FT-IR法によるフタル酸エステルの スクリーニング技術 電源コードや電線被覆等に用いられる塩化ビニル樹脂には、可塑剤としてフタル酸エステル 類が使用されています。フタル酸エステル類は、RoHS*1指令によってDEHP等の4種類の同 族体が規制対象物質になる可能性の高いことから、含有の有無と同族体を判別することは重 要と考えられます。これらを効率化するため、短時間で判別可能なスクリーニング手法として FT-IRを用いた技術を適用しました。 *1 Restriction of Hazardous Substances(危険物質に関する制限) <結 果> 前処理として樹脂試料からフタル酸エステルを溶媒抽出し、揮発性板上で溶媒揮発後に 残ったフタル酸エステルについてFT-IRスペクトルを取得しました。 規制対象物質DEHP *2 、BBP*3 、DBP*4、DIBP*5は、2960~2850cm-1のCH吸収帯 の波形で判別可能ですが、規制対象のDEHPと規制対象外のDINPは波形が類似していま す。そこで、CH3吸収帯とCH2吸収帯の強度比に着目することで、両物質の判別が可能とな りました。 *2 DEHP:Bis(2-ethylhexyl)phthalate *4 DBP:Dibutyl phthalate *6 DINP:Diisononyl phthalate *3 BBP :Bis(butylbenzyl) phthalate *5 DIBP:Diisobutyl phthalate ■ フタル酸エステルのスクリーニング手順 必要に応じて ■ フタル酸エステルの判別 規制候補物質:DEHP,DIDP,DBP,BBPと、規制対象物質とならない物質 DINP*6を比較 νCH νC-O νC=O νC=C (arom) CH3: 2960cm -1 νC-O CH2: 2930cm-1 DINP Abusorbance DEHP BBP DBP ベースライン DIBP 4000 3040 3040 2800 1600 1200 WAVENUMBERS(cm-1) -1 ) WAVENUMBERS(cm 2000 800 2960 2960 2880 2800 2800 2300 WAVENUMBERS(cm-1 ) 波形、強度関係の違いから判別 連絡先:菱電化成㈱ 分析センター;(06)6497-7544
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