奄美大島・喜界島農業の動き ■ 平成26年11月 1.秋冬作の拡大を図ろう!~奄美大島北部で自給飼料研修会を開催 11月4日にあまみ農協大島事業本部北大島肉 用牛部会設立総会と併せ,飼料作物栽培に関 する研修会を開催し,関係機関も含め延べ30 名の参加がありました。本研修会では,種苗 会社を交えて,土づくりや奄美地方に適した 草種の組み合わせによる作付等を研修すると ともに,自給飼料確保の重要性について啓発 をおこないました。生産者からも活発な意見 が出されました。 2.自給飼料の増産に向けて~奄美大島南部で自給飼料研修会を開催 10月30日と11月5日に,飼料作物栽培に関する研修会を瀬戸内町で開催しました。今 回は,畜産農家の利便性を考慮し,古仁屋(本島,加計呂麻島 ),請島,与路島の3地 区で行い,関係機関を含め延べ28名の参加がありました。研修会では,これまで取り 組んできた実証ほの結果を報告し,量を確保するための作付体系や条件不利地におけ る作付け草種を紹介し,意見交換を行いました。生産者からは雑草対策についての意 見も出され,種苗会社の担当者とともに対策について検討しました。 3.奄美大島・喜界島認定農業者研修会を奄美市笠利で開催 11月12日,奄美市笠利農村環境改善センターにおいて奄美大島・喜界島認定農業者 研修会が開催されました。毎年繰り返される台風災害に対処していくための「防風対 策」をテーマに園振協大島支部と共催で研修を行い,85名の参加がありました。現地 研修では,計画的な防風樹の育成を実証している果樹園等の視察をしました。室内研 修において,奄美市大海農政振興課長から,問題提起や提案を含めた防風対策の必要 性について,農政普及課からは,防風樹の育苗方法や農地中間管理機構制度について の情報提供をしました。その後の情報交換会も良い交流の場となりました。 4.喜界町で抑制かぼちゃの面積拡大 喜界町では,かぼちゃを露地の重点品目として推進しています。本年度は,6月の園 芸座談会や農協で育苗を受託する取組を実施しました。また,資材費があまりかから ず,栽培が容易であることから農家間の口コミで栽培面積は昨年の3ha から7ha に,栽 培農家も28戸と倍に増加しています。10月上旬の台風被害も少なく,生育は順調で, 今後も管理の徹底を図り,増収に向け取り組んでまいります。 5.注目の中晩柑「津之輝(つのかがやき )」の商品コンセプト作成開始 奄美大島では中晩柑「 津之輝 」の植栽が増えており ,生産拡大が期待されています。 今後販売を有利に進めるため,県園振協大島支部カンキツ新品種産地育成プロジェ クト班では,11月19日に1回目の商品コンセプト作成検討会を実施しました。生産者, 関係機関・団体全部など17名が参加し,ホシノ・アグリ・コミュニケーションの星野 康人代表の指導を受けながら,ワークショップ形式でシーズ整理を実施しました。津 之輝は,まだ植えられたばかりで,生産量が少ないことから,まずは奄美に来た人限 定に,幻のカンキツとして提供するなど斬新なアイデアも多く出されました。商品コ ンセプトの完成までには,今回のような検討会を数回行う計画です。 6.H26年産さとうきびの生産見込みが発表される 11月26日に大島群島のさとうきび生産対策会議が開催されました。今年度のさとう きびの生産量は,奄美群島全域では37.7万トン(昨年比118 %)との数字が出され,う ち奄美大島本島は2.4万トン(昨年比84 %),喜界島では7.9万トン(昨年比98 %)と減 収になっています。生育初期の低温,日照不足に併せて,台風18号,19号の影響が大 きかったと思われます。製糖工場の操業開始は,奄美大島,喜界島ともに年明けとな る予定です。収穫,出荷に合わせて,来年度へ向けた春植え,株出管理も作業が遅れ ることのないよう生産者へ呼び掛け,増収を目指してまいります。 7.パッションフル-ツの栄養評価などを学ぶ研修会に70名参加 11月28日に奄美市 A i A iひろばにおいて,生産者や加工業者など70名が参加し, 「パッションフルーツ加工研修会」を開催しました。当課では, 廃棄部分の多いパ ッションフルーツ果実の活用部位を増やす方法を模索しており,その一環として栄養 性に関する講演と果皮を使った商品づくりの事例紹介を行いました。講演では,鹿児 島純心女子大学の中野隆之教授が栄養評価と将来性について「カロテンなど健康効果 のある優れた成分を多く含んでいる」と解説されました。また,事例発表は奄美市農 業研修センターの研修生が「果皮を使ったジャム」の商品化について紹介しました。 これらの研修効果がパッションフルーツ生産や6次化に活かされることを期待し,当課 では引き続き研修会などを通して支援する計画です。 8.新規就農者講座制研修と地区青年農業者会議を開催 11月28日に新規就農者講座制研修の全体研修(現地研修)と地区青年農業者会議を 開催し,新規就農者や農業青年が33名,指導農業士や女性農業経営士が10名,関係機 関10名,農政普及課10名,併せて63名の参加がありました。