巻頭言 林 弘明

巻頭言
常務執行役員
林 弘明
当社が1964年に設立してから50余年経つが、これほど発展しめまぐるしく変わった業界は、IT業界以外ないのでは
ないだろうか。
たとえば何億円もした汎用コンピュータと同等の性能を持つパーソナルコンピュータが何万円という価格で手に入る。
通信回線はアナログからデジタルへ移り、通信速度も回線使用料金も比べものにならないくらい高速、低価格になった。
50年前は想像できなかったスピードで高度化が果たされている。
では、今後のIT業界はどうか。
ICTの活用の観点では、一昔前は事務処理を中心とした効率化での活用が主流であったが、近年では差別化を目指
した戦略的活用にシフトしている。今やICTと無縁と思われた農業分野においても酒作りや野菜作りなどで活用が
加速的に進み、全ての産業で活用されており、言わば第4のインフラになっている。
さらに近年ではI oT、FinTech、A Iなど新しい発想に基づく技術基盤が次々と誕生している。ICTは日々活用シーン
を広げ、世の中を一層変えていくのは間違いない。
ところでここ最近、ワクワクを感じていることがいくつかある。
1つ目は、ソフトバンクロボティクス社のPepperである。学習によりどんどん利口になるロボットの出現により、人と
話すようにロボットと会話ができる時代を迎える。人口減少や労働力不足の時代には欠かせない存在になるだろう。
2つ目は、いよいよ無人の自動車が公道を走る時代がやってくることである。行先を指定すれば目的地まで安全に
運んでくれ、事故の減少につながる。
実はこの2つは、いずれもセンサーが人の目となり、コンピュータが人の脳(ビッグデータが記憶、AIが判断)となって
いるのに他ならない。これらの技術は今までなかったわけではなく、我々が普段当たり前のように触れている技術の
組み合わせと知識の共有によるものである。
最近社会現象になっているポケモンGOは、現実世界と仮想世界の融合というコンセプトだが、これもGPSなどの
技術とそれを処理するビッグデータとの組み合わせである。
昔、SFの世界で夢のように語られていたことが、技術の組合せによって次々と現実のものになっていることに皆さん
は感動を覚えませんか。
“いつでも、どこでも、誰でもコンピュータを利用できる「コンピュータ・ユーティリティ」”の実現を目指し、企業と
産業、社会における新しい価値を創造する「社会システム企業」をビジョンとしている当社には、技術への造詣もさる
ことながら、世の中の新しい当たり前を作っていくために、情熱と遊び心が必要と感じている。
昨年、当社は15年ぶりにシリコンバレーに現地法人を設立した。最新の技術とビジネス動向を取り入れるためである。
日本から感動を発信できる2020年の東京オリンピックに向けて、技術とワクワク感をお客さまと共有していきたい。