KURENAI : Kyoto University Research Information Repository Title Author(s) Citation Issue Date URL 〔第 4 篇〕 Kanamycin 単独投与による治療効果について (海 の結核性皮膚潰瘍を対象とする化学療法実験) 松田, 好和 京都大學結核研究所紀要 (1959), 7(3(増刊第I号)): 396-399 1959-03 http://hdl.handle.net/2433/52026 Right Type Textversion Departmental Bulletin Paper publisher Kyoto University - 396- 海 浜 の結核 性皮 膚潰癌 を対 象 とす る化学療法実験 〔第 4篇 〕 Kanamyc i n 単 独 投 与 に よ る治 療 効 果 に つ い て 京都大学結核研究所化学療法部 ( 主任教授 内藤益-) 松 第 1章 緒 田 論 1 9 5 7年梅 沢 1) に よ っ て St r ept omyc e skanamyc e t i c usか ら試 験管 内で強 い抗 結核菌作用 を 好 和 で は, 2匹の胴 に結 節 を 認 め る の みで あ り, KM 群 も牌 のみ に結節 を認 めたが,SM 群 よ り 英数 は多かっ た と言 う。又 定 量 培 養 成 続 で も KM は SM に劣 る様 で あ る。 示 し,かつ か な り毒性 の低 い一物質 が発見 され 著者 は海塀 の実験 的皮膚漬癌 を対象 と して, Kanamyc i n と命 名 され た。 この 物 質 は 動物実 本 論文 第 24)及 び第 3篇 において SM,I s oni c o- 験 において も,相 当の抗 結核作用 の あ る事 が認 t i ni cAc i d Hydr a z i de (以下 I NH) ,及 び I N丘s oxaz ol e (以下 SI )併 用療 法 等 の H +Sul め られ ,現 在臨床 実験 の段階 に到 っ て い る。 さて, Ka namyc i n (以下 KM) の試験管 内結 i nvi vo におけ る抗結核作 用 を検討 して来 たの 核 菌発 育阻止作用 は, 梅 沢1 ) , 内藤 2)等 に よっ で あ るが,本 篇 において は 同 様 の 実 験 条件 で て報告 され て い るが , 梅 沢 1)は KM と St r e pt 0- SM と KM の治療効果 を比 較 検 討 した ので立 myc i n (以 下 SM) と の結核菌 に対す る発育 阻 止 力を比較 し,Dubo s培 地 で は KM が 0. 5 γ /c c に報 告す る0 第 2章 の時, Di hydr os t r ept omyc i n (以 下 DHSM) は 実 験 方 法 0. 05γ /c c で あ り, Ki r c hne r培地 内では KM 2 . / /c c の とき,DHSM l γ /c cで あって , KM の 海沢 の結核性 皮膚潰湯 を対 象 と して ,薬剤 を授 i nvi t Z ) 0 におけ る抗結核 菌作 用 は,SM 程 強 く 与 しつ ゝ病 変 の経過 を生 きて居 る ま ゝに観察 記 ないが,かな り強 い抗結核菌作 用が あ ると して 録 す る方 法 を採 った。 い る。 内藤 3) の報告 によ ると Ki r c hne r培地 を 用 いて 同様 の実験 を試 み た結 果 ,EM が 1 . 2 5 γ / c c の とき,DHSM は 0. 6 25γ /c c であ り,Du- 実験方 法 は第 2篇4)において述 べ た と同様 で , 1.実験材 料 A.実験動 物 体重 5 0 0-6 0 0 g の健康 な 白 色 赤 眼 の雄性 の 25 γ /c cの bos培地 を用 いた場合 には KM が 1. 成熟 海浜 で,R6 mer反 応 陰 性 の もの を 選 び, 時 ,DHSM は 0 . 1 56γ /c cで あ ると報告 してい 実験 に供 した。 る。 一 方 動物実験 に於 いて は,柳 沢等 3) は有 毒 人 型結核 菌 ( H2株)の2 6×1 0 4 生 菌単位数 を モ B.