茨城 - 常陽産業研究所

ム
ウェルカ
茨城
Welcome Ibaraki
「人と技術の力で世界の人々の健康と豊かな
食文化の発展に貢献します」を企業理念に、
心を込めて安心安全な商品を提供する
ソントン食品工業株式会社
石岡第一工場
日本で初めてピーナッツバ
ターを製造したメーカー
ソントン食品工業株式会社(以下、
ソントン食品工業㈱)は、
1942年(昭
和 17 年)、創業者である石川郁二郎
氏が、兵庫県氷上郡にてピーナッツバ
ター事業を興したことに始まります。
石岡第一工場
米国人宣教師である J.B. ソーントン
師が日本人の栄養不足改善および教会の維持費に充て
るため行っていたピーナッツバター事業を、石川郁二
国内大手製パン会社から大きく信頼さ
れている当社の品質管理
郎氏が引き継いだものです。
1948 年(昭和 23 年)に当社の前身となる山吉商
会を設立、その後、1950年(昭和25年)にはJ.B.ソー
ナッツクリームやジャムは、1960 年(昭和 35 年)
ントン師の名にちなんで、ソントン工業㈱に改称、
に誕生しました(商品名:F カップ)
。以来、マスコッ
1961 年(昭和 36 年)から現社名になっています。
トキャラクター「トンちゃん」がプリントされた F カッ
2013 年(平成 25 年)
、海外への展開を見据えホー
プは、50 年以上も市場で流通する超ロングセラー商
ルディングス制を施行(ソントンホールディングス㈱)
品となっています。一般的にイチゴジャムの方が生産
し、ソントン食品工業㈱はその傘下に入りました。同
量の多い業界にあって、当社においてはピーナッツク
年、製品の安定供給と更なる成長を目的として、中国・
リームとイチゴジャムの製造量はほぼ同じであること
青島に現地法人の子会社、翌 2014 年(平成 26 年)
が特徴的であり、日本初のピーナッツバター製造業者
にはインドネシア共和国に合弁会社を設立しました。
としてピーナッツ製品には自信を持っています。
創業時はピーナッツバターやピーナッツクリームを
このように、一般家庭に広く認知され、国内製造の
基幹商品としていましたが、現在は家庭用製品のク
パン類に当社の製品が広く使用されているのは、商品
リームやジャムを製造・販売するだけでなく、業務用
の美味しさだけではなく、“安全・安心・高品質”を
製品のフラワーペースト(※ 1)や油脂加工品等をは
忠実に守り、商品開発から原材料調達・製造・物流・
じめとするフィリング(※ 2)も製造・販売しており、
販売まで徹底した品質管理に取り組んでいる当社の姿
国内の大手製パン会社には当社の製品が広く使用され
勢が高く評価されているからです。
ています。
※ 1 フラワーペースト 英語の「小麦粉」
(flour)と、
「ペー
スト状」(paste)を合わせた日本の造語。小麦粉やココア
などに油脂や卵などを加えて糊状にし、菓子やパンに塗っ
たり詰めたりするもの。
※ 2 フィリング 製菓・製パン材料の一種で、菓子パンや
サンドイッチ、ケーキなどの具材。もともと詰め物を意味
し、菓子パンなどでは中に詰めたものを、サンドイッチな
どで間に挟んだものを差す。
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当社の代名詞であり、馴染み深いカップ入りのピー
JIR NEWS 2014
品質管理面では ISO 規格より厳しいと言われている
AIB 手法(※3)を取り入れ、糖度や色調、粘度等の品
質確認、および工程管理を高い水準で実施しています。
作業員が工場に入るためには、専用の作業服を着用
し、微細塵埃を除去するためのエアーシャワーを通過
するなど、2 重 3 重の入場準備過程を経なければなり
ません。さらに、製品の充填は、電子部品工場並み衛
生的なクリーンルーム内で行われている等、万全の体
Fカップ ピーナッツクリーム
ゴールドセレクション
ヘーゼルショコラクリーム
ホイップクリーム全種類
制が取られています。また、当社では、科学的試験に
最高品質の製品を安定的に製造し供給
し続ける
基づいた安全性確認を担う部門として「品質保証部」
を設置しており、安全安心な製品を届けるために原料
