エンジニアの情熱 ~議論を自発的に~ 石井 貞行

巻 頭 言 エンジニアの情熱 ~議論を自発的に~
専務取締役
ネットワーク&アウトソーシング事業本部長
石井 貞行
今年9月、当社大山研修所に「50年記念歴史展示コーナー」を開設した。
「コンピュータ・ユーティリティ」の実現を目指し、独自技術を駆使してネットワーク機器・パソコンや周辺機器・
ゲームソフト開発に挑戦し製品化した商品が展示してある。
今はモバイル&クラウドの時代。スマートフォンの電源を入れれば、瞬時に国境を越え言語の壁を超え世界中のコン
ピュータにつながる。無線を使っているのか有線を使っているのかネットワークをまったく意識しないでコンピュータ
パワーを自由に使えるような時代となった。
確かに、便利な時代となった。しかし、本当に社会は豊かになったのだろうか。
私は、同じ時期にシリコンバレーにある「コンピュータミュージアム」を訪問した。
そろばんから始まり自動運転のgoogleカーまで時代を追ってコンピュータに関するあらゆるものが展示してあり、
中にIBM社の汎用機やDEC社の科学技術計算機が展示してあるコーナーがあった。それら展示品が今でも稼働して
いるというのには驚いた。展示品のパーツはインターネット・オークションで購入し当時のエンジニアが集まってそれら
を組み上げて稼働させたと聞きさらに驚いた。Google社やApple社が全盛のかの地にあって今のスマートフォン一台
のパワーにもならない汎用機の再稼働にかけたエンジニアの情熱を感じた。
もうひとつ、シリコンバレーがダイナミックに成長していくメカニズムにも情熱とスケールの違いを肌で感じた。自動
車開発の事例ではあるが、新車開発にあたり、日本メーカは自社の仕様に取り込める技術を探す。一方で欧米メーカは
自社の仕様をオープンにしてシリコンバレーの知恵を積極的に取り込む。日本スタイルでは仕様にマッチした技術を
発見し設計通りの新車を開発できる。しかし、欧米スタイルではジャンルを超えた技術者のアイディアが集まり設計
時点では気がつかなかった別の技術を応用して新車が開発される。シリコンバレーの技術は知恵が融合して異なる
成長を独自に遂げていく。次々に新しい設計コンセプトの車が生まれていく。次世代の車の開発にかかるコストと
スピードが圧倒的に違ってくるだろう。今後スマートフォンやタブレット並みのスピードで自動車が開発され、社会が
変化していく予感がした。
「社会がスマートで豊かになるために I CT をどう活用するか」は当社に与えられた課題である。先達たちの努力の
結果の記念コーナーの前でインターネットが普及して育った世代の社員もホストで育った世代の社員も「社会システム
企業インテックの新たな未来」
について、
世代を超え知恵を出し合い、
社員同士が自発的に議論する会社でありたい。
大山研修所から世界で戦える新しい商品・サービスを生み出していきたい。