特発性間質性肺炎モデルマウスを 用いた薬剤スクリーニングシステム 名古屋市立大学 大学院医学研究科 細胞分子生物学分野 学内講師 金澤 智 [email protected] 1 研究背景 (関節リウマチと間質性肺炎) ◆ 関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis, RA)の発症率は、全人口では約0.5%、 特に高齢者において1%以上となる. 日本における高齢化社会の進行は、RA患者数の顕著な増加として現れている. ◆ RAの持つ大きな問題点は、最終的な機能障害により自身の活動の制限や 重篤な場合介護等が必要となる点にある. RA合併症として間質性肺炎およびRA治療薬による薬剤性間質性肺炎発症が 問題視されている. ◆ 間質性肺炎の原因は特定されておらず、ステロイド薬を用いた対症療法が中心 となる。RA合併症の場合、RA治療を中断して、間質性肺炎治療を行う必要が ある点が治療上の問題点とされている. ◆ 間質性肺炎の発症メカニズムの解明や治療薬開発を行うための、研究材料が 不足している.特に特発性間質性肺炎は、原因不明の難治性疾患指定されて おり、治療法の確立が喫緊の課題となっている. 2 従来技術とその問題点 既に実用化されているものには、ブレオマイシン 投与による間質性肺炎誘導法等があるが、 ・一過的な急性炎症症状示す. ・治療効果検討は、緩解(回復時)に向かう 過程で行うため、判定が難しい. ・病態進行をモニタリングできない. 3 新技術の特徴・従来技術との比較 • 従来技術の問題点は、「一過性、急性炎症から の急激な緩解過程において試験を行う」という点 であった。これを改良することに成功した。 • 慢性期間が長い.=治療薬の長期間投与が可能 =より低濃度での治療効果が確認できる. 研究成果 ヒトにおける病態進行に類似する =慢性、進行性の炎症、線維化 炎症、線維化 炎症、線維化 従来技術 ブレオマイシン誘導性モデル =急性、一過性の炎症、線維化 病態進行 D1CC マウスの特徴 病態進行 4 想定される用途 • 新規間質性肺炎治療薬のスクリーニング • 新規バイオマーカー探索 =新規治療ターゲットの探索 マウスの提供、薬剤スクリーニング(大学ー共 同研究、委託研究、協力企業ー委託)が可能で ある。 5 実用化に向けた課題 • 現在、基本的な薬剤スクリーニングシステム は樹立されている。 既存薬Pirfenidoneでの効果検討済み。 • 問題点:慢性、進行性病態進行を示すため、 テスト期間が長い。 • 現在、任意に間質性肺炎発症時期を設定で きる新たな改良型の実験系も構築している。 6 企業への期待 • 間質性肺炎治療効果が期待される既存薬お よび新規薬剤の本システムでの検討を希望 する。 • また、新規バイオマーカー探索、新規治療 ターゲットを検討している企業には、本技術の 導入が有効と考えられる。 7 本技術に関する知的財産権① • 発明の名称 : 間質性肺炎モデル及びその用途 • 出願番号 :特願2011-248179 • 出願人 • 発明者 :名古屋市立大学 :金澤 智 8 本技術に関連する知的財産権② • • • • 発明の名称: ヒト関節リウマチの病態を再現するトランスジェニック非ヒト哺乳動物 登録番号: 特許第4857450号 出願人: 公益財団法人名古屋産業科学研究所 発明者: 金澤 智、岡本 尚 • • • • 発明の名称: Transgenic nonhuman mammal representing the pathologic conditions of human rheumatoid arthritis 登録番号: 7745690(米国) 出願人: 公益財団法人名古屋産業科学研究所 発明者: 金澤 智、岡本 尚 • • • • 発明の名称: ヒト関節リウマチの病態を再現するトランスジェニック非ヒト哺乳動物 登録番号: 特許第5099550号 出願人: 名古屋市立大学 発明者: 金澤 智、岡本 尚 9 産学官連携の経歴 • 2013年 JST A-STEP 【 FS ステージ】探索タイプ採択 • 2012年 JST A-STEP 【 FS ステージ】シーズ顕在化タイプ採択 • 2012年 JST A-STEP 【 FS ステージ】探索タイプ採択 • 2011年 JST A-STEP 【 FS ステージ】探索タイプ採択 これまでに製薬、食品、バイオ関連企業と多くの共同研 究、受託研究を行っています。 10 お問い合わせ先 名古屋市立大学 社会連携センター(事務局 学術課) TEL 052-853-8041 FAX 052ー841-0261 e-mail [email protected] 11
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