さといもの種芋分割による増殖法について

さといもの種芋分割による増殖法について
1.試験のねらい
サトイモの優良品種,系統の増殖と従来廃棄していた親芋の有効利用をはかるため,種芋の
種類と分割程度及び催芽処理が生育・収量・増殖率に及ぼす影響を検討した。
2.試験方法
品種は女早生を用い,種芋の種類は親芋(1609),子芋,孫芋(809)とし・分割程度
は無分割,1■2,1/4,1/8,1■16(親芋のみ)を設け,催芽の有無を組合せて試験を
行った。種芋の植付時期は,無催芽区が3月3工目,催芽区が5月ユ5日℃畝幅100㎝,株
間40㎝の1条植えとした。施肥量は3要素ともa当たリ成分量で2κg施用し走。マルチ(透
明ポリ)は両区とも3月31目に畝幅70㎝に行い,培土は6月25目のマルチ除去直後に行
い,収穫は11月13目に行った。試験規模は1区10株2区制とした。
3.試験結果及び考察
萌芽期は,催芽区がやや早く,芋の種類では親芋,子芋区がやや早く,孫芋区はやや遅れた。
萌芽株率は、無分割区が100%と高かったが,分割片が小さくなるに従い低くなリ,親芋の
1■工6,子,孫芋の1■8分割区は30%以下であった。
生育は,催芽区がやや良く、芋の種類では差が少なかったカ、種芋個体(分割片)が小さく
なるに従い,草丈が低く,葉の大きさも小さくなった。
芋数は,無催芽区がやや多かったが,芋の種類では差が少なく,種芋個体の大きさの影響が
大きく,種芋個体の大きい区が芋数は多かった。
芋重も芋数と同様に無催芽区がやや多く,芋の種類では親芋区より,子・孫芋区がやや多収
の傾向を示したが,種芋個体の大きさの影響が大で種芋個体の大きい方が多収であった。
芋の増殖率は,無催芽区がやや高く,芋の種類では孫芋区がやや高い傾向を示した。種芋個
体の大きさでは親・子・孫芋区とも1■8分割区が高かった。
4.成果の要約
種芋の分割による増殖は,種芋個体の大きさを小さくすることによリ高まるが,株の萌芽率
や目漂とする1芋重を考慮すると安全な分割程度は親芋で1■8,子・孫芋で1■4であると考
えられた。なお,種芋個体の大きさを209以下の小片とする場合は催芽後植え付けが望まし
い。 (担当老 野菜部 大村 栄)
一95一
芋数、
芋の穣類
25
口親芋
團子芋
20
15
10
繕
舞.
一糞
藩
鍵
塾
繋1
個 無1111無ユ11無111無ユ1ユユ無11ユ無111
分////分///分///分////分///分///
室1 2 4 8 ユ6害0 2 4 8害吐 2 4 8 害02 4 8 害L山_害山_
無 催 芽 催 芽
図一1 催芽の有無,芋の種類,分割程度が芋数に及ぼす影響
収量
芋の種類
ユ,600
口親孝
ユ,280
園子芋
960
1
{
。品’
’
11甲■
無1111無111無111無1111無ユエ1無一11ユ
9 分////分///分///分////分///分///
無 催 芽 催
芽
図一1 催芽の有無,芋の種類,分割程度が収量に及ばす影響
増殖率
芋の種類
500
口親芋
400 園子芋
圏孫芋
300
200
100
%0無1111無111無ユユ1無11ユユ無111無11ユ
分////分///分///分////分///分///
害咄 2 4 8 16萱L−2_」生_8_害L_2_ul_ 一害山L_8_ 笥 払」_8_
__蓑L+ + + + + +
無 催 芽 催 芽
図一3 催芽の有無,芋の種類,分割程度が増殖率に及ぼす影響
一96一