2015年度課題研究の計画

課題研究 A・B
2015 年度
浜中新吾(システム情報学コース)
テーマ:民主政治の研究
本年度は民主政の理論的概念、国家形成、民主化移行と定着、経済的繁栄と政治制度の関係
について課題を設定し、研究を行う。中世ヨーロッパの古典的な議論に始まり、今世紀の研
究の先端まで突き進む。
この課題研究は「社会科学方法論」
「政治学概説」
「計量政治分析」
「社会学概説」
「社会現象
の数理分析」
「地球環境と経済」
「経済学概説 A・B」
「解析学 I・II」
「代数学 I・II」
「確率論」
「統計学」で学ぶ内容と密接に関連している。ただし上記科目のうち未履修の科目を今年度
履修する必要はない(政治学概説は must である)。不足する部分は特別セッションで補う。
(*)のついたリーディング・アサインメントは大学生協書籍部(Honya Club)を通じて購入する
こと。それ以外はコピーを配布する。予習ではゼミで発言することを前提にアサインメント
を読むこと。なお課題研究の計画は途中で変更することがありうる。
Section 1: The Great Books about Politics
第 1 回:国家権力の起源(1)
トーマス・ホッブズ、角田安正訳(1651=2014)『リヴァイアサン 1』光文社古典新訳文庫(*)。
はじめに、第 1-7 章、第 10-16 章。
第 2 回:国家権力の起源(2)
トーマス・ホッブズ、永井道雄訳(1651=1979)『リヴァイアサン』中央公論社。第 17-22 章、
第 24 章、第 28-31 章。
第 3 回:政治秩序の喪失
トーマス・ホッブズ、山田園子訳(1682=2014)『ビヒモス』岩波文庫(*)。
第 4 回:自由な制度の起源
ジョン・ロック、角田安正訳( 1690=2011)『市民政府論』光文社古典新訳文庫(*)。
第 5 回:経済的正義の起源
ジャン・ジャック・ルソー、作田啓一訳(1762=2010)『社会契約論』白水社(*)。
第 6 回:アメリカの民主主義
アレキシス・ド・トクヴィル、松本礼二訳(1835=2005)『アメリカのデモクラシー』第一巻
(上)岩波文庫(*)。第 5-6 章、第 8 章。
第 7 回:古典的議論への批判
フランシス・フクヤマ、会田弘継訳(2011=2013)『政治の起源』講談社。第 2 章、第 5 章、第
29-30 章。
Section 2: Modern Political Analysis and Economics
第 8 回:現代政治分析の入口
ロバート・ダール、高畠通敏・前田脩訳(1970=2014)『ポリアーキー』岩波文庫(*)。
第 9 回:民主化研究のクラシックス
サミュエル・ハンチントン、坪郷實ほか訳(1991=1995)『第三の波』三嶺書房、第 2 章。
Przeworski, Adam (1991) Democracy and the Market. Cambridge University Press. Chapter 2.
第 10 回~第 12 回:社会関係資本、政治文化、民主主義
ロバート・パットナム、河田潤一訳(1993=2001)『哲学する民主主義』NTT 出版(*)。
特別セッション:Quantitative Analysis(1)
これ以降は計量分析がしばしば登場するので、応用計量政治学を数回に分けて学ぶ。
飯田健(2014)『計量政治分析』共立出版(*)。第 1-4 章。T 検定から回帰分析まで。
第 13 回:経済成長:技術か制度か
ウィリアム・イースターリー、小浜裕久ほか訳(2001=2003)『エコノミスト南の貧困と闘う』
東洋経済新報社、第 3・4 章。
ダグラス・ノース、竹下公視訳(1990=1994)『制度、制度変化、経済成果』晃洋書房、第 1-
6 章。
特別セッション:Math Camp(フィールドプロジェクト I と合同)
これ以降は数学的に高度な議論が続くので、先に微分・積分、漸化式、差分方程式、微分方
程式の差分解法、ベクトルと行列の演算、最小二乗法(解析学・代数学)を復習する。
尾山大輔・安田洋祐(2013)『改訂版 経済学で出る数学』日本評論社(*)。
第 14 回:経済成長理論
ロバート・バロー、谷内満監訳(2008=2010)『バローマクロ経済学』センゲージ・ラーニン
グ。第 3・4 章。
Section 3: Political Institutes, Democratization, and Economic Growth
第 15 回:政治制度と経済成長(1)
ダグラス・ノース、大野一訳(1981=2013)『経済史の構造と変化』日経 BP クラシックス。
第 7 章。
Olson, Mancur. 2000. Power and Prosperity. New York: Basic Books. Chapter 1.
第 16 回:政治制度と経済成長(2)
North, Douglass C. And Barry R. Weingast, 1989. “Constitutions and Commitment: The Evolution of
Institutional Governing Public Choice in Seventeenth-Century England,” The Journal of Economic
History 49, (December): 803-832.
第 17 回:政治制度と経済成長(3)
Przeworski, Adam. 2000. Democracy and Development. Cambridge University Press. Chapter 2.
特別セッション:Quantitative Analysis(2)
Przeworski(2000)の replication を行ってパネルデータ分析を学ぶ
飯田健(2014)『計量政治分析』共立出版(*)。第 5 章。
第 18 回:植民地の遺制、不平等、経済的停滞
ダロン・アセモグル&ジェイムズ・ロビンソン、鬼澤忍訳(2012=2013)『国家はなぜ衰退する
のか』早川書房、第 3-4 章、第 15 章。
Acemoglu, Daron, Simon Johnson, and James Robinson. 2001. “The Colonial Origins of Comparative
Development: An Empirical Investigation.” American Economic Review 91(5): 1369-1401.
Replication of Econometric Analysis.
第 19 回:民主化の数理モデル
Boix, Carles. 2003. Democracy and Redistribution. New York: Cambridge University Press. 19-64.
第 20 回:トクヴィル「アメリカのデモクラシー」の数理モデル
石田淳(2015)『相対的剥奪の社会学』東京大学出版会、第 4 章。
第 21 回:経済成長と相対的剥奪のパラドックス
石田淳(2015)『相対的剥奪の社会学』東京大学出版会、第 5 章。
特別セッション:Quantitative Analysis(3)
ロジスティック回帰分析を学ぶ。
浜中新吾(2011)「ハイブリッド型権威主義体制の与党支持構造」『アジア経済』52(12):2-30.
飯田健(2014)『計量政治分析』共立出版(*)。第 6 章。