World View 1Q 2015『市場の混乱:ドル、欧州、デフレに関する疑問』

World View 1Q 2015
市場の混乱:ドル、欧州、デフレに関する疑問
• 米国で利上げを控える中、為替の変動性を踏まえれば、投資家は保有す
る外国債券の為替リスクをヘッジしたいと考える可能性があります。国際
分散投資を行うということは、世界のその他地域へのポジションを増やす
ことですが、同時に国内経済が悲惨な状況に陥った場合に備えて国内の
資産を削減し、ポートフォリオの分散を進めることにもつながります。為替
リスクについても、同じ理由を当てはめることができます。
• 欧州中央銀行(ECB)による量的緩和導入は、ユーロ圏の状況を一変させ
ました。ECBの行動が株式にとって追い風であることは明らかですが、原
油価格の下落、信用サイクルの改善、ユーロ安、一段と拡張的な財政政
策の動向はさらに重要です。
• 2015年の新興国経済に対する我々の基本シナリオでは、依然としてデフ
レよりもディスインフレの状況を予想しています。これは、新興国の中央銀
行には金融政策を緩和する大きな余地があるためです。しかし多くの新興
国政府は、より持続可能な成長のためには構造改革が鍵となるとの認識
を持っているため、大胆な利下げの可能性は低いと考えられます。
World View | 1Q 2015
WORLDVIEW
投資を成功させる鍵は、架空のビジョンで将来を見るのではなく、明確な視点で現
在を見据えることです。こうした視点は、金融危機からの回復局面にあり、その一
方で政治指導者への鬱積や極端に緩和的な金融政策、そして投資家による根強
い偏見が蔓延した現在の環境においては、より一層必要とされるものです。この新
たな四半期レポートでは、世界の経済・投資環境を形成するとともに、長期の投資
家にとっての投資機会とリスクの双方を生み出している主要な要因に焦点を当て
ることによって、明快な視点をこうした投資家に提示することを目指します。
David KellyはJ.P.モルガン・ファンズのチーフ・グローバル・ストラテジストです。
20年以上の実務経験に基づき、経済や市場についての有益な洞察や見通し
を、数多くの投資専門家やその顧客に提供しています。全米各地で催される投
資カンファレンスで基調講演を数多く務めるほか、米CNBCテレビをはじめとす
る金融報道番組へも度々ゲスト出演し、金融誌でも幅広く取り上げられていま
す。
J.P.モルガン・ファンズに入社以前は、パトナム・インベストメンツのエコノミック・アドバイザーを務め
ていました。それ以前には、SPPインベストメント・マネジメント、プライマーク・ディシジョン・エコノミッ
クス、リーマン・ブラザーズ、DRIマグロウヒルでシニア・ストラテジストやシニア・エコノミストとして勤
務していました。CFA協会認定証券アナリストであり、ミシガン州立大学で経済学の博士号と修士
号、アイルランド共和国のユニバーシティ・カレッジ・ダブリンで経済学の学士号を取得しています。
Dr. David P. Kelly, CFA
マネージング・ディレクター
チーフ・グローバル・ストラテジスト
J.P.モルガン・ファンズ
2 | World View | 2015年第1四半期版
為替リスク:ヘッジをすべきか否か
図表1:米ドルインデックス
1973年1月1日~2014年12月31日
Dr. David P. Kelly
チーフ・グローバル・ストラテジスト、CFA
140
はじめに
120
世界各国の金融市場に投資をする場合、為替リスクを
110
ヘッジするかどうかは1つの重要な判断要素となります。
100
過去2年間の為替相場の急激な動きを踏まえると、為替
130
90
ヘッジは現在、より重要なトピックになっていると見られま
す。例えば、2013年にMSCI日本インデックスは、円ベー
スで55%という目覚ましいリターンを残しましたが、米ドル
ベースで見ると27%程度に下がります。また、2014年に
80
'73
'79
'85
'91
'97
'03
'09
出所: Federal Reserve、J.P. Morgan Asset Management
(データは2014年12月31日現在)例示のみを目的とするものです。
米国の投資家がMSCIドイツ・インデックスに投資した場
合、現地通貨建てでは3%のリターンとなりましたが、これ