現地研修は大和村で農業 を実践している先輩農家や新規就農者のほ場を研修しました。 青年農業者会議では,輝けトークを2名,喜界町青年クラブの共同プロジェクト「農 業体験ツアー」の取り組みの発表及び各農業青年クラブ員の「これまでの経営とこれ からの経営について」意見発表がなされ,指導農業士らからの助言や質疑応答が活発 に行われました。 ■ 平成26年12月 1.大好評!アボカド研修会 12月1日,奄美市でアボカド研修会を開催しました。参加者は,実際にアボカドを植 栽あるいは今後植栽予定の生産者と関係機関を併せ,54名となりました。日本熱帯果 樹協会の米本仁巳博士を講師に招き,笠利町の現地ほ場では,樹を見ながら樹形やせ ん定方法などを学びました。室内では ,「アボカド栽培の基礎」と題して,基本的な 栽培技術,奄美における適品種の紹介など興味深い内容となりました。さらに,国産 果実の試食評価も行い,その食味のよさに参加者は驚いていました。 2.トロピカルフルーツ講演会を奄美市で開催! 12月2日,奄美市で,日本熱帯果樹協会主催の講演会が開催されました。講師にはフ ィリピン,ハワイなど熱帯果樹をよく知る3名の専門家が登壇され,珍しい熱帯果樹を 紹介したり,果物の鮮度や品質を保つ方法を紹介しました。また,様々な熱帯果樹を 周年栽培する方法がわかりやすく紹介されました。熱帯果樹に興味がある生産者や関 係機関など計68名が出席しましたが,質問も多く,改めて熱帯果樹栽培に対する関心 の高さが伺える研修会となりました。 3.第3回トロピカルフルーツセミナー実践編 12月8日,奄美市ひと・もの交流プラザ味の郷「かさり」に野菜や果物を出荷してい る生産者21名を対象に ,熱帯果樹研修会を開催しました 。これまでの2回の研修会では , 熱帯果樹の種類や栽培方法を座学で紹介しましたが,今回はアボカドを使って接ぎ木 法を指導しました。参加者の多くは,最初穂木の削り方などうまくいきませんでした が,何度か繰り返すうちにコツを掴み,最後は他の樹種でも試したいと意欲的な意見 が多くでました。次回は今回接ぎ木した苗木を持ち寄り互評会を開催する予定です。 4.かぼちゃ新品種『ジェジェJ』の現地検討会を開催 かぼちゃの新品種「ジェジェJ」を12戸40aで試作しており,12月10日に現地検討を 実施し,実証担当農家及び部会役員11名が参 加しました。10月上旬には種し,台風通過後 に定植,11月中旬から開花・受粉作業が本格 化し,12月上旬で概ね終了したことから,生 育及び着果状況を検討しています。台風の被 害は逃れましたが,その後の低温や天候不順 により着果が乱れたり,季節風で,一部倒伏 や葉の損傷がありましたが,生育は概ね順調 で,1月中下旬からの収穫が見込まれます。2 月に調査結果をまとめ,今後の進め方につい て検討会を開催する予定です。 5.津之輝(つのかがやき)現地検討会を開催 12月11日,新中晩柑「津之輝」の現地研修会を開催しました。津之輝は平成22年頃 から試作したいくつかの中晩柑から,奄美大島における有望品種として選定され,今 回の研修会では奄美大島における生育状況や,果実品質調査の報告,試食による評価 等を行いました。また今後の販売展開も考慮し,農産物のマーケティングを中心に活 動しているホシノ・アグリコミュニケーション研究所にも出席してもらい,津之輝の 商品コンセプト作成検討会も同時開催しています。 奄美大島での津之輝の出荷は平成28年度頃から見込んでおり,現在は苗木育成の園 地が多い状況です。次年度は栽培マニュアル等の作成も計画しているところです。 6.すもものせん定講習会を開催 ~来年豊作へ願いをこめて~ 12月12日,大和村思勝の生産者ほ場で46 名を対象に,冬季せん定講習会を実施しま した。今年10月に襲来した2回の台風により 多くの樹が落葉し,その後不時開花や新梢 の発生など樹体養分は消耗していると判断 しました。そこで,花芽の充実度合いを確 認しながら,せん定を急がないように指導 しました。ここ数年気象災害や老木等でカ ラリの生産量が低迷していることから,大 和村ではせん定や改植で枝や樹の若返りを 進めるように指導してきています。 7.奄美うなりまーじん会研修会in加計呂麻島 12月1日,奄美大島・喜界島の女性農業経営士やホームリーダーで組織する「奄美う なりまーじん会」において,加計呂麻島の会員の経営活動などを訪問する研修会を実 施し,会員13名が参加しました。近年,他団体との連携を重視した活動を実施し,組 織としての活動が広がったものの,個人の農業経営が見えにくくなってきていたため , 会員の交流を図ることに視点を移した活動です。離島の更に離島で経営するハンディ や直売所原点の活動を見学し,それぞれの農業経営に活かすヒントを参加者は見出し ているようでした。 8.