「ひろの会だより」9月号

2015年4月12日 第51号
ひろの会だより
「死別の悲しみを分かち合う会」
4月の集い
日 時 : 4月18日(土)午後2時より
会 場 : 東区総合福祉センター
4階 ボランティア研修室
会 費 : 200円
と
な
ん
だ
と
感
じ
ま
し
た
。
死
者
を
忘
れ
な
い
こ
と
が
、
死
者
の
尊
厳
を
守
る
こ
を
過
ご
し
た
の
か
と
想
像
し
ま
し
た
。
写
真
を
見
て
、
私
も
こ
の
人
た
ち
は
ど
う
い
う
人
生
々
眺
め
ま
す
。
ス
ク
リ
ー
ン
上
に
ア
ッ
プ
に
な
っ
た
た
ち
の
写
真
を
持
ち
帰
り
、
ア
ル
バ
ム
に
貼
っ
て
時
主
人
公
も
一
人
暮
ら
し
で
す
。
自
分
が
担
当
し
た
人
い
、
主
人
公
は
ク
ビ
に
な
り
ま
す
。
っ
さ
と
火
葬
す
る
な
り
埋
葬
し
た
ら
い
い
」
と
言
葬
儀
を
し
た
い
と
思
わ
な
い
な
ら
必
要
が
な
い
。
さ
上
司
は
「
葬
儀
は
生
き
て
い
る
者
の
た
め
だ
。
誰
も
こ
と
を
確
認
し
て
墓
地
で
散
骨
を
し
ま
す
。
場
合
は
骨
壺
を
保
管
し
、
誰
も
引
き
取
り
手
が
な
い
土
葬
だ
と
埋
葬
の
手
配
を
し
て
立
ち
合
い
、
火
葬
の
読
む
弔
辞
を
書
き
、
音
楽
を
選
び
、
一
人
参
列
し
、
仰
し
て
い
た
だ
ろ
う
宗
教
の
教
会
で
行
い
、
牧
師
が
人
が
い
な
い
か
を
探
す
の
が
仕
事
で
す
。
葬
式
は
信
孤
独
死
を
し
た
人
が
い
る
と
、
身
内
の
者
や
親
し
い
44
歳
の
独
身
男
が
主
人
公
の
映
画
で
す
。
は
、
ロ
ン
ド
ン
の
あ
る
地
区
で
民
生
係
を
し
て
い
る
ウ
ベ
ル
ト
・
パ
ゾ
リ
ー
ニ
『
お
み
お
く
り
の
作
法
』
ひろの会は、大切な方をなくした人が自分の思いや体験を語り合い、悲しみを分かち
合う場です。大切な方の死は深い悲しみと苦痛をもたらします。ひろの会はそうした
メンバーの心の傷の回復を共に歩みます。
ひろの会では、どんな話をしてもいいし、話したくなければ他の方の話を聞くだけで
もかまいません。話したくない人に話をするよう強制はしません。
ひろの会は特定の宗教や営利事業とは無関係です。
1
野田正彰さん『遺された者の取り返しのつ
病院に連れて行けばよかった」とか、「キ
かない思い』(1)
ツいことを言ってしまった」といった、合
今日いただいたテーマは自責ということ
理的な自責感まで大きな幅があります。
です。自死遺族の方が持つ自責の念を中心
いずれにしても特徴的なのは、過ぎたこ
にお話ししたいと思います。
とを繰り返し繰り返し思い起こしては、
こうした会で話し合いをされることで、
「ああすればよかった」「こうしていれば
自分の体験したこと、思い、悲しみなどが
よかった」と自分を責める点です。
自分だけのものではないことに気づくと同
一方でまったく自責感を持たない人がい
時に、みんなそれぞれ違う考え方、感じ方
ますね。自責感を人に話さないだけかもし
をしているんだなと気づいてこられたと思
れませんけど。
います。
こういう事例があります。大学院に行
典型的な取り返しのつかない思いという
っていた息子の担当教授がかなりえげつな
のは、「あの時こうしていればよかった」
い人で、研究を阻害され、論文の作成がで
という悔いです。後悔の気持ちが自分の中
きなくて苦しんでいた。そのうち息子は下
に繰り返し起きてきます。こういう思いは
宿にこもるようになり、そうして自ら命を
亡くなった人と近い生活をしていた人に強
絶ってしまった。
いですね。
多くの場合、子供の死は夫婦に大きな
しかし、家族が同じ思いを持つわけで
影響を与えます。看護の期間がしばらくあ
はありません。たとえば、子供を亡くした
って、夫婦で協力している場合は、夫婦の
お母さんが自分をずっと責めていることに
つながりが強くなることもあります。だけ
対して、他の子供たちは「お母さんがいつ
ど、夫は会社の仕事ばかりして、妻にあま
までもわけのわからんことを言ってる」と
り寄り添わなかったら、子供が亡くなって
思ったりします。
から夫婦の間に亀裂が生じてきます。
非合理的と思われる自責感があります。
阪神大震災のあと、子供を災害で亡くさ
たとえば夫が自死したあと、「朝、出勤す
れたお母さんの会が東灘区で作られました
る時にとめておけばよかった」とか、「調
けど、2、3年後に離婚した人が30%を
子が悪そうだったから、行くなと言えばよ
超えていましたね。特別に仲が悪かったわ
かった」とか、「こうしていたら自死を止
けではなくても、気持ちの上の齟齬が大き
められたのに」という思いが起きて、自分
くなってということです。
を責める。これは客観的に見れば非合理的
な自責感ですよね。
ある程度、自分を責めるのもやむを得
ないかなと思われる自責感もあります。
「こんなことをしたいと言ってたのに、反
対してさせなかった」とか、「もっと早く