正常な状況での為替ヘッジ
を米ドル建てで見ると、ユーロ安によりマイナス10%のリ
まず、量的緩和政策のような中央銀行による強力な政策
ターンに落ち込みます。振り返ってみると過去2年間につ
が実施されていないような、「平時」の状況での為替ヘッ
いては、米国の投資家にとってみると為替ヘッジが有益
ジを考えてみます。
だったことは明らかです。
金利が国内と海外で同水準であると仮定すると、ヘッジコ
とは言え、現時点で投資家は為替リスクをヘッジすべき
ストはゼロとなります。一方で、ヘッジしない場合の期待
でしょうか?この問いに答えるには、これを3つの質問に
リターンもゼロとなります。つまり、プラスとマイナス、どち
具体化して考える必要があります。
らにも転ぶような可能性を考慮すると、為替ヘッジして確
第1に、量的緩和政策のような中央銀行による強力な政
実なリターンを志向するほうが得策と考えられます。
策が実施されていないような、「平時」の状況では、為替
一方、ヘッジコストが大きい場合に為替ヘッジを行うべき
ヘッジを行うべきでしょうか。
かどうかはそれほど明確ではありません。例えば、低金
第2に、先とは反対に、中央銀行による強力な政策が実
利の日本の投資家が、ブラジルのような高金利国の通貨
施されているときはどうでしょうか。
に対する為替リスクをヘッジする場合がこれに当たります。
そして、第3に、長期の米ドルのファンダメンタルズを考え
この場合、ヘッジコストは両国の金利差になり(円の金利
るとどうでしょうか?
からブラジルの金利を引いたもの)、ヘッジしない場合の
期待リターンも同じです。したがって、ヘッジしない場合に
は大幅なマイナスのリターンが期待されることになります。
しかしながら、過去の多くの研究は、金利差から示唆され
るほどの大幅な(高金利)通貨下落は、実際にはあまり
生じないと結論付けています。これは経験則でしかありま
せんが、過去数十年間にキャリー・トレード(日本のような
低金利市場で借り入れを行い、よりリターンの高い市場
に投資すること)のよりどころになっています。
J.P. Morgan Asset Management | 3
World View | 1Q 2015
買い建てる通貨の金利が売り建てる通貨に比べて大き
2013年に米国は対GDP比2.4%の経常赤字を計上した
い場合、経験的にはヘッジしないことが得策と言えるかも
一方で、ユーロ圏は同2.4%の黒字、日本は同0.7%の黒
しれませんが、理論的にはリスクの高い投資であること
字、新興国全体で同0.8%の黒字を計上しています。確
に変わりはありません。
かに、米国の原油産出量の増加と世界的な原油価格の
下落は、いずれも貿易収支の面で米国を下支えする要
最後に、長期を考えると、理論的には実質為替レート(イ
因になるとみられますが、今後、米ドル高が進むと、2016
ンフレ率を調整した為替レート)は変動しつつも、平均回
年以降は貿易赤字が徐々に拡大すると考えられます。こ
帰します。例えば、実質ベースで見ても、ドル高が過度に
れは長期には、米ドルの下落要因です。
進む場合、米国の輸出が減って輸入が増えることで貿易
赤字が生じ、ドルは再び下落し、やがては元の水準に回
図表2:主要地域の経常収支
帰します。ただし、どこで調整が生じるかを言い当てるの
経常収支の対GDP比率%(1997年~2014年)
は至難の業です。
6%
中央銀行が量的緩和を行う中での為替ヘッジ
4%
今日、多くの投資家は、米国の量的緩和終了や日欧で
の追加緩和を材料として、為替レートを予測できると考え
ているようです。
2%
0%
-2%
実際に、2013年の日本や、さらに直近の欧州のケースで -4%
は、追加緩和の実施見通しから通貨は下落しました。通
貨下落により、デフレ懸念に歯止めがかかるだけでなく、
-6%
輸出の伸びが促進される可能性もあります。
-8%
ユーロ圏
日本
新興国
米国
'97
対照的に米国では労働市場の改善を受け、FRBは2015
'99
'01
'03
'05
'07
'09
'11
年の中盤以降に利上げを開始すると見られます。これに
出所:IMF、FactSet、J.P. Morgan Asset Management
(データは2014年12月31日現在)例示のみを目的とするものです。
より、多くの新興国通貨には一段の下押し圧力がかかる
.
