日本税理士厚生年金基金 Q&A

日本税理士厚生年金基金 Q&A
【制度内容・メリット・手続き】
Q1
事業主も基金に加入できますか?
A1
個人事業所の場合、事業主は厚生年金保険の被保険者になれないため基
金にご加入いただけません。
法人の場合、代表者・役員であっても、厚生年金保険被保険者であれば
基金にご加入いただけます。
Q2
被保険者のうち一部の者だけを基金に加入させることはできますか?
A2
厚生年金基金は事業所単位でご加入いただく制度です。従って 70 歳未満
の被保険者全員が加入することとなり、一部の被保険者のみのご加入は
できません。
これは、基金加入により被保険者全員分の厚生年金保険料が一部免除(減
額)され、代行部分として基金に納めていただく仕組みに変わるからです。
Q3
基金に加入するメリットはどのようなものがありますか?
A3
厚生年金基金は国の厚生年金を一部代行し、上乗せ加算部分と併せて支
給する企業年金制度です。上乗せ部分(基本+加算部分)の掛金は事業主
がすべて負担するため、職員の追加負担がない福利厚生制度といえます。
なお、事業主負担の掛金全額に節税効果があります。
給付については、基本部分の年金は 1 ケ月以上の加入期間があれば国の
年金支給開始年齢から支給されます。
また、各基金の規約によって異なりますが、加算部分を年金で受給する
場合、当基金では基金の加入員資格を喪失されていれば 60 歳から支給さ
れ、65 歳からは全員に支給されます。
なお、国の年金は 70 歳以降働いていると支給停止される場合があります
が、当基金の年金は支給停止されず 70 歳以降は全額支給されます。
さらに、加算部分の給付は退職金に充当することも出来ます。
その他のメリットは、【給付関係】Q5~Q8をご覧ください。
Q4
基金加入により厚生年金保険料、基金掛金の納付方法はどう変わります
か?
A4
現在、日本年金機構に納付されている保険料(労使折半)のうち、標準報
酬月額の 4.2%分について基金に納めていただくこととなり、日本年金機
構への納付額は免除(減額)されます。
このほかに標準報酬月額の 1.5%分(基本標準掛金 0.3%+加算標準掛金
0.9%+事務費 0.3%)を事業主に追加負担いただきますが、掛金全額が損
金(必要経費)扱いとなり、実質負担は軽減されます。職員の負担(給与天
引き額)は基金加入前と変わりません。
なお、基金掛金は毎月 27 日に口座振替されます。
Q5
基金加入後、加入員に関する届出を何も出していないのに掛金が減額し
た月がありますがなぜでしょうか?
A5
65 歳に到達された加入員の加算標準掛金の納付が終了したためです。
毎月お送りしている納入告知書に同封されている「掛金増減内訳書」で
ご確認ください。
なお、加算標準掛金(標準報酬月額の 0.9%)は事業主負担のため、本人
から徴収する掛金額に変更は生じません。基本標準掛金・事務費掛金に
ついては 70 歳まで納付いただきます。
Q6
届出の提出が遅れた場合には掛金はどうなるのでしょうか?
A6
届出用紙が基金の届出締切日より後に到着した場合、翌月の掛金と合算
して納入告知させていただきます。各月の締切日は納入告知書に同封の
「基金からのお知らせ」に記載されていますのでご参照ください。
また、当基金のホームページに年間スケジュールを掲載しております。
Q7
在職中の加入員の住所変更の届出は必要でしょうか?
A7
当基金ではご退職時に提出される資格喪失届にご住所を記載していただ
きますので、基金加入中の住所変更の届出は不要です。
Q8
事業所の脱退(中途解約)は出来ますか?
A8
事業所の任意脱退(中途解約)は可能です。但し、脱退は年 4 回(2 月、5
月、9 月、12 月)開催される理事会又は代議員会に諮り、承認された後、
厚生労働省の認可をとる必要があります。
なお、脱退された場合、基金から加入員にお支払いする年金・一時金が
減額されることはありませんが、直前の財政決算日において基金に繰越
不足金や未償却過去勤務債務がある場合、事業主に特別掛金をご負担い
ただくことになっています。
Q9
基金の解散はあるのでしょうか?
