年 頭 所 感 商工組合 日本医療機器協会 理事長 今村 清 謹んで新春のお慶びを申し上げます。皆様におかれましては、健やかに新 年をお迎えになられたことと存じます。 平成27年は十二支では未年、動物にあてはめると羊にあたります。羊は 群れをなして行動するため、家族の安泰や平和をもたらす縁起物とされてい るようです。前年は、日本の国内及び国外を問わず、自然災害や凄惨な事件、 事故なども発生したことから、今年こそ不幸な出来事は発生しませんよう、 羊にあやかり祈念したいと思います。 そして、4年前の平成23年3月の東日本大震災の発生と、いまだ復興も 道半ばである状況であることを知るに、まずは平穏な1年を願う次第です。 ●「医薬品医療機器等法」の施行後の対応を万全に さて、昨年11月に薬事法が改正されて「医薬品、医療機器等の品質、有 効性及び安全性の確保等に関する法律(以下:医薬品医療機器等法) 」が施行 されました。薬事法から医薬品医療機器等法となる今回の改正では、医薬品、 医療機器等の安全かつ迅速な提供の確保を図るため、添付文書の届出義務等 安全対策の強化、医療機器及び体外診断用医薬品の特性を踏まえた規制の構 築等が行われました。 日本医療機器協会(以下:日医機協)では、既に平成25年度より講習会 を継続して開催し、また、昨年12月には同法の施行直後の対応等として、 東京都の薬事担当官を講師に招いての講習会を企画し、事前質問なども受け 付けながら、他に例を見ない会員企業の目線での疑問に応える講習会となり ました。これらの講習会の開催も、長年医療機器産業を支えてこられた中小 の会員企業が法改正にも円滑に対応できますよう、情報提供として少しでも お役に立ててもらいたい、そして、今後も会員企業として、医療機器産業を 支えていただきたいと思います。そして、講習会は、会員企業のための重要 な事業の1つとして今年も継続したいと考えています。 1 ●“いのちを守る医療機器”第2弾のご案内 日医機協では、長年にわたり「医療機器法の早期法制化」をスローガンに 掲げておりました。そして、平成23年に「なぜ患者に届かない?いのちを 守る医療機器」 (大村昭人帝京大学医学部名誉教授 著)の本の出版をサポー トし、当協会の100周年記念祝賀会において配布したことも、こんにちの 薬事法改正を進める大きな契機の1つになったと自負しております。 そして、これはご案内、予告でありますが、27年前半にその本の第2弾 が出版される予定です。政府の成長戦略の中でも日本の産業成長を牽引すべ き分野の一つに挙げられている医療機器産業のあるべき姿、医薬品医療機器 等法施行後の問題点と今後、などに触れています。 ●「産・産連携並びに医・工連携」の進展 さて、昨年も一昨年に引き続いて「産・産連携並びに医・工連携」の事業 に積極的に取り組みました。1月の独立行政法人中小企業基盤整備機構(関 東地区及び静岡県) 、2月の長野県、3月の横浜市、5月の三重県、6月の香 川県並びに大田区、7月の青森県、8月のさいたま市、9月に長野県、11 月 の群馬県(全国家電会館で開催)そして宮崎県、12 月の中国地区と、各地区 の選りすぐられた中小ものづくり企業が医科器械会館で展示を行い、会員企 業との商談と交流を通じて、既存製品の改良や新製品開発、そして販路拡大 などに役立てる場として盛況となりました。 この産・産連携並びに医・工連携については、既に製品や試作品の開発等 の実績が多数表れております。ただし、各企業の技術などの企業秘密にも属 することから、成果発表をどのように行うかについては、各企業の秘密を厳 守したうえで検討したいと思います。 また、これらの展示交流会を開催するにあたっては、共催を頂く各県並び に公益産業支援センター、また、関東経済産業局をはじめとする各地区の経 済産業局の後援など、皆様方より多大なご支援を頂きながら開催に漕ぎつけ ることができましたこと、深く感謝をいたしております。 今年も、既に1月に京都府ものづくり企業、そして大田区・文京区の展示 会(於:文京シビックセンター)を予定しており、継続してこれらの事業に力を 入れてまいります。 2 ●行政との連携の輪を広めたい 一昨年からの展示交流会を通じて、医療関連産業の連携に関わる協力関係 が深まる中、昨年2月には「文京区と大田区、そして日本医療機器協会と 大田区産業振興協会」との間で、双方の区長並びに理事長が出席のもと「覚 書」や「確認書」を全国に先駆けて締結しました。 昨年4月には、青森県のお招きで青森県庁の三村申吾青森県知事、そして 弘前大学医学部附属病院を訪問、また、9月にも「弘前大学・医療機器開発 ニーズ発掘キャラバン」により現地を訪れ、青森発の医療機器開発に向けた 意見交換を行いました。 いっぽう、三村青森県知事も、公務多忙な折にもかかわらず、昨年7月の 東京ビッグサイトで開催の国際モダンホスピタルショウの日医機協の出展コ ーナーに来場、表敬訪問をされました。青森県とは、25年度と26年度の 2年度連続での日医機協での展示・交流会の開催ということもあり、人的な 交流や情報交換も深まっていた折のこともあり、大変嬉しく存じます。 さらに、経済産業省関東経済産業局からは、同局主催の「医療機器・もの づくり商談会」などでも、日医機協の会員企業との商談等での協力要請や相 談等が寄せられ、意見交換を密に行っています。 