と広く予想されています。
2015年においても、ECBと日銀、そしてFRBがそれぞれ
の意図どおりに政策を実施すれば、米ドルは一段と押し
上げられる可能性があります。
'13
国際分散投資の必要性
国際分散投資を行うということは、世界のその他地域へ
のポジションを増やすことですが、同時に国内経済が悲
惨な状況に陥った場合に備えて国内の資産を削減し、
ポートフォリオの分散を進めることにもつながります。為
これが可能性の高いシナリオであるとすれば、米国の投
替リスクについても、同じ理由を当てはめることができま
資家は為替リスクをヘッジしたいと考えるでしょうし、米国
す。現時点では、米国が世界経済の成長を牽引し、世界
以外の投資家はその逆の行動をとるでしょう。
中から資本を引きつけ、急激な米ドル高が生じています。
長期で考えると、米ドルはどうか
しかし、この展開が時間の経過とともに変化し、他の国が
しかし長期で考えると、米ドルの見通しは必ずしも良好と
式と債券といった資産クラスでの分散だけでなく、為替に
は言えません。
も分散効果を求めることができます。
第1に、米ドルは既に大幅に上昇しています。FRBによる
と、実質実効為替レートは2011年7月の底値から15%上
昇し、購買力平価からは、米ドルが円とユーロに対して現
在割高となっていることが示唆されています。
4 | World View | 2015年第1四半期版
けん引役を引き継ぐ可能性を考慮する場合、投資家は株
欧州の投資動向:量的緩和とその
後を展望する
David Stubbs
グローバル・マーケット・ストラテジスト、英国および
欧州
ECBの債券買い入れに合わせ、債券以外の資産クラス
は「ポートフォリオ・バランス効果」のメリットを受けると見
られます。これはECBに債券を売却した投資家が、他の
資産の買いに転じることで生まれる効果であり、量的緩
和政策が担う重要な役割です。ECBによる国債買い入
れが、投資家を他の資産クラスへシフトさせることで、こ
はじめに
ここ数ヵ月の間に欧州中央銀行(ECB)が打ち出した政
策により、欧州の金融資産に対する投資家心理は改善し
れらの資産クラスを保有する投資家の富は増加します。
株式はそうした恩恵を受けるとみられる資産の1つです。
また、上場企業にとって見ると、低金利を利用して、新た
ています。本レポートでは、そうした政策の概要を説明し、 に債券を発行することができます。こうして調達された資
今後の欧州市場の動向に影響をもたらす可能性のある、
金は、調達コストが高い既存の債務の返済、あるいは増
その他の要因についても考察します。
配や自社株買いなどで株主への資金還元にも利用でき
ます。多くの企業が同様の資本・負債政策を取れば、株
量的緩和政策がもたらす効果
ECBはようやく1月に、国債買い入れを含む量的緩和政
価にとっては追い風となります。
図表1:MSCI欧州インデックス:収益の地域別内訳
策を打ち出しました。その主な内容は次の通りです。
•
月間600億ユーロの債券買い入れを2015年3月から
2016年9月まで実施します。ECBはこれまで資産担
11%
10%
保証券(ABS)とカバード・ボンドのみを資産買い入れ
の対象としてきましたが、今後は欧州地域の国債や
政府・国際機関債も対象となります。
•
さらにECBは、インフレ率目標2%の達成が見通せる
まで債券の買い入れを継続すると確約しており、無期
限の措置とも受け止められます。
•
25%
54%
欧州
米州
アジア
その他*
出所:MSCI、FactSet、J.P. Morgan Asset Management
*その他は欧州、アジア、米州以外の地域からの収益を示します。
(データは2014年12月31日現在)例示のみを目的とするものです。
ECBは長期資金供給オペ(TLTRO)に適用する0.1%
