虫
の 放流実績 が確 認 されて いる。 また, 2
水 系間 にゲ ンジボ タル の交流 を物理 的 に
抑 制す るよ うな地理的特長 は存在 しな い
ため , 放 流 された幼 虫 が周辺地域 に広 が
った可能性 も否定 で きな い と思われ る。
豊 田地域周辺 にお いて2 グ ル ー プが 混
在す る理 由を解 明す るため には , 分 析検
体 教 を増やす だ けでな く, よ り広 い地域
か ら採集 したl l a lにつ
体 いて も分析 を行 い ,
ゲ ンジボ タルの 日本 へ の侵 入経路や , 日
本 での分散経路等 を含 めた考察が必 要で
あ る と考 え られ る。S u z u k i ごア2 / ( 2 0
0 2 ) に よ る と, 九 州 グル ー プ と西 日本 グ
ル ー プは6 7 0 万 年前 に分岐 した と推定 さ
れ て いる。 この ことか ら, 本 研究 で分析
を行 った 2 水 系 で は 非常 に 占い時代 に分
一
岐 した 2 グ ル ー プが 1 司 河 川 に分 布 して
いる ことにな る。 このよ うな 2 集 団が会
合 して いる地域 は動物地理学 的 に見て非
常 に重 要な地域 で ある と考 え られ る。
< 豊 田型の分布状 況 >
分析 の 結果 , R F L P ハ プ ロタイ プが豊 田
型 を示 した個体 は , 分 析 に用 いた4 9 個体
の うち栗野 川水 系鷹 子川 か ら得 られ た 1
個体 の みで あつた。 この 1 個 体 は G c n ―
B a n k から引用 した L 型 のハ プ ロタイ プの
完 全 に 一致 して いた 。S u z u k i
焔 基配 / / 1 と
β′β/ ( 2 0 0 2 ) が ゲ ンジボ タル を採取 し
た河川が, 撃 田地域 内 の どこで ある のか
`
確 認 出来て いな いが, S u z u k i θr 2 プ
( 2 0 0 2 ) が 1 0 個体 分析 した 中で豊 田型 を
示す個体 は 1 個 体 だ けで あつた ことや ,
本研 究 にお いて も分析 した4 9 個体 の うち
1 個 体 ( 図2 . 「 T A K A 4 」) しか検 出 され
て いな い ことを考 える と, 性 田型 は希少
な ハ プ ロタイ プで ある と考 え られ る。
豊 田型が鷹子 川 に特 異的 な集 団 である
と仮定 した場合 , 鷹 子川 の集 団が独 自 に
分化 して いる必要があ るが , 鷹 F 川 か ら
は西 日本 グル ー プお よび 九州 グルー プに
含 まれ る豊 田型以外 の個体 が確 認 されて
いる ことや , 塩 基配列デ ー タか ら鷹 子川
の検体 は多 系統 的 に 出現 して いる ことか
ら, 鷹 子 川 の集 団 が分化 して いる とは考
え に くい。更 には鷹 子川が粟野川本 川や
木屋川 水系 と隔離 され るよ うな地理的障
壁 も存在 しな い ことか ら, 鷹 子 川集 I J が
他集 団 か ら独立 して いる とは考 え に くい。
整 田型が鷹 子川 だ けに分布 して いるの
か否か につ いて は , よ り広 い範 囲か ら採
集 した検体 につ いて 分析す る必 要が ある
が, 上 記 の 出現状況 か ら考 える と少な く
とも豊 田型 のハ プ ロタイ プは希少である
と考 え られ る。
< 豊 田地域 におけるゲ ンジボタルの保全
対策 >
本研 究 の 結果 か ら豊 田地域 は , 豊 円型
とい う希少なハ プ ロタイ プが存在す る地
域で あ り, ゲ ンジボタル の遺伝 的多様性
を保全す るため に非常 に重 要な保 全地域
で ある と考 え られ る。
J本
また, 同 地域 は九州 グル ー プ と西 と
ー
グル プ とい う遺伝 的 に非常 に古 くに分
岐 した 2 集 団が隣接す る 2 水 系 にお いて
混在す る とい う, 非 常 に興 味深 い集 田構
造 を示す ことが明 らか とな った。
今後 , 2 グ ル ー プの存 在機構 を解 明 し
て い く上で も, 遺 伝的特徴 を乱す こと無
く, 豊 田地域 の 現在 の環境 を維 持 して い
く必要が ある と考 え られ る。
引用文献
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Gelle Diversity alld Geographic
3 0 -
ノθび′/ 2 r P / 7θ
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子 系統 樹 か ら見 た地 理 的 分布 と遺 伝 的
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DnaSP,DNA polymorphism analyses
F系 統
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Kumar,S., Tamura,K., Jakobsen,I.B.
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and Nei,M. 2001, MEGA2t Molecular
Evoultionary Genc,ics Analysis
Differentiation in Mi↓ ochondrial
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電技術 コンサルタント株式会社
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日
D N A o f t h e C e n e j i F i r e f l声θ
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本 エヌ ・ユ ー ・エス株式会社
/ 2 びr ど
"2/2(ColeopteratLampyri
* 料: 豊 田ホ タルの里 ミュー ジアム
- 3 1 -