今年も、全国の各都道府県及び市区町村、経済産業省及び関東経済産業局 との連携の輪を広めてゆきたいと考えています。 ●医療機器業界団体との交流も視野に また、日医機協は、同じ医療機器業界団体との連携、そして交流を密にし てまいりたいと存じます。日医機協は、日本医療機器産業連合会の一員とし て、その活動に参画し、他の団体とも協調しながら積極的に意見を具申し、 適正な規制緩和を実現し、医療機器産業が成長するための方策を実現すべく、 努力してまいりたいと思います。 ●軌道に乗った「国際モダンホスピタルショウ」 そして海外の展示会も今後は研究します 一昨年、そして昨年の7月と2年度連続で、医療機器等の展示としては国 内最大規模の総合展示会として東京ビッグサイトで開催の「国際モダンホス 3 ピタルショウ」に協賛し、 『医療機器・環境設備ゾーン』に「日本医療機器協 会の出展スペース」を確保し、参加いたしました。おかげさまで、当協会の 出展スペースに出展の会員企業からの評判も上々であり、また、対外的にも 当協会のPRに繋がりました。今年も、来る7月に東京ビッグサイトで開催 されますので、今年も出展に向けての準備にとりかかります。 そして、今後は、国内はもとより海外での展示会への参加等にも、前向き に検討してゆきたいと考えています。 現在、アジア地域を中心に海外から日医機協への問合せ、また表敬訪問も 相次いでおります。海外からの表敬訪問を受けるのはもとより、日本発の医 療機器の対外的な情報発信も必要ではないかと考えております。薬事工業生 産動態統計などの数字を見るに、残念ながら医療機器産業は輸入超過が続い ています。日本のものづくりの技術のポテンシャルは世界一、そのためには まず、 「産・産連携並びに医・工連携」に似合った情報発信を行い、昨年より 標榜をしている“メディカルヒルズ本郷”という一つのブランドなどで、日 本発の医療機器の素晴らしさをアピールして輸出を増やす、などの夢を描い てゆきたいと思っています。そのためには、情報発信や対外的な広報活動の あり方も幅広く模索してゆきます。 ●ホームページの充実をめざします その情報発信の一手段として、日医機協のホームページのリニューアルも 今年より積極的に行ってまいります。会員企業の役に立つサイトはもとより、 対外的に日医機協に興味を持っていただくサイト作りについて、精通した人 材を得て製作を進めています。 たとえば、会員企業の会社紹介及び製品情報を登録し、閲覧可能とするこ と、また、医・工連携では、出展企業一覧及び内容の閲覧が可能となること、 さらに、協会広報誌の閲覧が可能となること、などです。また、将来的には、 協会主催の講習会のビデオ受講も可能としたいと思っています。 過去に日医機協では「組合員実態調査」などを通じて、会員企業における 情報化、以前はよく使われた言葉ですが、いわゆる”IT化”の現況についての 調査を行いました。その時点では、インターネットによる情報の収集等も、 まだ十分に浸透していない状況にありました。 4 現在は、各種講習会の申込みもすべてインターネットで行うケースも増え ており、会員企業の間でもインターネット等も普及しているものと存じます。 小規模の会員企業をはじめ、すべての会員企業の皆様にとって利用しやすい、 まさに「全員参加の」ホームページにしたいと考えています。 各種講習会の開催など、従来からの事業もしっかりと このほか、平成18年度より実施している「医療機器販売業等の営業管理 者及び医療機器修理業責任技術者のための継続的研修」を今年も実施し、そ の他、医薬品医療機器等法をはじめ各種法律の講習会など、所管の行政庁に もご協力をお願いしながら、強力に展開してまいりたいと存じます。 そして、今年も東京都をはじめ、東京消防庁及び文京区など、各行政機関 との災害時の協定に基づいて協力体制の整備を目指すほか、団体としての総 合的な災害対策のあり方を研究し、実践に移します。 また、前述の「組合員実態調査」などの結果をふまえて、日医機協では、 従来より医療機器販売業等が抱える諸問題について認識しています。長年、 医療機器の流通を通じて、医療機器業界のなかで重要な役割を果たしている 販売業向けの、当協会ならではの、講習会等の事業も実施したいと考えてい ます。 もちろん、従来からの協会の伝統でもある会員交流、福利厚生事業もしっ かりと実施してまいります。 ●本年もどうぞよろしくお願い申し上げます 日本医療機器協会は、製造販売、製造、販売、サービスのさまざまな業態 の企業が加入されております。今後も会員企業の皆様とともに、次の100 年に向けて、ご一緒に歩んでまいりたいと存じます。また、全国の医療機器 業界団体の皆様、全国の医療機器を業とする中小企業の皆様、そして、医療 機器に関連する業界の皆様とも交流を深めながら、日本の医療機器業界の発 展、日本の産業界の発展に少しでも貢献したいと考えております。 皆様のこの1年のご健勝とご多幸を心よりお祈り申し上げ、また、当協会 へのご指導とご鞭撻を心よりお祈り申し上げて、新春のご挨拶に代えさせて いただきます。 5
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