の上乗せ金利を廃止し、銀行の調達コストを一段と引 実際には、量的緩和政策はユーロ安を促すことでより大き
き下げることも決めました。これにより、同プログラム な影響をもたらすと見られます。MSCI欧州インデックスを
の利用が増える可能性があります。
構成する企業の利益を見ると、その約半分はユーロ圏外
で生み出されていることがわかります(図表1)。市場は発
資産買い入れ策の拡大は市場に多様な側面から影響を
表の数ヵ月前から量的緩和政策の実施を織り込み、ユー
もたらすと見込まれます。例えば、ユーロは下落し、投資
ロ安が進行していました(図表2)。ユーロ安により、欧州企
家はリスク資産へのシフトを余儀なくされ、財政支出の拡 業の域外での利益がユーロ建てで拡大すると見られます。
大も可能となります。
J.P. Morgan Asset Management | 5
World View | 1Q 2015
図表2:ECBのバランスシートとユーロの実質実効為替レート
図表3:欧州の信用需要
単位:バランスシートは、兆ユーロ。為替レートは指数。
信用需要が増加したと回答した銀行から減少した銀行を差し引いたネ
ットの比率%
115
1.2
100
1.6
50
105
2.0
0
100
2.4
-50
ECBのバランスシート
(右軸、逆目盛)
110
95
2.8
ユーロ実質実効為替
レート(左軸)
90
3.2
'07
'08
'09
'10
'11
'12
'13
'14
出所:ECB、J.P. Morgan Economic Research、J.P. Morgan Asset
Management
(データは2014年12月31日現在)例示のみを目的とするものです。
-100
消費者信用(左軸)
住宅ローン(左軸)
企業全体(左軸)
-150
'04 '05 '06 '07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 '14
出所:ECB、Eurostat、FactSet、J.P. Morgan Asset Management
(データは2014年12月31日現在)例示のみを目的とするものです。
量的緩和政策以外のプラス材料
ただし、欧州の金融市場を動揺させる要因はいくつかあり
原油価格の下落もプラスです。原油の純輸入国であるユー
ます。1月のギリシャの総選挙では反緊縮を掲げる急進左
ロ圏にとって、エネルギー価格の下落は幅広い財やサービ
派連合(SYRIZA)が勝利し、金融市場の変動性は高まりま
スの消費を押し上げ、経済成長や株式収益の伸びにつな
した。ギリシャの株式市場は、12月終盤に総選挙実施が発
がると見込まれます。
表されて以降、株価が2ケタを超える下落に見舞われまし
た。ギリシャの10年国債利回りは、ギリシャ債務の先行き
また、昨年、政策当局は、銀行システムの健全性を評価す
不透明感が強まる中、1月に1%超上昇しました。
るストレステストを実施し、システムの安定性と活性化を高
める措置を講じています。加えて昨年末には、ECBがユー
今やギリシャが2012年のような、ユーロ離脱の波及リスク
ロ圏の大手行の監督機関となり、規制面の一貫性と透明
をもたらすことはないと投資家は認識しており、他の市場は
性がさらに向上しました。こうした措置により現在、銀行の
当時のような反応は見せていません。
貸出基盤は整っています。
しかし、年の終わりに総選挙を予定しているスペインを含め、
図表3が示すように、ECBが実施している銀行融資担当者
今年実施される他の国の選挙に対しても、金融市場が落ち
調査によれば、貸出態度が緩和する中で、家計や企業の
着いた反応を示すとは決して断言できません。
資金需要は拡大していることが示唆されています。
6 | World View | 2015年第1四半期版
新興国:ディスインフレかデフレか?
