CH 1-1-1 麻痺の改善につながった脳室周囲白質軟化症児 ―Modified T-J Rotation 装具の使用経験から― Recovered from the condition of Periventricular Leukomalacia child with hemiplegia ―An experience for trying Modified T-J Rotation orthosis― ○神保武則 (OT) 1),田邊隆一 (義肢装具士) 2),成瀬康治 (Dr.) 3),高相晶士 (Dr.) 3), 辺土名 隆 (PT) 1) 1) 北里大学病院リハビリテーションセンター部, 2)木村義肢工作研究所, 3)北里大学医学部整形外科 学 Key words: Innovations and challenges,Physical function,Quality of life はじめに 脳室白質軟化症(PVL)児に対する治療目的は,リハビリテーションによる機能的維持や日常生活動作 の獲得が主体とされている.今回,888g(週数27)の極低出生体重児で出生した右片麻痺を呈するPVL 児(現在9歳)の母親から,Modified T-J Rotation 装具で機能回復を図れないか相談を受け,麻痺の改 善が得られたので報告する.なお,今回の報告に際し,ご本人およびご家族の同意を得ている. 症例紹介 9歳男児.知的な問題なし.右片麻痺(FMA:上肢関連項目86/126点,合計185/226点)を呈し,Modified Ashworth scaleはGr1+~2.感覚障害は表在,深部に鈍麻.殆ど左手のみの使用. Modified T-J Rotation 装具について この装具は,本来整形外科的疾患に対し,回外制限がある難渋症例に装着する簡易型装具として,Tanabe とJimboが2009年に考案した.患肢に可能な限り装着,Hold-Relax法を基本に前腕回旋可動域を向上 する訓練に用いる. 結果 Modified T-J Rotation装具の装着前,前腕の自動回外角度30°が,装着1ヶ月後より改善され始め,3か 月後には85°まで改善.生活上で両手動作の使用頻度や,右手だけでの遊びも増加した.4か月以降は装 具も使用せずに右手を使用している. まとめ Modified T-J Rotation 装具の装着で,回外運動方向に誘導した結果が,PVL児の麻痺側上肢に対する 動作学習に変化したと考えた.随意的運動の潜在性を引き出した要因がどこにあるのか,更なる検討を 加えたい.
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