2
(つづく)
悲しむということ(51)
林俊美
そんな時、呼吸法や認知療法といって
あっという間に桜が散り、肌寒い日も
認知を適応的なものに入れ替えることや、
ありますが、緑が豊かな初夏に向けて色を
行動療法といって徹底的にストレスの原因
深めています。しんどい時期が過ぎ、少し
を言葉にして整理していくなど、たくさん
元気が出てくる時期でもあります。
の方法があります。
大切な方を失った人、悲しみの迷路に
ただ、呼吸もままなない、睡眠もまま
入り込んでいる人は、世の中と非常に細い
ならないひどい落ち込みの時は、セロトニ
パイプみたいなものでつながっているよう
ンやドーパミンなどの神経伝達物質のコン
なものです。
トロールを、お医者様の力を借りて薬を利
相手がいくら善意でも、元気な勢いの
用することもあります。
ある言葉や態度で接してこられると、パイ
どれが正しい、どれが間違いなどはな
プを通れないので受け取ることができない
いです。どれもすぐに効果が出なかったり、
のです。そのことで申し訳なさや情けなさ
思うように効果が出なかったり、うまくや
を感じることもあり、とてもつらいもので
められなかったり、うまく続けられないこ
す。
となどがあり、しっかりと相談しながら丁
でも、今は心を守るために、とても細
寧に行っていく必要があります。お一人お
いパイプでつながっているので受け取れな
一人が違うのですから、ご自分のあったも
いけど、元気になったら受け取るからねと
のを見つければいいのです。
思うだけで大丈夫です。
一人ではないことだけは忘れないでく
ただ、そうは思えないこともあります。
ださい。共に歩むものがいます。迷った時、
強い悲しみは大きなストレスになります。
ひとりぼっちだと思った時、明日が見えな
大きなストレスは認知といって、物の感じ
い時に思い出してください。いつもの時間、
方や物事を解釈する癖のようなものが、ス
いつもの場所でお待ちしています。
トレスを感じやすい解釈をしてしまうから
です。
講演会のアンケートから
たとえば、過度に自分の責任だと思っ
・ウツの薬をのんでいますので、大変貴重
たりする、物事には正しいことと間違った
なお話でした。
ことしかないと思い込む、一人の人の評価
・死別を経験したことが原因と思われるう
がすべての人の評価だと考える。
つ状態はうつ病と異なるのでしょうか?
でも、認知は歪んでも仕方ないこと、
興味深いお話でした。
それが生きていくため、生き延びるための
・歳を重ねることで様々な不調を感じるよ
選択だったのですから。
うになりましたが、医師の接し方、選び方
でも、その認知の歪みがウツという脳
はどうすればいいのかと思いました。ネッ
の病気や状態にしてしまう場合があるので、
ト情報も頼りにならないし、情報をどう得
ほっておくことができないこともあります。
るのかと思いました。
3
・うつ病のような時、精神科の病院へ行っ
ス? 自責感は故人への会話であり、語り
て、薬をたくさん出される……どこに行っ
かけであるとの話に同感! 悲しみ、苦し
て相談すれば良いのでしょうか。
さを克服、忘れることを決して望んではい
・うつ病の真実と、製薬会社の実態を知ら
ない。自責は故人を想う、忘れないことに
されて良かった。故人はどんな思いで亡く
つながると感じている。
なったかを思いやる事も大切と知りまし
・ひろの会は自死の会ではないですよね。
た。
自死の言葉が出る回数が多くて、ちょっと
・故人と共に生きること、生命の橋渡しを
話の内容が期待とちがったように思いまし
された自分、残されたものの責任、充実し
た。
た時間を過ごすことへの責務があると思っ
○好評につきSさんの絵をもう一枚。何と
た。
いう映画かわかりますか。
・残された人生を故人と共に会話しながら
生きて行くとおっしゃった言葉、勇気を頂
きました。主人の趣味の会の先生がおっし
ゃった言葉、「あなたがメソメソしている
とご主人は喜ばされませんよ」との言葉と
重なり、主人と語りながら前進しようと思
います。
・娘が亡くなり3年。なかなか実感がわき
ません。いないことは確かなんですが―。
無理にむこうへやろうとせず、語りかけ、
共に生きていこう。先生のお話を聞いて、
これでいいんだと思いました。〝語りかけ
たとき亡くなった人がそばにいる〟印象に
残った言葉です。
・先生のお話を聴きながら主人の事を思い
事務局だより
だしていました。先生の話を聞きながらい
○大勢の方に講演会にご参加いただき、ま
ちいち同じ思いだとか、そうだそうだと同
ことにありがとうございました。野田先生
感したり、そこはちょっと違うかなとか…
は「ひろの会」は自死遺族の会だと勘違い
涙をながしながら拝聴しました。故人に対
されていたようです。大変申し訳ございま
する自責の気持は一生持ち続けるのだろう
せんでした。
なと思います。
発行 ひろの会事務局(谷川)
・自分の残された人生をイキイキと共に生
広島市中区東白島町16-18
きていくという言葉にはげまされました。
☎ (082)221―5285
・「ひろの会」=「自死の会」とアナウン
E-mail:[email protected]
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