図表1:ブレント原油価格と新興国のCPI
前年比
Grace Tam, CFA
120%
ブレント原油価格
総合CPI
グローバル・マーケット・ストラテジスト、アジア
80%
コアCPI
はじめに
8%
6%
40%
米ドル高と軟調なコモディティ価格のトレンドが見られる中、
目先は世界各国においてインフレ率の鈍化が予想されま 0%
す。こうした状況はデフレ懸念、ひいてはリスクオフの市場
環境につながる可能性があります。以下では、新興国のデ -40%
フレリスクについて考えてみます。
4%
2%
-80%
デフレのリスク:目前に迫る
まず、大幅な原油価格の下落は、トルコや南アフリカ、イン
ド、インドネシアといった高インフレに悩む新興国にとって
は、金融引き締めの必要性が和らぐことから、明らかな支
援材料です。しかし同時に、それはインフレ率の鈍化を意
味します。実際、当社がカバーする新興国20ヵ国のうち、
9ヵ国のインフレ率は各国中銀の目標水準を大幅に下回っ
ています。
実際、生産者物価指数(PPI)を見てみると、特定の新興国
ではこれまでもデフレが懸念されていました。PPIのマイナ
スの伸びは一般に、軟調なコモディティ価格が主な要因で
あると解されています。しかし、2014年半ば以降、新興国
のコアPPI(食品・エネルギーを除く)も下落しており、デフ
レ基調は今や一段と強まっています。
0%
'02
'04
'06
'08
'10
'12
'14
出所:J.P. Morgan Securities、FactSet、 J.P. Morgan Asset
Management
(データは2014年12月31日現在)例示のみを目的とするものです。
答えは金融緩和
残念ながら、デフレ基調は実質金利が上昇していること
を示唆しており、国内景気が既に低迷状態にあることか
ら、新興国にとっては一段と厳しい局面を迎える可能性
があります。
これに対応すべく、新興国の中央銀行は、デフレ懸念の
更なる定着を避けるため、金融緩和(利下げ)を選択す
る可能性があります。
大胆な利下げの可能性は低い
とは言え、新興国での利下げはあくまで小幅なものに留
懸念されることは、PPIのデフレ圧力が消費者物価指数
まると見られます。こうした見方を取る理由として、次の
(CPI)にも波及しつつあるとみられる点です。図表1は、最
点が挙げられます:
近数ヵ月間に原油価格下落が総合CPIで見たインフレ率を
押し下げていることを示しています。さらに、コアCPIで見た
•
わる可能性があります。
インフレ率についても、景気の低迷も相まって鈍化してい
ます。
原油やコモディティの価格低下は一時的なもので終
•
一部の新興国は現在、債務増大の問題に取り組もう
としています。そうした中での大胆な金融緩和はレバ
レッジの再拡大を招く恐れがあります。例えば、図表
2では、日本を除くアジアの債務総額(金融を除く)の
対 GDP 比 が 、 2007 年 の 144% か ら 2014 年 に は
205%へ急上昇したと推測されます。
J.P. Morgan Asset Management | 7
World View | 1Q 2015
•
新興国の中でも、経常赤字が拡大傾向で、対外債務も
図表3:新興国地域の経常収支
高水準の国は、自国通貨がFRBの金融政策正常化の
対GDP比、3ヵ月移動平均
影響を受けやすくなっていることから、利下げに消極的
25%
とみられます。こうした国では資本の流出を食い止める
20%
ため、利上げを実施する可能性さえあります。図表3に
15%
示されるように、新興6地域のうち4地域で経常収支が
悪化しており、一方、対外債務の対GDP比が同6地域
•
5%
す(図表4)。
0%
一部の新興国は、過度に緩和的な金融政策が金融資
-5%
源の誤った配分につながることを懸念しており、政府は
-10%
'00
むしろ、より持続可能な成長の実現に向け、構造改革に
図表2:アジア各国の債務総額
対GDP比%
144
香港
234
Korea
韓国
174
中国
Thailand
160
Taiwan
162
タイ
台湾
150
Malaysia
マレーシア
129
135
114
101
India
インド
Philippines
フィリピン
72
77
Indonesia
インド
ネシア
0%
251
144
China
50%
'04
'06
'08
'10
'12
投資への示唆
205
195
Hong Kong
Singapore
'02
出所:IMF、World Bank、Haver、Emerging Advisors Group、J.P.
