2015 年 2 月 5 日【第 9 号】 速報 発行:全国農業協同組合中央会 ~ 米 国 の T P A を め ぐ る 動 向 ~ 1.TPP交渉の鍵を握るTPA 米国以外の TPP 交渉参加国は、 「米国に TPA(貿易促進権限)1がないなかでは 妥結のための譲歩は行わない」との立場をとっており、TPA 法案の動向が、TPP 交渉合意の成否 TPP 交渉合意の成否を決定付けるものとなっています。 さらに、日米以外の TPP 交渉参加国は、米国の TPA 法案に加えて、日米二国 間協議の行方を見極めようとしています。 ≪TPP交渉をめぐる構図(イメージ)≫ TPAの行方が TPP交渉そのものを左右 TPAの動向を注視 TPAの動向を注視 (米国) 協議の 進展を注視 (日本) (特に新興国) 2.TPPとTPAの成立に向けて強い意欲を示したオバマ大統領 オバマ大統領は、1 月 20 日、米国議会で一般教書演説を行 い、TPP について、 「我々が(世界で最も速く成長している地 域で)公正なルールを作らなければならない」と述べ、米国主 導の通商ルールの確立を目指し、TPP の実現に強い意欲を示 一般教書演説を行う オバマ大統領 しました。 「アジアや欧州との間に自由で公正な協定を新たに締結 また、TPA に関しては、 し、米国の労働者を保護していけるように、TPA を共和・民主両党に求める」と 述べ、TPA 法案の成立を明確に求めました。 1 TPA(貿易促進権限)については、 「TPP つぼの壺(第3号)」 (http://www.think-tpp.jp/)をご参照くだ さい。 3.TPA法案の動向 TPA 法案の提出時期については、当初、早ければ 1 月中と見られていましたが、 2 月下旬にずれ込むと報じられています。 法案成立の可否について、下院では、共和党が過半数を確保しているものの、 オバマ大統領への不信と反発から、共和党右派(ティーパーティー等)を中心に 法案への反対が見込まれています。このため、TPA 法案の成立には民主党から一 定の協力を得ることが不可欠であり、現在、法案の書きぶりが調整されている模 様です。 ≪米国下院議会のTPAをめぐる構図≫ 共和党:246議席 自由貿易志向 TPAに大宗が賛成 一部 議員 共和党右派(ティーパーティー等): 「オバマ大統領に権限を渡すことになる」 としてTPAに反対 反対:40票程度 民主党:188議席 自由貿易に懐疑的 TPAに大宗が反対 下院議会定数: 435 (過半数:218) ・環境 ・労働 ・為替 ・議会の関与強化 など 一部 議員 条件付きでTPAに賛成 = TPAの規定強化により 賛成票の取り込みを模索 賛成:現時点で10票程度 賛成:206票程度 ⇒過半数(218票)には12票程度不足 仮に TPA 法案が 2 月下旬に提出された場合、法案成立の可否は、4~5 月頃に見 通しが明らかになるとされており、仮に成立となれば妥結への機運が一気に高ま るとみられますが、否決となれば 2016 年 11 月の米国大統領選挙までは交渉は進 展しないと想定されます。 ≪TPA法案に関する今後の見通し≫ 2月下旬 TPA法案提出(当初見込みより1ヶ月遅れ) 移民法関連など他の重要案件の議会審議日程との調整や、2~3月の 議会休会(2/16~23、3/9~13、3/30~4/10)等による審議日程の制約 4~5月頃 法案成立可否の見通し明らかに オバマ政権には、通商課題以外にも移民制度改革やエネルギー問題、医療制度 改革等、重要課題が山積しており、これらが TPA 法案の審議にどのような影響を 及ぼすかについても注目されています。 以 上
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