接 種結核菌 第 2第 4)に於 て述べ た と同様 に 当 教室 に継 代 ル モ ッ トに感 染 させ ,各 5匹宛 を KM 授 与群 , 保 存 して い る人 型結核菌黒 野株 を Sa ut on 培地 SM 授 与群 , 対照群 の 3」 群 に分 ち, ⅩM は 1 0 mg/ kg を月 夜筒部皮下 に 朝 夕分 注 し,SM は同 に培 養 し,移植 後 3週 間 目の発 育良好 な菌集落 を釣取 し,化学天秤 にて その乾燥 菌量 を秤 量せ じく 1 0mg/kg を 1日 1回注射 し, 5週 間毎 日 る後 ,小 川氏硝 子玉入 コル ベ ンに移 して充 分菌 授 与 を行 って, 肉眼 的病 変 の観察 と,柿 ,肝 , 塊 を磨砕 し,生理 的食 塩水 を加 えて接伴 混和 し 牌 の臓器 よ り分離定 量培 養 を行 って い る。 其 の 所要 の濃 度 と した。 結果 ,対 照群 で は各臓器共 に無数 の粟粒 結節 を 認 め るに反 し,薬剤授 与群 で は何 れ も極 めて軽 犀 の病症 を認 め るのみ で あ る。但 し SM 授 与琴 2.実験 方法 A.皮膚病 変 の作成 声 , 観察方韓 昭3 4.3 何 れ も第 -3 97- 2篇 にのべ た と 同 様 な材 料 及 び手 4) 第 2表 実験的皮膚潰揚病変経過( 各群平均, 単位 mm 育 の程 度 ,動物 の個 体 差 ,結核菌苔 の乾 燥 条件 に連 日授 与 した。 験 成 績 1.実験 群 の編 成 前 述 の実験 条件 に適 した 1 2匹 の海浜 を選 び各 4匹 を 1群 と して 3群 を編 成 し,第 1群は KM 20mg/kg 群 ,第 2群 は SM 20mg/kg 群 ,罪 3群 は無 処 置群 と した。 編 成 に際 して は治療 開 第 1表 実験方法及び編成 堅 竺 1 治療の種類及び投与竺 1群 2群 :M "2 2 . O m mg g , ' k k g g 3群 無処置 ( 対照) 腸 で款 岳 l : 4 値 を取 る様留 意 した。 実験群 を表 示 すれ ば第 1 表 の如 くで あ る。 第 1図 実験的皮膚潰癌病変経過( 各群平均,単位 mm) 8. 0 5 ) め 9. 0 3 14 /k 20 mg g 群 治療 SM の治効は 始時 に於 け る皮膚病 変 の指 数値 が可 及 的近 似 の 2 程 5 mm . 軍 第 第 第 1 0968 薬剤 の授 与方 法 は SM,KM 共 に大腿 部 皮下 実験威 2. 体重経過 . 実験期問 療効果を示した。 2 実験的皮膚潰痴病変経過 1 . 治療実験 損 遇に於 F 径 5 16 いては 了 の平均 L l 度となり ,病変 直径 程度 3 の痴皮となり mm ,病変 遇に於 5 16 いては しては 明 であるが, らかな治 た の問 では 明 , らかな差を認 g が 椙に於 遇 3 いては 4 病変 8 に於 5 いて 16 1 1 と 0 6 mm .な った。 SM20 /k 以上 mg 果を示し の平均直径が 0 と mm ./k な KM20 った mg 。 病変が 表 3 2 無処置群 及び第 図に示す如く に於 ては減少, 治療群に於 の傾向を示したが いては夫 々体重, 治療を加えた群 の増加を認。 を通じての各群 の体重経過は第 治療群 では次節 ったのに比して, り に痴皮が小さくな 群が最もすぐれた治療効 KM, 無処置対照群に比 郡に比し劣る成緋 g 皮が次第 に大きくなり全然治癒 の傾 向を示さなか g 図及び第 群に於 遇に於 いては 3 て 4 い 申 病変 半数は 16 は菌接種後 1週目より開始したが,1 第 表 2 に示した如く無処置対照群に 於 いては痴 /k mg 又不整形とな 即ち った, 。SM20 C.薬 剤 の投 与方法 実 t rol n 3 lKo 存 在す る事 は言 う迄 もな い。 第 3章 可 I二⊥ KM 竺 竺 竺 2 isM 20mg/kg 08776757 其 の他 に よ る接 種菌 量 の訴整 困難 な因子 が種 々 \ 4 7 . と差 が少 ない様 に心掛 けた。然 し乍 ら結核 菌発 4 8. \] 技 に よっ て行 っ た もので ,成 る可 く今迄 の実験 めなかっ たが ,増 加 の程 度 は SM 7 . 0 6. 0 \第 表\ 体重の経過 g / k gI l 前 ( 各群平均,単位 6 71 5 . 0 1 iKM 32 0m 6 4011 16 5 012 6 60再 0I4 g) 6 i5 4. 0 g ' 治療 群 が KM k g服 帯 治療 群より 3. 0 ;官 2. 0 1 . 0 8 016 8 0 0 ; 器に;6 す ぐれて 3.各 臓器 の 肉眼 的結核性 病変 い る。 