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タ
イ
ト
ル
(和文)
米国の貿易促進権限(TPA)と貿易交渉の関係について
(フリガナ)
コンドウ ヨシトモ
名前
近 藤 嘉 智
所属
青山学院大学
Eメール
[email protected]
(和文報告概要 40 字×30 行 1,200 字程度)
現在、環太平洋パートナーシップ(TPP)交渉は難航はしているものの、日米二国間協
議の進展が伺えることから、本年 2 月 12 日に行われた通常国会の施政方針演説でも、交
渉は「出口が見えてきた」とされている。TPP 交渉は早ければ本年 3 月中にも実質合意
という日程感で協議が進められており、米国では 2007 年 7 月に失効して以来大統領に付
与されていない貿易促進権限(TPA: Trade Promotion Authority)を更新する法案がい
つ議会で可決されるかが注目されるようになっている。米国以外の TPP 交渉参加国も、
米国大統領が TPA を議会から得ていない状態で合意に向けた譲歩はできないとしてい
る。他方、米国通商代表部(USTR)は、TPA の付与は TPP 交渉妥結の前提条件ではな
いとしている。本報告では、このように交渉の鍵にもなっていると思われる TPA の意義
について、歴史的経緯も踏まえて明らかにし、TPP 交渉等、現在進行中の米国が関わる
貿易交渉に与える影響について分析する。
第 1 に、TPA の歴史について紹介する。具体的には、1930 年代の大恐慌時代まで遡り、
大統領が議会から貿易交渉に関する権限を委任される、という形が出来上がった背景につ
いて説明する。
第 2 に、TPA と GATT における累次のラウンド交渉との関係について分析する。TPA
で大統領に付与される権限の内容は、GATT ラウンド交渉の交渉議題と関連性があり、
その変遷について紹介する。また、交渉で合意された内容を修正なしに議会で可否を採決
するという「ファースト・トラック」手続きが導入された背景にも焦点を当てる。
第 3 に、米国が数多く締結している二国間の自由貿易協定(FTA)と TPA の関係に焦
点を当てて分析する。TPA に基づいて外国政府との間の交渉を妥結させれば、協定の議
会での承認も迅速に行われると直観的には思われる。しかし、共和党ジョージ・W・ブッ
シュ政権下で TPA に基づき合意されたペルー、コロンビア、パナマ、韓国との各 FTA
は発効までに長い時間を要しており、その背景について分析する。
最後に、現在米国議会で議論されている新たな TPA の内容と現在進行中の TPP 等の
貿易交渉への影響について分析して、今後を展望する。
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過去類似した発表(論文等を含む)がある場合、その研究との関連性および相違点につい
て明記してください。
本報告は、専門誌『貿易と関税』
(公益財団法人 日本関税協会発行)に連載している「米
国と欧州連合(EU)の貿易政策立案過程及び政策目的に関する比較分析」という論文中、
米国における政策立案過程の分析を行った部分(2014 年 6 月号及び同年 8 月号)に、直
近の情報を追加して行うものである。
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