のカビ毒、残留農薬等、細部にわたって品質確認を実
施しています。
※3 AIB 手法 米国の製パン・製粉技術者の育成機関であ
る米国製パン研究所(American Institute of Baking)が設
定した基準「AIB 食品安全統合基準」のことで、原料の受
け入れから製品の出荷までの工程に存在する危害要因を排
除するための教育指導・監査システムのこと。
半世紀以上の歴史を誇る石岡工場
現在、食の「安全・安心」に対する消費者の意識は、
従来と比べ一段と高くなっています。また、生活様式の
変化や健康志向を反映して、健康に良いとするものや、
付加価値の高い食品を求める傾向が強く見られます。
そのような食品を取り巻く環境の変化に対応し、最
高品質の製品を安定的に供給するため、当工場では、
OJT だけでなく定期的に衛生管理等の勉強会を実施し
ています。そのため、工場に勤務する従業員は、品質お
よび食品衛生に関し常に高い意識を持っています。また、
当社が初めて石岡市に進出したのは、今から 60 年
外部研修にも参加させる等、Off-JT にも積極的に取り
前の 1954 年(昭和 29 年)まで遡ります。当時、ピー
組んでいます。さらに、製造現場では製品を丁寧に取り
ナッツバターやピーナッツクリームの需要が増加し、
扱うことが当たり前のように行われており、高い品質を
その対応が求められていたこと、ピーナッツの生産地
半世紀以上にわたり維持してきました。
が千葉県と茨城県に集約していたこと、さらに仕入先
一方、石岡市に進出して半世紀以上経ち、地元におい
から石岡市を紹介されたこと等、様々な要因が重なり、
ては就業の場として重要な位置を占めています。さらに、
現在の石岡駅付近に石岡第一工場を設置しました。
地元の小中学生や老人会、観光協会が主催する工場見
その後、事業拡大に伴い、1964 年(昭和 39 年)
学ツアーに加え、高校生のインターンシップ等の積極的
に石岡第二工場、1994 年(平成 6 年)には石岡第三
な受け入れや、石岡市産業祭に毎年参加する等、地域
工場が稼働しました。2005 年(平成 17 年)
、石岡
とのコミュニケーションをとても大切にした地元密着企
第一工場の機能を石岡第三工場に集約したことで、石
業となっています。
岡第三工場を石岡第一工場と改称し、現在は石岡第一、
第二の 2 工場で操業しています。
消費者の価値観・ニーズは常に変化し、多様化、高度
化しています。そのような中、当社では「日本品質」の
石岡第一工場は、2 棟の製造棟を有し、F カップと
製品を世界に向けて提供し続けていきたいと考えてお
茨城県産の生乳を原材料として使用したフラワーペー
り、中国やインドネシアへの進出はその一環です。今後
スト等を製造しています。中でも、当社の主力製品で
もソントン食品工業㈱の企業理念である「人と技術の
あるフラワーペーストは、製パンメーカーによって求
力で世界の人々の健康と豊かな食文化の発展に貢献し
められる風味やパンへの使用適正が異なるため、ほぼ
ます。
」を実践することで、石岡工場で作られた製品が、
オーダーメード型の商品となっています。そのため、
世界中の食卓に並び続けることを期待します。
数多くの品種を製造しています。また、無駄を出さず、
会社概要
適切な量を相当のスピードで製造しなければならない
ことから、高い水準の製造ラインとそれに携わる人材
が必要となります。
このように、石岡第一・第二工場はメーカーからの
高い要求にも応えられる製造能力と、半世紀以上の歴
史の中で蓄積された技術力を有する主力工場へと成長
しています。
所
在
地 (本 社)東京都江東区東陽 6-3-2
(石岡第一工場)茨城県石岡市東大橋 2073
業
種 食品製造業
従 業 員 数 134 名(石岡第一工場)
代表取締役
執行役員社長
石川 紳一郎
U
http://www.sonton.co.jp/
R
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JIR NEWS 2014
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