Morgan Asset Management
(データは2014年12月31日現在)例示のみを目的とするものです。
*CISは独立国家共同体の略称。
注力する方が良いと考えています。
シンガポール
中南米
中東欧
CIS
10%
のうち5地域で上昇していることが明確に示されていま
日本除く
AXJ
アジア
アジア
アフリカ
中東
278
一部の新興国では、原油価格の下落を理由に、金融緩
278
和を選択するかもしれません。これは短期的には、新興
国株式にとってプラス要因と見られます。
244
223
一方で多くの新興国は、経常赤字や対外債務といった構
186
造的な問題に対処する必要があり、金融緩和はこうした
186
構造問題の解決を遅らせる可能性があります。
2007
新興国にとって景気刺激と構造改革の適切なバランスを
2014予
図るのは、容易なことではありません。そうしたかじ取り
100% 150% 200% 250%
出所:CEIC、Haver、IMF、Morgan Stanley Researchの予想に基づく
推定、 J.P. Morgan Asset Management
(データは2015年1月31日現在)例示のみを目的とするものです。
債務総額は家計債務、非金融企業債務、一般政府債務を含みます。
をうまく進められる国への選別投資が重要と考えられま
す。
図表4:新興国地域の対外債務
対GDP比
100%
アジア
アフリカ
中東
80%
中南米
中東欧
CIS
60%
40%
20%
0%
'00
8 | World View | 2015年第1四半期版
'02
'04
'06
'08
'10
'12
出所:IMF、World Bank、Haver、Emerging Advisors Group、J.P.
Morgan Asset Management
(データは2014年12月31日現在)例示のみを目的とするものです。
*CISは独立国家共同体の略称。
GLOBAL MARKET INSIGHTS STRATEGY TEAM
Americas
Europe
Asia
Dr. David P. Kelly, CFA
New York
Stephanie H. Flanders
London
Tai Hui
Hong Kong
Andrew D. Goldberg
New York
Maria Paola Toschi
Milan
Geoff Lewis
Hong Kong
Anastasia V. Amoroso, CFA
Houston
Vincent Juvyns
Luxembourg
Yoshinori Shigemi
Tokyo
James C. Liu, CFA
Chicago
Manuel Arroyo Ozores, CFA
Madrid
Grace Tam, CFA
Hong Kong
Julio C. Callegari
São Paulo
Tilmann Galler, CFA
Frankfurt
Ian Hui
Hong Kong
David M. Lebovitz
New York
David Stubbs, Ph.D
London
Ben Luk
Hong Kong
Gabriela D. Santos
New York
Lucia Gutierrez
Madrid
Akira Kunikyo
Tokyo
Ainsley E. Woolridge
New York
Kerry Craig, CFA
London
Hannah J. Anderson
New York
Alexander W. Dryden
London
Nandini Ramakrishnan
London
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• 香港:証券先物委員会の監督下にあるJFアセット・マネジメント・リミテッド、J.P.モルガン・ファンズ(アジア)リミテッド、J.P.モルガン・アセット・マネジメント・リアル・ア
セット(アジア)リミテッド
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• シンガポール:金融管理局の監督下にあるJ.P.モルガン・アセット・マネジメント(シンガポール)リミテッド、J.P.モルガン・アセット・マネジメント・リアル・アセット(シンガ
ポール)プライベート・リミテッド
• 台湾:金融監督管理委員会の監督下にあるJ.P.モルガン・アセット・マネジメント(タイワン)リミテッド、J.P.モルガン・ファンズ(タイワン)リミテッド
• 日本:金融庁の監督下にあるJ.P.モルガン・アセット・マネジメント株式会社(金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第330号 加入協会:日本証券業協
会、一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会)
• 韓国:金融委員会の監督下にあるJ.P.モルガン・アセット・マネジメント(コリア)カンパニー・リミテッド(韓国預金保険公社による保護はありません)
• オーストラリア:証券投資委員会の監督下にあるJ.P.モルガン・アセット・マネジメント(オーストラリア)リミテッド(ABN55143832080)(AFSL376919)(Corporation Act
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MI-WV-1Q15
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