瀬戸内町において税務研修会が開催される 12月12日,瀬戸内町中央公民館において, 瀬戸内町農業振興会が主催とする税務研修会 が農業関係者24名の参加のもと開催されまし た。講師からは①税務申告に係る基本的な事 項の確認,②消費税の考え方,消費税申告の 流れについて説明があり,参加者からも多く の質問が上がりました。農政普及課としても パソコン簿記記帳指導による経営管理支援を 継続していきます。 ■ 平成27年1月 1.新潟県で奄美大島産『津之輝』の試食評価を実施 つのかがやき 1月10日に新潟市内のスーパーで,奄美大島で栽培された「津之輝」の一般消費者に 対する試食評価を実施しました。目的は「津之輝」の食味評価を今後の生産販売に活 かすための意見収集です。消費者から は「この時期のミカンにしては酸味が あっておいしい 」「じょうのうがやわら かい」と概ね良い評価がある一方で , 「津 之輝から奄美大島がイメージできない 」 「皮がむきにくい」などの意見が寄せ られました。奄美大島での本格出荷は2 ~3年後であり,消費者の好む果実生産 を目指し,栽培マニュアル等を整備し ていく予定です。 2.26年度産奄美たんかんは順調な仕上がり 1月16日に26年度産果実の最終品質調査を実施しました。昨年8月と10月に襲来した 台風の影響で傷はみられるものの,品質の高さが伺える結果となりました。奄美大島 全市町村から集まった188点を分析した結果,最高13.5度,平均は11.0となる一方,ク エン酸は平均1.07%で,昨年より大幅に減少していることから,2月上旬でも十分食べ やすく,食味良好な果実に仕上がっているようです。今年の選果場取扱数量は,共販 ・委託併せて約160tの計画となっています。 3.今製糖期も無事故で!大島本島でケーンハーベスタオペレータ研修会を開催 1月9日に製糖期間中の事故防止啓発のため,ケーンハーベスタオペレータ研修会が 開催され,86名(内オペレータ等58名)が出席しました。研修会では,①県内におけ る農作業事故の発生状況,ハーベスタ利用時の留意点について確認するとともに,② 消防による応急手当の説明や③農機メーカーによるハーベスタの保守点検及び安全使 用についての研修を行いました。本研修により,オペレータが安全使用に心がけ,事 故が起きないことを期待します。 4.全国から集まった農業者との交流で大いに刺激を受けた奄美の女性たち 1月26日~29日にかけて北海道を中心と して南は宮崎県までの女性農業者等24名が 奄美を訪れ,農産加工組織や女性農業経営 士とほ場や直売所で交流を図りました。訪 れた女性農業者たちは平成11年度農業労働 通信講座受講者で,年一回,同期会を各地 で開催しており,今回は講師の日本女子大 学安倍澄子教授が奄美の女性起業組織の事 業を昨年度支援した縁で来島されました。 経営規模の違いはもちろんですが ,「北海道 での農業は実働180日,その期間でいかに儲 けるか,稼ぐか」をテーマにして日々過ごしていると意見を交わす参加者たち。その たくましさに奄美の女性も大いなる刺激を受けたようで,今後の経営に生かして欲し いと思います。 5.イベント効果を確認できたスタンプラリー2014 1月28日,奄美会館において,大島地域かごしまの“食”交流推進協議会などが主催 した「奄美を丸ごと食べよう!奄美大島喜界島 直売所スタンプラリー2014」の実行 委員会を開催し,昨年10月~12月にかけて実施したスタンプラリーの反省や今後 の活動についての検討並びに特産品プレゼント抽選会を実施しました。地産地消の一 翼を担いかつ情報発信基地としての役割を担う島の直売所を知ってもらうことを目的 に実施しており ,「島の中にこんなに多くの直売所があったのか 」「初めて来ました」 「 アットホームな雰囲気で買いものができてよかった 」という参加者の声も寄せられ , 実施効果を全参加店舗が感じることができました。期間や時期の問題を検討のうえ, 来年度も実施することになっています。当課としては,今回の実行委員会を母体に情 報共有や相互連携を深める組織化を提案し,合意を得ることができました。 6.6次化や農産加工活動に関する研修会開催 1月27日,奄美会館において当課主催による「6次産業化推進基礎研修 」,28日県農 業農村振興協会主催による「農産物直売所と連携した農産加工活動」研修会が開催さ れ,6次化を検討している農家や農産物直売所・農産加工グループが多数が出席され, 6次化事例や HACCP 手法を導入した加工管理工程などについて学び,認識を深めま した。両日の講師は茨城県農産加工センター技術指導員本橋修二氏が務め,取組事例 をもとに「現在成功している6次産業化成功事例は,助走活動準備活動に十分時間を かけたものが多い」との言葉が印象強く残りました。また,さくらじま旬彩館の中島 代表による「原価計算をとおした商品づくり」の事例も参加者に大いに刺激を与えて いるようでした。
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