nl∩ _ L一 一 L t ' r 0 . : 一・ 剛 L _ _-- _ 1 L__ _ _ 2 _ 3 _上目 _ 4 5 1 --遇. . . . . - -. ・ . . ■- ・ . - 39 8第 2図 体重の経過各群 ( 平均,単位 g) SM 授 与群 で 大結研紀要 第 7巻 第 3号 平 均直径 が著 は治療 目数 の進む につれ て 痴皮 の 0 ・ 5mm にな し く小 さ くな り,第 5遇 後 には 痴皮 の平 均 るに反 して,KM 授 与群 で は其 の 療 効果 はか直径 に於 いて S M 授 与群 に比 して治 眼 的結核性 な り劣 る様 で あ る。 一方各臓器 の肉 SM授 病変 並 び に結核菌 定 量 培 養 成 績 で は, てお り 与群 ,KM 投 与群 共 に肝及牌 に殊 にめ 変 を認ず ,肺 には両群 共 に全 然病 変が認 め られ病 g 前 1 2 3 4 あ る.この M 群 に劣 る様 で , しか も KM 群 は S ひ るがえって 3r )o の報告 る. 成 績 は柳沢 i nvi t に於 と一致 け る抗して 結 核い菌作 5過 級 , 1週 間薬 剤授 与 を中止 して放 置 した上 で, 用 を見 ると,梅 沢 1) , 内藤 2)によ っ て 報 告 各群 よ り 2匹 を任 意 に選 び一斉 に剖 検 して肺 , て い る如 く,KM の抗結核 菌作用 は S M に され 肝, 牌, 淋 巴腺 につ いて可 及的詳 細 に肉眼 的結核 て1 Ao 乃至 1 / 2で あって , この事 か ら考 え ると,著 比し 性 病変並 び に結核 菌定 量培 養 を検 索 した。其 の 成績 は第 4表 に示す が,対 照群 に於 いて は肺, 者 の行 象 と した成 なっ 績 た海沢 において, の実験的結核性皮膚漬疫 を対 KM の治 肝 ,牌 ,淋 巴腺 等各臓器 共 に病 変 が高 度で あ る に比 して或 る程 度劣 る事 は 当然 と考 られ SM 療え 効果 がる M 2 倍 の S 従っ て KM の抗結核菌作 用 よ り考 え て KM 。 が,一方 治療群 で は病変 は著 明 に軽度 で あ る S M 投 与 量を増 して , あ り治療群 で は肝 及 び牌 に結節 を認 め る程 度 で いて 。 M 治療群 で は肝 及 び 牌 の 結節 が ,K S M S M と比 較 して み る事 え られ る。 勿論 ,その成 めた。 よ り梢 々多 く,一 部 淋 巴腺 に僅 か に結節 を認 の定 量培 置群 よ又菌 りは良好 で 養成績 で も KM 群 は 無 処 様 で あ る。 は あ るが ,S M 群 よ りは劣 る 以上著者 第 は海 4章 総 括並 び に考按 象 と して,KM 浜 及の実験 び S 的結核性 皮膚潰癌 を対 であ るが, S M2 0 M の効 果 を検討 したの mg/ kg 授 与 群 及 び KM 2 mg/ kg 授 与 0 て 明 らか な治群 の何 れ に於 いて も対 照 群 に比 し 事が っ た。 し SM 授 与群 と 療 K効果 M 授を示す 与群 と比 較判して見 る然 と, 京 績 群 乃至 1 0倍 の の量を用 と考 も今後 の問題 昭3 4.3 - 399- で検討 したので次篇 にその成漬をのべて この方 文 面 の研究 に関す る一 つ の資料 に したい と考 えて i)Ume zawa,H. ,Ue da,M. ,Maeda,K. ,Rondo, い る。 S. ,Yagi s hi t a,K. ,Os at o,T. ,Takeuc hi ,T. 第 5章 結 論 海浜 の結核性皮膚病変を対照 と して,同量 の SM 及び KM 投 与 によ る治療 効 果 を検索 し, 併せて臓器 内肉眼 的結核性病変並 にび結核菌定 量培養成績を検 索 した結果 ,対照群 に比 して何 れ も強 い 治療 効果 を示 したが,両者 を比較す る と SM 治療郡 は KM 治療群 に比 してかな りす ぐれ た効果を示 した。 ( 潤 筆 に臨 み前 川助 教授 の御援 助 に深 甚 の謝意 を捧 げ る。 ) 献 and 0. ,Kami ,Y.:Pr oduct i on a nd l s ol aト i on of a New Ant i bi ot i c,Kanamyci n.∫. Ant i bi ot i cs,Ser .A.10( A) ,1 07 ( 1957) 2) 内藤益- :文 部省科学研究費結核研究耽報告 (昭和3 3年) 3) 柳沢謙,佐藤直行 :日本細菌学雑誌,1 2.857 -861 ( 1 957) 4)松 田 :本 論文第 2篇 5) 松 田 :本論文第 3 篇
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