A9
平成 26 年 4 月に施行された改正厚生年金保険法では、代行部分の資産が
確保できていない財政難の基金に対して 5 年以内に解散を促すこととし
ています。
しかし、当基金のように財政状態が健全な基金に対しては、現行制度の
継続、又は代行部分を国に返上し加算部分だけの新制度(確定給付企業年
金等)に移行する施策が提示されました。
当基金は平成 25 年 5 月の理事会において、解散は行わず当面は現行制度
を継続しつつ新制度移行について検討を開始することを決定しています。
なお、代行部分を返上した場合、代行部分の掛金は国へ、加算部分は基
金へ納付していただくこととなります。
また給付については、代行部分は国から、加算部分は新制度に引き継が
れて基金から支給されます。
【財政・資産運用】
Q1
A1
厚生年金基金は国の年金を一部代行しているとのことですが、その財政
方式は国と同じ「賦課方式」ですか?
国の厚生年金は現役世代が受給者を支える「賦課方式」ですが、厚生年
金基金は将来必要な給付原資を事前に積み立てる「事前積立方式」です。
Q2
基金の財政は健全ですか?
A2
基金では毎年、決算時に年金数理人による財政検証を行なっています。
また、5 年に一度、加入員の年齢・報酬・加入率・脱退率・死亡率等の
デ-タを基に財政再計算を行い、将来の給付に見合う充分な積み立てがで
きているかどうか総合的な検証を実施しています。
いずれの検証においても、当基金の財政は健全であるとの結果が得られて
います。
Q3
基金の年金資産運用方針はどうなっていますか?
A3
基金の資産運用は、基金の基礎デ-タを基に実施した年金ALM分析を
ベ-スに、政策アセットミックス(長期的資産配分)を策定して運用して
います。
また、資産運用特別委員会において「年金資産運用の基本方針」を制定
し、厳正な運用機関の選別・リスクの管理に努め、効率的な運用を行っ
ています。
【給付関係】
Q1
基金加入によって厚生年金保険との関係はどうなりますか?
A1
基金からは基金加入期間の報酬比例部分と基金独自の加算部分が支給さ
れます。一方、国からは老齢基礎年金と基金から支給される報酬比例部
分を除いた老齢厚生年金が支給されます。
Q2
基金を短期間で脱退した場合どうなりますか?
A2
当基金の基本部分は 1 カ月以上の加入員期間があれば年金が支給されま
す。また、加算部分は加算適用加入員期間が 3 年以上で一時金、10 年以
上で加算年金又は一時金として受給することができます。
Q3
年金支給の年数は限定されていますか?
A3
基金の年金は終身年金です。さらに加算年金には 15 年の保証期間がつい
ていますので、途中で亡くなられた場合にはご遺族に遺族一時金が支給
されます。
Q4
在職受給の場合に支給停止とならない標準報酬月額を設定したいのです
が目安はありますか?
A4
60~64 歳で働いている間は、年金月額と賃金(総報酬月額相当額)の合計
が 28 万円に達するまでは年金が全額支給されますが、28 万円を超えると
年金は減額されます。
また、65 歳以降働いていて退職するまでの間は、年金月額と賃金(総報酬
月額相当額)の合計が 46 万円に達するまでは年金が全額支給されますが、
46 万円を超えると年金は減額されます。
なお、当基金の場合、70 歳以降は働いていても年金は減額されず全額支
給されます。
Q5
当基金の加入事業所を退職し、その後、当基金未加入事業所で厚生年金
の被保険者となっていますが、年金が支給停止されることがありますか
?
A5
国から支給される年金は在職老齢年金の対象となり支給停止される場合
がありますが、当基金から支給される年金は、基金加入員でない場合、
在職老齢年金の対象にはならず全額支給されます。
Q6
失業保険を受給する間、国からの老齢厚生年金は併給調整されますが、
基金からの年金も同様でしょうか?
A6
当基金の年金は、雇用保険との調整を行わないため、失業給付との併給
調整により国からの老齢厚生年金が停止している間も全額受給できます。
Q7
障害年金を受給しているのですが、基金からの年金は受給できますか?
A7
当基金の年金は障害年金との調整を行わないため、全額受給できます。
Q8
遺族年金を受給しているのですが、基金からの年金は受給できますか?
A8
当基金の年金は、60 歳代前半で遺族厚生年金を選択する場合には併給調
整を行わないため、両方を受給することができます。
ただし、65 歳以降は、国から受給する金額の一部である「妻の老齢厚生
年金」に基金の代行部分を算入するため、国からの受給金額が 60 歳代前
半より少なくなる場合がありますのでご留意ください。